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アメーバ経営(日経ビジネス人文庫)稲盛和夫

Book Summary
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レビュー

アメーバ経営とは、京セラ名誉会長 稲盛和夫さんが会社を経営していく中で、実体験から編み出した経営手法です。 アメーバ経営を行っている京セラは、1959年の創業以来一度も赤字を出しておらず、1984年に創業されたKDDIの前身である第二電電も高収益を上げ、発展し続けています。アメーバ経営は、かつて京セラグループ内で門外不出とされてきましたが、対外的にもコンサルティングを行っていくことに方針を転換、専門展開するために設立されたのが京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の経営コンサルティング事業本部です。これまでさまざまな企業に導入され、近年では、日本航空(JAL)の再建や医療・介護分野へ導入・運用されるなど、アメーバ経営も進化・発展するとともに、大学などの機関からも着目され、学術的な見地からも研究が進められています。

アメーバ経営は「会社経営とは一部の経営トップのみで行うものではなく、全社員が関わるものだとの考えに基づき、会社の組織をできるだけ細かく分割し、それぞれの組織の仕事の成果を分かりやすく示すことで全社員の経営参加を促す経営管理システムである」という稲盛和夫考え方が貫かれています。 経営に関わるとは、経営者だけでなく社員も自分たちの収支を管理し、利益に対してしっかり責任を負うことを意味しており、全社員が利益管理に取り組みます。 アメーバ経営は会社組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団組織に分け、各アメーバのリーダーが経営者のように小集団組織の経営を行います。 アメーバを構成するリーダーとメンバーは、自部門の利益を最大化させることを目標に創意工夫を行い、日々の仕事に取り組むようになります。


<アメーバ経営の3つの特徴>
 1.非常に小さな組織で独立採算(役割・責任の明確化)
 2.収支決算は「時間当り採算」
 3.タイムリーで正確な経営情報

 

●アメーバ経営の目的

全員参加経営の実現

企業が継続して発展していくためには、社員全員が1つの目的のために協力し合えるような風土を醸成することが大切な要素となります。そのため、「アメーバ経営」では、社員全員の能力を最大限に発揮できる経営環境を実現することを目指します。社員全員が経営に参画して、一人ひとりが経営者意識を高めることによって、自らが所属するアメーバのために、そして会社全体の業績のために、貢献していこうと懸命な努力をしていくのです。

  • 自己実現の現場を生む
  • コミュニケーションの円滑化
  • 目標を達成する喜び(風土醸成)
  • 価値観を共有
  • 採算意識を醸成

経営者意識を持つ人材の育成

会社全体を小さな組織に分割し、その各組織を1つの商店や中小企業の集合体として再構成する。その小さな組織をアメーバと呼びます。そのアメーバの経営をリーダーと呼ばれる責任者に任せることによって、経営者意識を持った人材を育成していくことを目指します。

  • ミニ経営者を輩出
  • メンバーの育成
  • ビジョンを描く
  • 現場の知恵を集める
  • 自ら挑戦する
  • 経営指標を共有する

市場に直結した部門別採算制度の確立

会社経営の原則ともいえる「売上最大、経費最小」を効率よく実践するために、組織を小さな部門に分けて、市場の動きや変化に即座に対応できるような部門別採算管理を行います。

  • 経営トップが会社の隅々までよく見える
  • 現場が活動成果を認識する
  • マーケットの情報がタイムリーに伝わる
  • 経営課題が明確になる
  • タイムリーかつ正確な経営判断
  • スピード経営の実現
本書の目次

第1章 ひとりひとりの社員が主役
(アメーバ経営の誕生市場に直結した部門別採算制度の確立 ほか)

第2章 経営には哲学が欠かせない
(事業として成り立つ単位にまで細分化アメーバ間の値決め ほか)

第3章 アメーバの組織づくり
(小集団に分け、機能を明確に市場に対応した柔軟な組織 ほか)

第4章 現場が主役の採算管理―時間当り採算制度
(全従業員の採算意識を高めるために―部門別採算の考え方「時間当り採算表」から創意工夫が生まれる ほか)

第5章 燃える集団をつくる
(自らの意思で採算をつくる―採算管理の実践アメーバ経営を支える経営哲学 ほか)

著者・出版

著者: 稲盛 和夫(いなもり かずお)

1932年、鹿児島市に生まれる。1955年鹿児島大学工学部を卒業後、京都の碍子メーカーである松風工業に就職。 1959年4月、知人より出資を得て、資本金300万円で京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立し、社長、 会長を経て、1997年から名誉会長を務める。また1984年、電気通信事業の自由化に即応して、第二電電企画株式会社を設立し、会長に就任。2000年10月、DDI(第二電電)、KDD、IDOの合併によりKDDI株式会社を設立し、名誉会長に就任。2001年6月より最高顧問となる。2010年2月より、日本航空(JAL、現日本航空株式会社)会長に就任。代表取締役会長を経て、2013年4月より名誉会長、2015年4月名誉顧問となる。

一方、ボランティアで、全104塾(国内56塾、海外48塾)、14,938人の経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成に心血を注いだ(1983年から2019年末まで)。
また、1984年には私財を投じ稲盛財団を設立し、理事長(現在は「創立者」)に就任。同時に国際賞「京都賞」を創設し、毎年11月に人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。

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