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チーズはどこへ消えた? (扶桑社) スペンサー ジョンソン

Book Summary
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理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

 本作は全91ページで、読み切るのに1時間もかからないボリュームの童話です。そのシンプルさと強いメッセージ性で、1998年の初版から全世界で愛読され、累計2,400万部を越える超ベストセラーとなりました。日本ではあの二刀流・大谷翔平選手が「愛読している本」とインタビューで答えたのをきっかけに、2016年に再ブームが起こり、扶桑社が発刊する日本語訳本も400万部以上のベストセラーとなっています。
 ストーリーは、迷路のなかに住む、2匹のネズミと2人の小人。彼らは迷路をさまよった末、チーズを発見します。チーズは、ただの食べ物ではなく、人生において私たちが追い求めるもののシンボルとして表現されています。ところがある日、そのチーズが消えた!ネズミたちは、本能のままにすぐさま新しいチーズを探しに飛び出していき、小人たちは、チーズが戻って来るかも知れないと無駄な期待をかけ、現状分析にうつつを抜かすばかり。しかし、やがて一人が新しいチーズを探しに旅立つ決心を・・・。
頭では解っていても、人間はそれほど強い存在ではありません。変化を前に恐れ、おののき、不安になり、臆病に身をすくめます。誰でもそんな経験があるはずです。この物語におけるチーズを人間関係に置き換えるとしたら、友人との誤解や、家族や夫婦間の会話、親子の関係にも当てはまることもあるでしょう。恋愛ともなれば、チーズはまさに、消えてほしくない恋人の愛情といえるかもしれません。IBM、アップル・コンピュータ、メルセデス・ベンツ等、トップ企業が次々と社員教育に採用。
 あなたにとっての、チーズとは何ですか?今、あなたのチーズはどうなっていますか?どんな変化が目の前に現れても、新しいチーズを探す勇気を持ちましょう。その勇気がちょっと足りないと感じたら、本書を読んでみてください。

本書の要点

●登場人物

ネズミのスニッフ
変化を敏感に察知するタイプ。物語のなかで彼は、実はチーズが徐々に減っていることに気付いていて、「いつかチーズはなくなってしまう」と予測していたために、次の行動にすぐ移ることができたというタネ明かしがありました。ちなみに「スニッフ」とは、匂いをかぐ、なにかを嗅ぎつけるという意味です。

ネズミのスカリー
変化に対して素早く動くタイプ。スニッフのような察知力を武器にするよりも、その迅速な行動力で次のチーズ見つけようとします。誰よりも早く行動に移せば、誰よりも早く新しいチーズを見つけることができると信じているのです。「スカリー」とは急いで行く、素早く動くという意味を指します。

小人のヘム
変化に対して、1番臆病なのが彼。何かと理由をつけて「チーズが消えた」ことを認めず、分析をしたり、根拠のない希望で慰めたり、そして時には人に責任を転嫁して(チーズは誰かが持って行って、その犯人を見つけなければならないと叫ぶ)、現状からなかなか脱却できないタイプです。「ヘム」とは閉じ込める、取り囲むという意味を持ちます。

小人のホー
慎重に考えて現実を受け止め、勇気を出して次の一歩を踏み出すのが彼。そのなかでは多くの葛藤があり、自問自答をくり返しながらも、一歩一歩先へ進んで、自分を変えていく行動を取ります。最後はチーズの有無よりも、その探索する行為そのものを楽しめるように。この物語では、もっとも人間らしいキャラクターとして描かれています。「ホー」とは口ごもる、笑うという意味です。

●物語の名言から学ぶこと

自分のチーズが大事であればあるほどそれにしがみつきたがる

ビジネスの世界では、別の言葉で「成功者(イノベーション)のジレンマ」としても有名です。そのビジネスが成功していればいるほど、その成功体験から人は(企業は)抜け切ることが出来ません。実は、もうその成功要素は世の中からあまり支持されなくなってきていても、そのやり方を否定して次の事業に進むことは、思っているよりもずっと難しいものなのです。

変わらなければ破滅することになる

ホーが「このままずっとチーズのない場所で考えていても何も始まらない。餓死するだけだ」という強い危機感を持ったときに出てきた言葉。人は恐怖心から次の行動に移ることが出来るのではないでしょうか。ビジネスにおいても危機感(恐怖心)が行動の原動力になるのです

つねにチーズの匂いをかいでみること、そうすれば古くなったことに気がつく

ホーが自分の考えを整理し、「なぜチーズが消えてしまったのか?」を思い返すと、実はチーズは徐々に減っていたのだということに、ようやく気がつきました。おそらく、ビジネスでも同じでしょう。売上が落ちてきたことも、顧客が離れてきたことも、今までのやり方が通用しなくなったことも、その片鱗は徐々に姿を現していたはずで、そのことに気づいていなかっただけなのです。

恐怖を乗り越えれば楽な気持ちになる

ホーがステーションCを出る決意をしたとき、彼の中は恐怖でいっぱいでした。先の迷路は暗闇で、何かいるかもしれないし、新しいチーズがあるかどうかもわらなかったからです。ですが勇気を出して一歩踏み出したとき、彼は笑みを浮かべていました。まず目の前の一歩を踏み出して、恐怖と対峙する。ホーの行動は、まさにそんな私たちへの教訓となっています。

人は考えが変わると、行動が変わるのだ。変化は害を与えるものだと考え、それに抗う人もいる。だが、新しいチーズをみつけられれば変化を受け入れられるようになる、と考えることもできる。すべて、どう考えるかにかかっているのだ。

ホーは新しい考えになって、それが新しい行動へと、自分を駆り立てていることに気づきます。変化は悪でもなく善でもない。どちらにするかは、その変化に対する考え方しだい、この心の変化が、物事を新しい方向に向ける原動力となることを伝えたかったようです。

 

 

著者・出版

著者: スペンサー・ジョンソン

スペンサー・ジョンソン(Patrick Spencer Johnson/1938年11月24日-2017年7月3日/男性)は、アメリカの医学博士、心理学者、作家。サウスダコタ州ウォータータウン出身。世界のトップ企業の研修テキストに採用され、1999年度全米ビジネス書ベストセラー第1位に輝いた「チーズはどこへ消えた?」や全世界で1100万部以上を売り上げた1分間シリーズの著者として知られる人物。
多くの企業やシンクタンクに参加し、ハーバード・ビジネス・スクールの名誉会員に列せられている、アメリカ・ビジネス界のカリスマ的存在。経営学の古典的名著でありロングセラーの『1分間マネジャー』(共著、ダイヤモンド社刊)をはじめ、『1分間意思決定』(ダイヤモンド社刊)、『プレゼント』(扶桑社刊)など多数の著書を発表している。心理学者であり、心臓のペースメーカーの開発にたずさわった医学博士でもある。著書のなかでも、寓話に託して、変化にいかに対応するべきかを語った『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社刊)は、日本でも400万部を超える爆発的なヒットとなった。『チーズはどこへ消えた?』はアメリカでの刊行(1998年)当初から、IBM、アップル・コンピュータ、GM、メルセデス・ベンツなど、世界を代表する企業や官公庁で研修のテキストに採用された。日本でも、ビジネスマンのみならず、働く女性たちや主婦層、小学生から高齢者まで、広範な読者に受け入れられ、大きな反響を呼んだ。その後、『頂きはどこにある?』(2009年/扶桑社刊)を刊行。2017年、78歳で逝去。本書『迷路の外には何がある?』が遺作となる。

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