スポンサーリンク

実行力 (PHP新書) 橋本徹

Book Summary
スポンサーリンク
レビュー

大阪都構想を推し進めていた時の橋下さんの実際の組織の仕組みづくりのやり方が詳細に描かれています。リーダー・マネージャーとして活躍していきたい人はもちろんの事、組織で働く多くのビジネスマンにとって、上司の視点、組織としての在り方などを考える上で、多くの学びがありました。組織を動かし、大きなことを成し遂げていくことで、自らの人生の目的を叶えていく、そのために必要な「仕組みづくり」を学ぶための指南書として、オススメの一冊です。

橋下さんが大阪府庁1万人、大阪市役所3万8千人の組織を動かしてきたその手腕の根底には「実行力」があると言えます。本書では、僕が大阪府知事、その後に大阪市長として八年間、どのように人や予算や物事を動かし、実行してきたか、 実際の大阪都構想の際にはどのようなプロセスによってその偉業を為し遂げてきたのか具体的に生々しく橋下さんがそのときに心がけていたこと、学んだことなどをつぶさに述べられています。まさにお役所のブラックボックス化された内情を覗いているようで読んでいて少しドキドキしました。

「実行力」だけにフォーカスを当てられているので、本書の主張も実にシンプルでスッと理解できました。橋下さんに興味がある方、リーダとしての実行力に悩まれている方は手にとって見てはいかがでしょう?

本書のPoint
部下との人間関係なんか気にするな
リーダーとなり、マネジメントをする立場になって、部下との人間関係に悩むマネージャーが多くいます。そもそも、有効な人間関係を構築することというのはとても難しいものです。最初からそういうものとして取り組んでいくことで、気が楽になることと、人間関係を根底に置くのではなく、「仕事を根底に置く」ことを重視することが大切 ということです。
リーダーは、「小さな問題点」には目をつぶり「大きな問題点」を見つける

最初にリーダーのポストに就いたとき、考えるべきことは、「現場の仕事」と「リーダーの仕事」の仕分けです。僕は、現場に任せてやってもらう仕事の領域と、橋下さんが主導権をもってやる仕事の領域の仕分けにこだわったということです。
リーダーの仕事は「決断すること」そのための情報共有を
リーダーとしての役割の重要なものの一つが「意思決定」にあります。ここでは、自らの意思決定の判断軸を部下に示していくことが重要ということです。自分はどういう価値観・判断基準で意思決定をしているのかこれを部下が認識しながら判断を仰ぐことで意思決定スピードと質が大幅に向上に繋がります。
リーダーの仕事は「部下ができないことを実行すること」
ここでいう、部下ができないこと、というのは小さなことではなく、本当に度肝を抜くような衝撃を与える出来事であることが望ましいです。橋下さんは、大阪城庭園での「モトクロス大会」を実行することで、多くの職員からの信頼を得ることができました。リーダーとは、部下の力ではできない衝撃を与えることで、成功事例を見せ、風土・文化醸成から組織の意識改革を行うことで組織の仕組みを変えていく事が仕事なのです。
ビジョンがあっても「実行プラン」がなければ、何も動かない
リーダーの仕事として、ビジョンを作ること、という重要な仕事がありますが、ビジョンを掲げるだけで組織が動くことはありません。そこには具体的にどうやってビジョンを実現していくのかという「実行プラン」が必要になります。そのため、ビジョンの策定と組織作りはセットで考える必要があります。
本書の目次

<目次>
第1章 まずは、人を動かす―実行のための人間関係、人事の要諦
・部下との人間関係なんか気にするな
・反対派は、あえて積極的にそばに置くこと
・「よりによってあの人を腹心の部下に?」大阪市長時代の驚愕人事

第2章 本当に実行すべき課題はどう見つけるか―橋下流・問題解決のノウハウと、マインドの持ち方
・「課題の発見」をするための本や新聞の読み方
・「判断の軸」を部下に示すことは問題解決の第一歩
・正解をたぐり寄せる「心証」という方法

第3章 実行し、信頼される人の条件とは―部下は結局、上司の背中を見て動いている
・「最初の衝撃」で組織の意識は劇的に変わる
・リーダーの仕事は、部下を「やる気」にさせること
・人がついてくる最大の理由は「共感」

第4章 実行のための「ビジョン作り」と「チーム作り」―結果を出す「仕組み」はこう作る
・ビジョンの作りかたは「逆張りの法則」
・僕が心底関心したトランプ政権のシンプルな方針
・チーム作りにおける「失敗の本質」

第5章 上司を動かし、提案を通す―「トップの視界」を想像しながら仕事をする
・トップは「比較優位」で考えている
・上の人と話すときは「一つ上の枠組みの目線」を意識せよ
・評価を上げる提案と下げる提案の大きな違い

第6章 情報を制する者は、組織を制す―強い組織は、情報共有の横串がしっかり入っている
・一部の人に政治力を握らせないための、メールの活用法
・メールで現場の情報を吸い上げ、活用する
・実行できる組織は、格子状が理想形

第7章 日本と大阪を「実行できる組織」にするために―徹底的に考え抜かれた大阪都構想の実行プロセス
・大阪都構想は、単なる提言ではなく「実行プラン」だった
・実行するには時に「力」も必要になる
・大阪が変わり続けられるかどうかは、大阪の政治行政の「仕組み」次第

著者・出版

橋下徹(はしもと とおる)

1969年06月29日:東京都渋谷区生まれ
1988年03月:大阪府立北野高等学校卒業
1994年03月:早稲田大学政治経済学部卒業・司法試験合格
1997年:弁護士登録。翌年、大阪市北区で橋下綜合法律事務所を設立
2003年04月:『行列のできる法律相談所』にレギュラー出演開始
2008年02月:大阪府知事就任。38歳での就任は当時全国最年少
2009年度:世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersの1 人に選出
2011年12月:大阪市長就任
2015年05月:大阪都構想の賛否を問う住民投票。得票率差1%未満で否決される
2015年12月:任期満了で大阪市長を退任。政界引退

コメント

タイトルとURLをコピーしました