本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。
問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。
私の会社では旧来からのMBOをベースにした評価制度を採用しており、個人的には今の世の中にアンマッチな制度だと感じていました。そんな時にOKRをベースとした評価制度を知り本書を手に取りました。帯に世界レベルで戦うためのシンプルで確実な方法を、シリコンバレーの伝統的なベンチャーキャピタリストが解説した一冊という解説がありましたが、読み終わった感想としては、「ORKのハウツー本だな」です。
OKRとは、目標「O」(Objectives)と主な結果「KR」(Key Results)を設定するフレームワークで、グーグルをはじめシリコンバレーのスタートアップから大企業、非営利組織に至るまで、多くの組織で採用されて結果を出しています。OKRを実践することにより、あらゆる規模の企業や組織において、やるべきことと責任の明確化、一段と高い目標への追求を促します。
OKRの意義は、全員をやるべき仕事に向かわせることにあると考えています。そのために、「何を、いつまでに、どうやって」実現するのかを、トップ自ら目標を設定し、それを明確に伝え、主要な結果を共有する。そして、結果を振り返り、次に向けた改善計画を立てることの繰り返しとなります。その際に、コミットする目標と野心的目標を切り分け、文化に応じたストレッチ目標を設定することも効果的です。但し、業務を支援するOKRと、継続的パフォーマンス管理(CFR)とのバランスを保ち、モチベーションの高い文化を醸成していくことが必要であることを本書で教えてくれています。
●ポイント |
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OKRの4つの威力 |
1.優先事項にフォーカスし、コミットする捨てる勇気を持ち、やらないことを決める。重要なこと、重要でないことを明確にして、やることを明確にし、その目標を必ず達成する。 2.アラインメントと連携がチームワークを生む全体目標が定まったら、OKRは計画段階から実行段階へ移行し、管理職もコントリビューター(組織に貢献する従業員)も、日々の活動を組織のビジョンと結びつける(アラインメント)。全社員ミーティングの場で、なぜ組織にとってOKRが重要かを説明する。ボトムアップのOKRの割合を健全に保つ(おおよそ半分が望ましい)。OKRを水平的に共有することでチーム同士を結び付け、部門ごとの縦割りを崩し、部門を超えた相互依存関係を可視化する。 3.進捗をトラッキングし、責任を明確にする外的報酬より、成果を示すオープンで具体的な指標によって、コントリビューター(組織に貢献する従業員)の意欲を高める。継続的な評価の更新と正直で客観的な採点を制度化し、コントリビューター(組織に貢献する従業員)とマネージャーの週1回のOKR個人面談を実施する。 4.驚異的成果に向けてストレッチする四半期目標の一部が未達に終わるリスクがあっても野心的目標を設定すべきであるが、非現実的なものにならないよう目標を高くしすぎない。限界に挑戦するストレッチ目標を賢く設定すれば、それに伴うリスク以上の見返りがある。ストレッチ目標を与えられた労働者の方が、生産性が高まり、意欲や積極性も高まる。 |
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継続的パフォーマンス管理(CFR) |
マネージャーが果たす役割のひとつは、人に関わるもので、他者との関係、相互の信頼感の醸成、コミュニティの創出である。OKRと同様に、CFR(対話、フィードバック、承認)も組織のあらゆる階層で透明性、責任、エンパワーメント(権限付与)、チームワークを大切にする。 <OKRとCFRは、相互に補強しあう性質>
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●OKRとMBOの違い |
![]() OKRとは? OKR(Objectives Key Resultes:目標と主要な結果)は、MBOに代わるアメリカ西海岸のカリフォルニア州のシリコンバレーに本社を置くGoogleやAmazon、Twitterなどで採用されている目標設定システム。「目標(Objectives)」と「主要な結果(Key Resultes)」は目標設定の両輪であり、原則と実践、ビジョンと実行である。「目標」とは人々を鼓舞する、はるか遠くにあるもので、「主要な結果」はもっと身近で、指標と結びついている。 目標(Objectives)とは、「何を」達成すべきか、重要で、具体的で、行動を促し、人々を鼓舞するようなものである。 目標は「困難な目標」の方が、楽な目標よりパフォーマンスを高めるのに有効であり、具体性のある「困難な目標」の方が、曖昧な文言で書かれた目標よりアウトプットの水準が高くなる。 従業員の熱意を醸成するためには、目標が明確に定義され、明文化され、オープンに共有されていることが大きく影響し、目標は組織の団結、明確さ、仕事に対する満足度につながる。 主要な結果(Key Resultes)とは、目標を「どのように」達成しつつあるかをモニタリングする基準である。 有効な「主要な結果」は、具体的で時間軸がはっきりしており、意欲的であると同時に現実的である。 何より重要なことは、測定可能で、検証可能でなければならない。 MBOとは? MBO(Management Buy-Out:目標管理制度)は、1960年代に多くの企業で取り入れて成果をあげたものの、限界も明らかになってきた。多くの企業では、目標は本社が中央集権的に決め、トップダウンで組織の末端まで降りていくのに時間がかかり、頻繁に更新しないために停滞する。 また、 KPIなどの数値が給与や賞与と連動するためリスクをとらない目標を設定する社員が多くなって、それが企業の停滞に繋がっているのも事実である。このように市場変化に合わせてリスクをとりながら柔軟な対応が求められる企業においては、MBOはアンマッチになってきている。 |
序文 ラリー・ペイジ
第1部 企業はOKRをどう使っているのか
第1章 グーグル、OKRと出会う
第2章 OKRの父
第3章 クラッシュ作戦――インテルのケーススタディ
第4章 OKRの威力① 優先事項にフォーカスし、コミットする
第5章 フォーカスする――リマインドのケーススタディ
第6章 コミットする――ヌナのケーススタディ
第7章 OKRの威力② アラインメントと連携がチームワークを生む
第8章 アラインメント――マイフィットネス・パルのケーススタディ
第9章 連携する――インテュイットのケーススタディ
第10章 OKRの威力③ 進捗をトラッキングし、責任を明確にする
第11章 トラッキング――ゲイツ財団のケーススタディ
第12章 OKRの威力④ 驚異的成果に向けてストレッチする
第13章 ストレッチ――グーグル・クロームのケーススタディ
第14章 ストレッチ――ユーチューブのケーススタディ
第2部 働き方の新時代
第15章 継続的パフォーマンス管理――OKRとCFR
第16章 年次勤務評定を廃止する――アドビのケーススタディ
第17章 明日はもっとおいしく焼こう――ズーム・ピザのケーススタディ
第18章 文化
第19章 文化の変革――ルメリスのケーススタディ
第20章 文化の変革――ボノのONEキャンペーンのケーススタディ
第21章 これからの目標
参考資料① グーグルのOKR実践マニュアル
参考資料② 標準的なOKRサイクル
参考資料③ パフォーマンスを話し合う
参考資料④ まとめ
著者: ジョン・ドーア
クライナー・パーキンス会長。世界的ベンチャー・キャピタル、クライナー・パーキンスの会長。1980年にクライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ(KPCB)に加わり、Amazon、Google、Twitter、ネットスケープなど数多くの世界的な成功企業に初期段階から投資。投資先が大企業へと成長を遂げるなかで、時価総額世界2位と3位の企業を生みだし、50万人以上の雇用創出にかかわってきた。クライナー・パーキンスでの職責以外では、公教育、気候変動、世界の貧困といった問題に関心を寄せる社会起業家と共に活動しており、オバマ財団およびONEの理事を務めている
共同著者:ラリー・ペイジ: アルファベットCEO、Google共同創業者
翻訳: 土方 奈美 (1995年慶應義塾大学文学部卒業、日本経済新聞社入社。日本経済新聞、日経ビジネスなどの記者を務めたのち、2008年に独立。2012年モントレー国際大学院にて修士号(翻訳)取得。米国公認会計士、ファイナンシャル・プランナー)
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