スポンサーリンク

志高く 孫正義正伝 (実業之日本社文庫)井上篤夫

Book Summary
スポンサーリンク
レビュー

本書はジャーナリスト井上篤夫氏が、孫正義の半生を十数年にわたって取材した上でまとめあげた公認の「孫正義物語」。ソフトバンク創業前の少年時代からバークレー校卒業までに半分のページをさくと共に、創業後もヤフージャパンを設立する創業15年目くらいまでに多くのページがさかれている。ソフトバンクと言えば、日本にブロードバンド革命を起こし、モバイル・インターネット環境を整備したというイメージが強いが、筆者はそういった「事を成す」レベルになるまでの過程により焦点をあてている。そういう点で、本書が描いているのは、ソフトバンクという会社の成功物語ではなく、ソフトバンクという会社をアウトプットした孫正義という人間がどのようにできあがったのかという「孫正義のできるまで」とみるほうが自然だろう。

孫正義という人物の能力は常人のそれを遥かに超えている。時代の先を見通す高い先見性と深い洞察力、掲げたビジョンに対して全くぶれない徹底した一貫性、各分野のナンバーワンを動かす燃えるような情熱、どんな困難に直面してもやり抜く強い実行力、文字通り命をかける凄まじいまでの覚悟、現状に甘んじることなく常にリスクをとり続けるチャレンジ精神、などどれをとっても超一流であり、その凄まじさが本書ではありありと描かれている。正直、私とはレベルが違い、ゴルフの腕も含めてとてもかないそうもない。ただ、不思議なのは本書を読んだ後に覚える感覚は、手の届かない別次元にいる人間に対する羨望感ではなく、自分も今日から頑張ろうという力強い自分の内なる活力だ。

結局孫正義の全ての能力の源泉となっているのは「一度きりの人生を後悔なく思いっきり生きてみたい」という誰しも持ちうる普通の想いなのだ。確かに、天才と言われるような才覚は持っているかもしれない。ただ、彼と普通の人を分けるのは持って生まれた才能より、「人生は一度きり」という事実に対してどれだけ真摯か、どれだけ純粋かつ真面目にその誰もが直面する事実に取り組んでいるか、のみだということが本書を読むとよくわかる。

本書のPoint
孫正義はどんな人
グループ企業は約2000社日本で知らない人はいないほどの大企業ソフトバンクグループ、その代表であり創始者が孫正義です。まだソフトバンクが今ほど大企業ではなかった頃、国営から民営化された日本のトップ企業であるNTTを相手に、通信分野で無謀とも言える戦いを挑みました。結果、毎年着実の顧客数を伸ばし肩を並べるほどに成長します。「不可能を可能にする事業家」として知られており、IT企業を中心に多岐に事業を展開。日本を代表する事業家でありながら、一方では莫大な資金による買収や投資を繰り返すことから投資家とも言われています。
起業のヒント
成すことすべて成功している百戦錬磨のようにも見られますが、決してそんなことはありません。挑戦的な経営な経営を続けていて、それでも成功をおさめる。そんな興味深い手法がいくつも描かれているストーリーです。

それも既存アイディアで勝負する人ではなく、未知の分野である先進的なアイディアで事業を始めてきた人です。1つや2つのアイディアではおさまらず、まさにアイディア・バンク(宝庫)です。もちろん既存事業の展開もありますが、そこにはやはり孫正義の頭脳が加わった事業になっています。先進的なアイディアの生み出し方や日々の行動は参考になるはずです。
本書の目次

【目次】
第1部(正夢;男の出発;飛び級 ほか)
第2部(青春のドン・キホーテ;巨人と天才;事を成す ほか)
第3部(不退転;夢の実現;三〇〇年先の未来 ほか)

著者・出版


井上篤夫(いのうえ あつお、1947年7月15日 – )

日本の作家・翻訳家。アメリカ、英国を中心に、時の人物を深く掘り下げた評伝を数多く執筆。翻訳の分野でも活躍している。

人物・来歴

1947年(昭和22年)岐阜県岐阜市に生まれる。

地元の小学校、中学校、高等学校を卒業。早稲田大学在学中から、週刊誌記者を始めた 。 1976年、集英社「週刊プレイボーイ」のアメリカ建国200年企画「VIPインタビュー」で、1か月間にわたり全米各地を取材した。ビートルズのジョージ・ハリスン、元米大統領ジミー・カーターの息子などをインタビュー。

その後も英国のベストセラー作家ジェフリー・アーチャー、女優のブルック・シールズ、元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ、米の元陸上競技のスーパースター、10のオリンピックメダリストのカール・ルイスなどをインタビュー。1982年11月、渡英、ストロベリー・フィールド、リバープール、ビートルズ・メンバーの生地などビートルズの「足跡」を訪ねる。1987年、マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長、CNNのテッド・ターナー会長などをインタビュー。同年10月16日、ソフトバンクの孫正義社長をインタビュー。以後、「時代を作る男・孫正義」を取材続ける。

コメント

タイトルとURLをコピーしました