スポンサーリンク

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書) 齋藤孝

Book Summary
スポンサーリンク
理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

本を読むからこそ、思考も人間力も深まる
ネットで情報をとるから本はいらないという風潮が広がっていますが、それは本当でしょうか?私たちは日々ネットの情報に触れますが、キーワードだけを拾い、まったく深くなっていない、ということも多いのではないでしょうか?読書だからこそ、「著者の思考力」「幅広い知識」「人生の機微を感じとる力」が身につきます。ネットの時代にあらためて問いたい「読書の効能」と「本の読み方」が紹介された一冊です。

齋藤先生は、情報化社会に生きる私たちが抱える大きな問題を提示し、その解決に読書が役立つことを示してくれていると感じました。 これからの社会に必要なのは、表面的な部分から話を広げたり深めたりすることのできない「浅い人」ではなく、読書を通じて本質的なものを見出し、かつ相手にとって実りのある発言ができる「深い人」であると主張されています。 インターネットの海と言いますが、ほとんどの人は浅瀬で貝殻をとっているようなもの。深いところへ潜りにいく人はあまりいません。潜れば、まだ見たことのない深海魚に出会えるかもしれないし、知らなかった世界が広がっているのです。インターネットを使っても、クリックを繰り返すとどんどんと深いページへと突き進むこともできます。でも、どこをどう潜るのかという“潜り方”があまりよくわかっていないんだとか。一方で読書をする人は、インターネットを使っているだけでは手に入らない「潜る能力」が身につきこれによって知識に「深み」が出てくるのだそうです。

本書ほど、本を読まないことに対して危機感を与え、読書の必要性をわかりやすく説いてくれる本を私は知りません。 読書は、著者と向きあい(四畳半の個室で永遠と話をきくことに近い)じっくり腰を据えて聞くことであり、 著者の体験を疑似体験することなのです。読書で感情移入しているとき、脳は自分が体験しているときと近い動きをすることも分かっています。 自分ひとりの体験には限界があるので読書で疑似体験することが出来ることに如何に価値があることか図りしれません。これから思考や人間力に深みを得たい人にはお薦めの一冊です。

 

●章ごとの要点

【序章】なぜ、いま本を読むのか?

専門分野にとらわれない幅広い総合的な知識が人間の深さにつながるから読書が必要である。バックグランドとして一般教養(リベラルアーツ:文法、論理、修辞、算術、幾何、天文、音楽、経済、自然科学、医学など)を身につけておかないと深さは生まれない。

【1章】読書をする人だけがたどり着ける深さとは 「深い人」と「浅い人」の違いは、同じ映画やニュースをみてもコメントや感想の深さの違いが生まれる。これは一般教養の違いである。一般教養とは、雑学とは異なり情報を自分の中に取り込み統合し、血肉となった幅広い知識である。血肉となる教養のポイントは、物事の本質をとらえて理解することにある。教養が人格や人生にまで生きている人が深い人である。
本を読み、教養を身に着けると、今までは気にも留めないことでも面白いと感じ、世界が楽しみであふれる。西郷も読書が好きだった(島流しの時も言志四録を熟読)。
【2章】深くなる読書 浅くなる読書 何をどう読む? 深さを手に入れるためには深く物事を捉える力「認識力」が必要です。読書をすることで著者の認識力が身につき、認識力が違うと同じ情報でも受け取るものが大きく変わる。一流の認識力を持ち主の本を読むと、私たちの認識力もみがかれる。
剣豪・宮本武蔵の代表作「五輪書」は、日々の鍛錬によって一切迷いがなくなり、はれわった青空のような境地に至ることを目指しているなど宮本武蔵のような一流の認識力をもた五輪書を読むと私たちの認識力も高まる。読書は、著者の視点で物事を見ることで、自分の視野が広がる。例えば円錐を上から見たら丸に、横から見たら三角に見えるように、視点が変われば見え方も変わる。このように相手の視点に立って物事を考えるときにたくさんの本を読むことで著者の立場で物事をみる訓練となる。
【3章】思考力を深める本の読み方 思考を深める読書法として、「予測読み」がお薦め。先を予測して読んでみると、その予想を裏切られた時に感情が動き、その時の驚きが教養として血肉となり、思考を深める
【4章】知識を深める本の読み方 知識をもつほど世界がひろがる。知識は細胞分裂のように増えるのである。知識と知識がつながることで、正比例でなく、乗算に近いイメージで増える。
知識を深めるには、1テーマで5冊読み情報を関連付けながら読む。読んだ後にアウトプットする。人に話すときは、感情をのせて、知と知のつながりを意識して話す。
【5章】人格を深める本の読み方 言葉には力がある。
本を読むことで、目の前の幸不幸に一喜一憂することない力強さが手に入る。正に、優れた人格の形成へと繋がる。
【6章】人生を深める本の読み方
人生は、勝ち負けよりも生き方。
『人生の意味より、人生そのものを愛せ』(カラマーゾフの兄弟)自分と他人を比べて自己評価を下げ、幸福度を感じられない人が最近は多い。文学に触れることで、幸福そのものに対する認識が大きく変わる。現代社会で、自分だけが幸せだと感じることは本当に難しい。
単純な勝ち負けだけで判断するのではなく、人生そのものの豊かさを感じたい。
【7章】難しい本の読み方 できるだけ一流のものに触れたいのであれば、時代を超えて多くの人々に愛されてきた古典を選べば間違いはない。最初は難しいかもしれないが、一度習慣がつけばどんどん楽に読めるようになる。それが、思考・知識・人格を深めることに繋がる。むしろ、最初に難しい本を読んでしまおう。難しいかもしれないが、自分で調べたりしながら読み切ることで自信が付く。自信が付くことで、次も読める。
一人の作家に入れ込んでいると、視点が偏りがちになってしまい、思考も深まらない。その点に注意することでバランスの取れた視点が身に付き、『批判的に読む』ことができるようになる。
本書の目次

序章  なぜ、いま本を読むのか
第1章  読書をする人だけがたどり着ける「深さ」とは
第2章  深くなる読書浅くなる読書何をどう読むか
第3章  思考力を深める本の読み方
第4章  知識を深める本の読み方
第5章  人格を深める本の読み方
第6章  人生を深める本の読み方
第7章  難しい本の読み方

著者・出版

著者: 齋藤 孝(さいとうたかし)


【誕生日】1960(昭和35)年10月31日(月)
【干 支】ねずみ年
【星 座】さそり座
【血液型】O型
【出身地】静岡県静岡市
【家 族】妻・子供 2人(長男・次男)
【スポーツ】テニス

<学歴>
昭和54年3月 静岡県立静岡高等学校卒業
昭和56年4月 東京大学教養学部文科一類入学
昭和58年4月 同法学部進学
昭和60年3月 同学部卒業
昭和60年4月 東京大学大学院教育学研究科学校教育学専攻修士課程入学
昭和63年3月 同修士課程修了
昭和63年4月 同博士課程進学
平成5年3月 同博士課程満期退学
平成5年4月 東京大学大学院教育学研究科学校教育学専攻研究生入学
<職歴>
平成3年4月 日本学術振興会特別研究員採用
平成5年3月 同採用期間修了
平成5年4月 世田谷市民大学講師/慶応義塾大学非常勤講師
平成6年4月 明治大学文学部専任講師
平成10年4月 明治大学文学部助教授
平成15年4月 明治大学文学部教授


『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書に『読書力』『コミュニケーション力』『古典力』(岩波新書)『理想の国語教科書』(文藝春秋)『質問力』『現代語訳学問のすすめ』(筑摩書房)『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)等多数。

コメント

タイトルとURLをコピーしました