スポンサーリンク

成長企業は、なぜOKRを使うのか?(ソシム)グジバチ

Book Summary
スポンサーリンク
理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

■ 近年、人材マネジメントの手法として注目を集めているOKR。「Objectives and Key Results」の略称で、企業の階層ごとに達成すべき目標と成果指標を定め、企業全体と各部門、個人の目標をリンクさせることが特徴である。グーグルやフェイスブックが採用して成果を上げたことから、日本企業でも導入する企業は多いが、その運用は必ずしも容易ではない。本書は、グーグルの人事責任者としてOKRの導入・運用に携わった著者が、導入企業の事例に基づき、その本質と成果を上げるための秘訣を提供する。

■ 本書では日本企業6社の導入事例を紹介。老舗の製造業や気鋭のIT企業、著者が代表取締役を務めるプロノイア・グループなど事例はバラエティーに富んでいる。各事例には、「なぜ、OKRを導入するのか」「OKRはどのように運用するのか」「OKRは企業の何を変えるのか」などのテーマが掲げられ、うまく機能させるための運用のポイントや手法、利点、1on1との連動のコツなどが、図解で分かりやすく解説されている。自社の実情に合わせた柔軟な運用とカスタマイズの手がかりを得られるだろう。

■ 著者は、企業が生き残っていくためには人材マネジメントの考え方を変える必要があり、その中で企業が抱える「時間ではなく成果で人を管理する」「個人のアイデアや独創性を尊重する」といった課題の解決にOKRが有効だと説く。先進企業にただ追随するのではなく、知識やノウハウ、基本概念などを正しく理解し、本質から外れることなく、OKRを導入・運用するために、お薦めしたい一冊である。

導入事例
小橋工業 ( http://www.kobashiindustries.com/
■会社概要:池井戸潤さんの「下町ロケット」の企業モデルであり、創業1910年(明治43年)以来、一貫して農機具のロータリー、代かき機などインプリメントメーカとして歩んできた。資本金1億円、従業員300名、ニッチかつレガシーな製品を取り扱う中堅メーカであり典型的な地方のファミリービジネス。日本の農業市場は半減しているが小橋工業は業績維持している、これはモノづくりへの誇りが他社より高い品質を実現させてきたが、近年農業のスマート化にあわせて様々な企業との業務提携を行わないと生き残れない状況。

ORK導入ポイント:
①創業100年を超える企業の誇りを活かしさらに昇華させるためのマネジメントツールとしてOKRが有効だった。グーグルやフェイスブックなどで導入されているからという理由で採用すると失敗する、まずは「何をかえたいか」を明確にし、覚悟を決める。

②「今利益が出ているからよい」という雰囲気が蔓延しており、組織を変革するためにOKRは、仕組を変え⇒習慣を変え⇒結果を変え⇒意識を変えるツールとしては最適であった。もちろん社内の守旧勢力が反対するが、粘り強く語り続ける。

③ボトムアップで、社員が自主的に提案や行動する組織への変革をもたらすツールとして最適だった。「自ら何を生み出しているか」を考えられるような環境づくり。
Hameehttps://hamee.co.jp/
■会社概要: スマホやタブレット向けアクセサリーのデザイン・販売に加え、クラウド型EC事業支援システムが順調。Hameeは1998年に携帯電話などのモバイル機器のストラップ製造販売を有限会社として創業。その後、モバイル周辺アクセサリ全般へと領域を広げかつECシステムの販売・サポート事業も拡大し、急成長を遂げている。会社の急成長によりビジネスの幅が広がり、人員が増えたことで、各部署が何を考えているのか、どのような仕事をしているのかが見えづらい状況下で、そもそも会社の方向性について全員が一致した認識を持っているかさえ危惧されていた。

ORK導入ポイント:
①小さな組織だったころのようにメンバのだれもが互いの業務内容を理解し、目標を共有できる状態に戻したいと思い、その手段としてOKRを選んだ。

②MBOとOKRを両方並行で運用。OKRは評価に紐づけない形で運用した。人事評価と連動しない形でのOKR導入は可能で、「OKRで何をしたいか」が重要。

③会社独自のOKRを確立するまでトライ&エラーを続ける。最初からスムーズに機能することはすくなく、失敗しながら独自のOKRを構築していく意識をもつ。
Sansan https://jp.sansan.com/
■会社概要: 2007年に設立、クラウド型名刺管理の法人向けサービス草分け企業である。個人向けビジネスSNS『Eight』も展開し急成長を遂げている。Sansanは企業のミッションを重視するミッションドリブンな企業だ。「出会いで世界のビジネスシーンを変える」⇒「出会いからイノベーションを生み出す」のように時代に応じてミッションを変え変化を続けてきた企業である。全社員が参加する「S1会議」で経営層から全体に向けたメッセージが発信され、経営と社員を関連づける取り組みを続けている。その中でカンパニーOKRと言われる、会社のミッションを大々的に発表するなど経営層の努力がうかがえる。SansanがOKRを導入したのが2015年である。理由は自分の会社にマッチしそうだからというシンプルなもので、試して上手くいけば続ける、ダメならやめるという会社の柔軟性がうかがえる。

ORK導入ポイント:
①MBOでは部門ごとの目標がぶつ切りになるのを、OKRは部門ごとの目標が関連付けられ、これまでにない効果を生む。

②ストレッチした達成が難しい目標を設定し、Sansanではその目標を必達とする文化をつくった。OKRはムーンショットには70%程度の達成可能性のある高い目標を掲げ、それを必達とすることでSansanは猛スピードで成長している。

③4半期に1回のOKRを全社員設定すると残り2か月でKRを達成しなければいかないので、組織としてのKRをまず決め、その後個人に落とし込むやり方をとった。そうでないとOKR自体が本末転倒なものになる。

④1on1はメンバー8割、リーダ2割の割合で話す。不満が多い社員には、1on1の目的がガス抜きではなく仕事の課題を把握し解決を支援する場ということを理解する。
SPEEDAhttps://jp.ub-speeda.com/
■会社概要:「 企業の進化に、 スピードを。」情報にあふれ、凄まじいスピードで変化し続ける現代。 情報を迅速に掴み、素早い意思決定を行う必要性が高まっています。 SPEEDAは、2008年に株式会社ユーザベースの創業者である梅田優祐、新野良介、稲垣裕介の3人が中心となり産み出されました。 ビジネスパーソンの情報収集・分析の課題を解決し、 企業の進化を加速させる情報プラットフォームを提供します。2016年下期に売上目標未達になった時に会社戦略と現場意識の乖離を課題としてとらえ、「現場で迅速な意思決定し、各地域のユーザニーズに応じた価値提供」を目的にOKRを導入しました。

ORK導入ポイント:
①ボトムライン(経営方針に納得感がある、評価されている、休めている、給与面、福利厚生)において満足している状態。従業員満足度調査(PlusSurvey)の指標を見えるかする。

②学びの機会を得ることが出来る環境をOKRで提供。自分のキャリアに対する目標を達成できる状態、自分自身の成長を促す学習機会が得られる状態を作るツール。失敗を許容しムーショットを目指す文化を形成するためにOKRを利用する。

③エンゲージメントとは、組織に対して愛着、誇り、帰属意識を持つことである。エンゲージメントは従業員同士の関係構築に繋がり、働き甲斐が高まり、それが魅力的な企業を作る。

 

●OKR導入ステップ

①:Objective(目標)を設定する

まず、Objective(目標)の設定をおこないます。Objectiveを設定するときは、以下の3点に注意しておく必要があります。

Objective(目標)を1つに絞って設定する

Objectiveを設定する際は、1つに絞って設定するのが好ましいです。Objectiveをいくつも設定してしまうと、チームとしての方向性がブレたり、見失ってしまう可能性があります。

社員がわくわくするようなObjectiveを設定する

先ほども触れましたが、このOKRでは企業の目標と個人の目標は連動しています。そのため、従業員がわくわくすると思える目標でなければ、モチベーションを引き上げることができません。

1つ上の階層のOKRに紐づけて設定する

各階層においてOKRを設定するときは、その1つ上階層のOKRに紐づけて設定する必要があります。組織レベルのOKRを設定する場合はその上位に位置する企業レベルのOKR、個人レベルでOKRを設定する場合はその上位に位置する組織レベルのOKRに紐づけて設定していきます。

②:Key Result(主要指標)の設定

次に、Objectiveをもとにそれに準ずるKey Resultを設定します。このKey Resultを設定するとき、以下の2点に注意しておく必要があります。

具体的な数値目標(定量目標)を設定する

Key Resultは定期的に再評価と再設定(振り返り)をおこない、改善していくものです。再評価と再設定をおこなうためには、目標に対して実績がどうだったのか、難易度が適切だったのかといった目標と実績のギャップを可視化する必要があります。

期限(いつまでにその目標を達成するのか)を設定する

Key Resultを設定した際には、その目標の期限を定めておく必要があります。目標を設定した場合、いつまでにそれを達成するのかを定めておくことで、進捗が追いついているのかどうか、客観的に判断することができます。

③:OKRの共有、調整、レビュー

ObjectiveとKey Resultを設定し終わったら、次はそのOKRを社内、部署内、チーム内で共有します。その際、どこかの部署やチームのOKRの難易度が高過ぎないか、もしくは低過ぎないかなど、全ての部署やチームのOKRを調整していきます。
次に、設定したOKRを定期的に進捗確認し、順調に進んでいるのか遅れているのかなどをレビューする必要があります。例えば、上司との1on1ミーティング、チーム内や組織内での話し合いなど、さまざまな方向で定期的にコミュニケーションをとってレビューし合う必要があります。

④:成果測定

最後に、設定したOKRをどれほど達成できたか、成果を測定する必要があります。
具体的には達成できたのかできなかったのか、達成率を確認し評価すると同時に、その要因は何だったのかを上司との1on1、チーム内、組織内で振り返ります。そしてその評価に応じて、次も同じ目標で続けるのか、もしくは目標自体を修正するのかなど、次のOKR設計に活かします。

OKR(サンプル)
サンプル1
サンプル2

【全社OKR】
Objectives:新発売のアプリを大成功させる
Key Results:無料版ダウンロード 〇件/週
Key Results:有料プラン申込み数 〇件/週
【マーケティング部OKR】
Objectives:中小企業を中心に、良さを分かってもらおう
Key Results:中小企業向けセミナー集客 〇人
Key Results:中小企業の無料版ダウンロード 〇件/週
Key Results:大企業の無料版ダウンロード 〇件/週
OKRとMBOの違い

OKRとは?
OKR(Objectives Key Resultes:目標と主要な結果)は、MBOに代わるアメリカ西海岸のカリフォルニア州のシリコンバレーに本社を置くGoogleやAmazon、Twitterなどで採用されている目標設定システム。「目標(Objectives)」と「主要な結果(Key Resultes)」は目標設定の両輪であり、原則と実践、ビジョンと実行である。「目標」とは人々を鼓舞する、はるか遠くにあるもので、「主要な結果」はもっと身近で、指標と結びついている。

目標(Objectives)とは、「何を」達成すべきか、重要で、具体的で、行動を促し、人々を鼓舞するようなものである。 目標は「困難な目標」の方が、楽な目標よりパフォーマンスを高めるのに有効であり、具体性のある「困難な目標」の方が、曖昧な文言で書かれた目標よりアウトプットの水準が高くなる。 従業員の熱意を醸成するためには、目標が明確に定義され、明文化され、オープンに共有されていることが大きく影響し、目標は組織の団結、明確さ、仕事に対する満足度につながる。

主要な結果(Key Resultes)とは、目標を「どのように」達成しつつあるかをモニタリングする基準である。 有効な「主要な結果」は、具体的で時間軸がはっきりしており、意欲的であると同時に現実的である。 何より重要なことは、測定可能で、検証可能でなければならない。

MBOとは?
MBO(Management Buy-Out:目標管理制度)は、1960年代に多くの企業で取り入れて成果をあげたものの、限界も明らかになってきた。多くの企業では、目標は本社が中央集権的に決め、トップダウンで組織の末端まで降りていくのに時間がかかり、頻繁に更新しないために停滞する。 また、 KPIなどの数値が給与や賞与と連動するためリスクをとらない目標を設定する社員が多くなって、それが企業の停滞に繋がっているのも事実である。このように市場変化に合わせてリスクをとりながら柔軟な対応が求められる企業においては、MBOはアンマッチになってきている。
本書の目次

1章 なぜ、OKRを導入するのか
2章 OKRはどのように導入するのか
3章 OKRはどのように運用するのか
4章 OKR運用ではなぜ1on1が重要なのか
5章 OKRは企業の何を変えるのか
6章 OKRをもっと活用するために
7章 なぜいま、日本企業にOKRが必要なのか

著者・出版

著者: グジバチ,ピョートル・フェリクス

ポーランド生まれ。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、さらに2014年からは、グローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。現在は、独立して3社を経営。プロノイア・グループでは、国内外のさまざまな企業の戦略、イノベーション、管理職育成、組織開発のコンサルティングを行う。2社目のモティファイは新しい働き方といい会社づくりを支援する人事ソフトベンチャー。3社目のTimeLeapでは次世代人材を育む教育事業に取り組んでいる。日本在住19年(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

コメント

タイトルとURLをコピーしました