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MBAマーケティング(STEP6)価格戦略

Book Summary
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理解度チェック
(STEP6)価格戦略

【概要:Overview】
マーケティング戦略において、価格は常に大きな焦点である。なぜなら、価格戦略は企業が手にするキャッシュに直接影響を及ぼすからである。価格設定とはある種アートであり、ゲームでもある。価格はダイレクトに消費者に訴えることができるメッセージ手段であり、同時に競争相手に対するメッセージにもなる。つまり顧客がそれを受け入れるかどうかだけではなく、競合企業の価格にも左右されるのである。
価格の設定する際、上限と下限を規定するとしたら、一般的には下限は製造コストであり、上限はカスタマーバリューである。ただ、製造コストにしてもコストをどう定義するかということ自体が戦略的な含みを持っており、現在のコストを重視した設定にするのか、将来のコストまで見込んで考えるのか、経営的な判断によって数値は変わってくる。カスタマーバリューは顧客が適性と認める価格にであり、リサーチを通りしてカスタマーバリューを見極めていくが、これもマーケティング担当者の能力に依存することろが大きく、いわばさじ加減一つで変わってくるものである。このように価格と一言で言っても様々な決定要因があることは認識したうえで、環境や製品・サービスの特徴に合わせた価格戦略が求められる。

【方法:Method】
1.原価志向の価格設定:適性な利益を得て、かつ製造コスト増大リスクを最小化することを重視する手法。この方法は価格設定が簡単である反面、顧客が払ってもよいと考える価格よりも低い価格を提示してしまうリスクがある。

2.需要価格設定:市場セグメントごとに価格を変化させる方法で、顧客層や時間帯、場所によってい異なる価格が提示される。

3.新製品の価格設定:ペネトレーションプライシングやスキミングプライシングがあり、市場浸透か早期の資金回収を重視するか、判断が必要となる。


【事例:Case】
アメリカの皮革製品メーカのコーチは2001年にコーチ・ジャパンを設立した。コーチは従来は良質な皮の素材を使用し、しっかりとデザインで耐久性の高いカバンを提供してきた。しかしルイヴィトンやプラダなどヨーロッパの高級ブランドがグローバル展開を始めて、若い年齢層の顧客が離れていった。このような状況に強い懸念を抱いたコーチ経営陣は、大きなリスクを覚悟してビジネスコンセプトを「アクセシブル・ラグジュアリー(手の届く高級品)」に変更した。コンセプト変更とあわせて重視したのが価格帯である。ヨーロッパの高級ブランドの価格帯が7-8万、国内ブランドの価格帯が3万以下であることから、コーチは4-5万の価格帯を中心に製品をそろえたのです。

顧客ニーズを汲み上げ、開発・生産・販売など様々な活動を連動させながら、顧客によって価値のある製品・情報を提供していく。その青写真を描くためにマーケティング戦略を策定する。この一連のプロセスを詳細に説明していきます。
※詳細プロセスに興味ある方はリンク先を参照ください

●章ごとの要点

①環境分析

市場に影響を与える内外のさまざまな要因により構成されるマーケティング環境の分析を通して市場の機会と脅威を整理し自社の強み弱みを再確認する。

②マーケティング課題の特定

マーケティング課題を洗い出し、今回取り組む課題とマーケティング目標を明確する。

③セグメンテーション・
ターゲティング

市場細分化・標的市場選定プロセス。顧客市場をグループ分けして、どの顧客セグメントに焦点をあてるかを決定する。

④ポジショニング

競合製品と差別化し、顧客にアピールできるような自社製品を提供価値を決定する。

⑤製品戦略

新製品開発だけでなく、製品特性やライフサイクルを踏まえて製品ラインの拡張や集約など、市場投入後の製品の育成やマネジメントについて決定する。

⑥価格戦略

製品やサービスの価値を表示するという重要な役割をもち、企業は需要動向と利益のバランスをとりながら製造コスト、カスタマー・バリュー、競争環境に留意して価格を決定する。

⑦流通戦略

製品を効率的に市場に届けるために、製品の特性、ユーザ特性、競合環境などを総合的に考慮にいれて、最適な流通チャネルを選択し、構築する。

⑧コミュニケーション戦略

ターゲットとなる顧客に適切な情報を適切なタイミングで伝える方法を決定する。

⑨実行計画策定

マーケティングミックスを実現するために行動計画を策定し、予測損益計算書を作ったうえで、その戦略シナリオの戦略策定プロセスの全体像を把握する。

本書の目次

第1部 基礎編
第1章 マーケティングの意義とプロセス
第2章 環境分析と市場機会の発見
第3章 セグメンテーションとターゲティング
第4章 ポジショニング
第5章 製品戦略
第6章 価格戦略
第7章 流通戦略
第8章 コミュニケーション戦略

第2部 応用編
第9章 ブランド戦略
第10章 マーケティングリサーチ
第11章 顧客経験価値とカスタマージャーニー
第12章 BtoBマーケティング

著者・出版

著者: グロービス大学院


2006年4月に株式会社グロービスが東京都千代田区のキャリア教育推進特区を利用した「株式会社立大学」(学校法人ではなく営利企業としての株式会社が設置した大学)として創立した。その後、2008年には設置者を学校法人グロービス経営大学院に変更し通常の学校法人立の私立大学となった。経営研究科のみが設置されている。
「社会に創造と変革をもたらすビジネスリーダーの育成」をその教育方針に据え、原則として企業や官公庁、団体等における3年以上の社会人経験を有する者を対象にしている。現在は東京都千代田区と大阪市淀川区、愛知県名古屋市中村区、宮城県仙台市青葉区、福岡県福岡市博多区にキャンパスがある。2009年4月には英語によるMBAプログラムを開講した。

<経緯>
1992年 株式会社グロービス設立。
2001年9月 株式会社グロービス社長が、ビジネスマンのキャリアアップ教育構想として、GDBA(Graduate Diploma in Business Administration、「グロービス・オリジナルMBAプログラム」)を発表
2002年4月、アントレプレナリアル・リーダーシップがGDBA初の科目として先行開講
2003年4月、GDBAの本格的開講。グロービス・マネジメント・スクール名古屋校開校
2004年4月、グロービス・マネジメント・スクール大阪校開校。
2006年4月、株式会社グロービスがグロービス経営大学院大学を開学(東京校・大阪校)。
2008年4月、グロービス経営大学院大学の設置者を、株式会社グロービスから学校法人グロービス経営大学院に変更。

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