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『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方 (アスコム) 井島由佳

Book Summary
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レビュー

「強い自分を作るには、当たり前のことを当たり前に実践する」私はこれこそが本書のキーメッセージだと受け取りました。 国民的マンガとなった『鬼滅の刃』の主人公の炭治郎が強くなっていく姿を通して、人生を切り開く方法を心理とキャリアの専門家・井島由佳さんが読み解きます。素直さ、諦めない心、自分で考える力 について鬼滅の刃を通して分かり易く説明されているので、本書を手に取る前に鬼滅の刃のアニメもしくは漫画に触れておくことをお勧めします。

<鬼滅の刃の人気の理由>
快進撃を続けている鬼滅の刃だが、なぜここまで人気が広がっているのだろうか。

==「死」と向き合うストーリー ==
少年漫画のヒット作に共通している点としては「友情」「努力」「家族」「恋愛」「勝負」などが挙げられ、鬼滅の刃でもストーリーの随所にこうした要素が盛り込まれている。ただ、このような要素を盛り込んでいるマンガはほかにあるにも関わらず、鬼滅の刃はなぜここまで際立った人気ぶりとなったのか。鬼滅の刃がほかの作品と異なる点は、「死」に向き合うシーンが非常に多いことだ。ストーリーにおいて重要な役割を果たすキャラクターが次々と死んでいき、生きる価値を読者に考えさせる。キャラクターの死を含め、緊張と緩和が目まぐるしく繰り返されることも、読者をどっぷり鬼滅の刃の世界観にのめり込ませることにつながっている。

== 幅広い年齢層でファンを獲得 ==
鬼滅の刃の累計1億部という数字は、特定の層に支持されるだけでは達成できない数字だ。鬼滅の刃は若者から大人まで、年齢や性別を超えて支持されている。その理由としては、多くの層が共感できる家族愛や兄姉愛などがストーリーに盛り込まれているからだと言われている。また、鬼退治という分かりやすいストーリーの中で奥深い心理描写がなされている点も、子供だけではなく大人を惹き付ける理由となっている。

== アニメ放送前に映画館で先行上映 ==
鬼滅の刃をマーケティング的な観点で分析すると、アニメ化などの際に過去に例がない試みが行われている点にも気づく。鬼滅の刃はアニメ化の際、テレビ放送前の2019年3月に映画館で第1~5話の特別版が先行上映された。2週間の限定公開だったが、この試みが話題を呼び、FacebookやTwitterなどのSNSなどを通じて鬼滅の刃のアニメ化の情報が広がった。

本書のPoint(当たり前のこと当たり前に)
目の前の課題に「素直に」、「愚直に」取り組む
炭治郎が強くなれた秘訣は、ばか正直と言っていいほどの素直さと愚直さがあると思います。先入観やバイアス(偏見)がありすぎると、物事に素直に取り組めません。楽しいか楽しくないかはやっていてから判断すればいいのです。
自分で考え、「自分の型」を見出す
人間は誰かに何かを教えられながら成長するものですが、いつかどこかで自分で考える必要に迫られる時があります。誰も教えてくれない。自分で答えを導き出さねばならない。そんな局面は誰にでも訪れます。 その時に如何に自分と向き合い思考を深堀できるかが成長と大きく関連してくるのです。
自分で考え ひとつのことに徹底すると、やがて自分なりの型が見つかる。炭治郎の同期である我妻善逸(あがつまぜんいつ)は、師匠から伝授された「雷の呼吸」の6つの型のうち、結局「壱の型」しか使えなかった。だがその型を徹底的に磨き上げ、ついにはオリジナルである7番目の型を生み出し、因縁の敵を撃破することに成功する。古くは茶道の「守破離」にも見られるように、ひとつのことに真剣に向き合えば上達するし、その先に独自の個性も生まれる。
何事も「積み重ね
強い自分をつくるためには、目標を持つこと、そして壁に跳ね返されたとしても、何度でもあきらめずにチャレンジすることが大切だ。いまのやり方がダメだと思ったら、別の方法を考えてみる。特に大きな目標を達成しようとするとき、その道のりは長く困難なものになる。だが苦しい時期や鍛錬に耐えることで、人間は確実に成長できる。『鬼滅の刃』の第6話で、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が最終選別試に出た鬼の頸(くび)をはねることに成功し、自らの成長を実感したシーンがある。修行を積み重ねることで、技術が向上し、結果として精神力も強くなったのだ。積み重ねた先の成功は、「自分はできる」という有能感を高めてくれる。何事も積み重ねることが基本である。
本書の目次

第1章
強い自分づくりに欠かせない、たったひとつの心がけ
~「積み重ね」がひとりの炭売りの少年を変えた~

第2章
折れない心のつくり方
~炭治郎はなぜあきらめないのか~

第3章
強い人がやっている自分を強くする習慣
~炭治郎が強くなった理由~

第4章
仲間を引きつける「強さ」の秘けつ
~炭治郎の優しさは真の強さの表われ~

第5章 人間の弱さを鬼に学ぶ
~鬼は人間の反面教師だった~

著者・出版

井島由佳(いじま ゆか)


大東文化大学社会学部社会学科助教、心理・キャリアカウンセラー
1970年東京生まれ。東京家政大学大学院家政学研究科人間生活学専攻修了。博士(学術)。専門は教育心理学、キャリア心理学。CDA、産業カウンセラー。ライフキャリアとマンガに関する研究を行う。キャリアデザイン、チームビルディング、メンタルヘルスなどの専門家。自治体や企業等で研修講師を務める。学校教育において、キャリアデザインに関するテキスト作成と教員研修、キャリアカウンセラー養成講座を長年にわたり担当し、大学のキャリアセンター長として、学生の就職も支援。また、キャリアデザイン授業のプログラムも開発している。

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