・いくら話しても、言うことを聞いてくれない。
・打ち合わせや会議で決まったのに、何も進まない。
・いろいろと指示しても、動かない。
このような悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。実はそれ、話し方の問題かもしれません。本書では、著者の赤羽氏がマッキンゼーや多くの企業支援の場で培ってきた「仕込み・仕切り・仕上げ」という話し方のノウハウをお伝えします。話し方が変われば、目の前がパッと明るくなり、「自分がやりたい」と思っていたことが次々と実現できるようになります。
物事を進めていても、自分も我慢せず、相手を嫌な気持ちにさせず、 お互いにとってよい結果を出すことができます。苦手だった人との会話にも苦労しなくなるでしょう。
人を動かす出発点は、こちらの考え、気持ちを伝え、共感してもらうことです。そのためには最低限、「相手の立場にたった納得感のある根拠を示す」「大きめの声で、伸びやかに話す」「語尾をあいまいにせず言い切る」はきっちり行いましょう。
そのうえで
・話す前の「仕込み」(相手に話す前の準備を怠らない/相手との関係性を作る/相手を知る)
・話している間の「仕切り」(話しながら/自分の目的を果たすべく/相手を味方につけていく)
・話した後の「仕上げ」(話した後、目的を果たすべく相手をフォローしていく)
を行えば物事は間違いなく良い方向に進みます。
●本書のPoint |
■ 「仕込み」話す前に勝負は決まっている 仕込みとは、「普段からの関係構築・相手の状況把握・話す前の準備・協力者の確保」のことを言います。いかに事前に準備をしていくかが勝負を決めるのです。この「仕込み」が結果を大きく左右させます。特に、「相手の状況把握」には力を入れることが大切です。相手の立場や直近の事情をできるだけ理解していくことで、どうアプローチすべきかを判断できるからです。 これは、取引先だけでなく、会社の上司・同僚・友人にも効果的です。そして、「仕込み」の中でも1番大切なのは「大義と落としどころ」です。大義 = 相手がなぜこちらのお願いに合意しなければならないか落としどころ = やりとりした結果、互いに合意できるラインこれらを事前に明確に決めておくことです。事前に明確に決めるで趣旨を理解してもらえ、前向きに検討してくれる可能性はグンと上がります。さらに、継続的に上手くいく可能性も上がります。 それぞれのポイントについて話していきます。 <大義を伝える際の注意点> ・1人よがりな提案をしていないか ・拙速すぎる提案をしていないか ・無理やりな提案をしていないか <落としどころの見つけ方> ・相手の立場や事情を考え、どこで線引きするかを決めておく ・現実的な見方で考えておく ・現実的な見方 = あるべき姿を踏まえながら、実際にやろうとしたとき、過度に無理せず実行できる方法 |
■ 「仕切り」共感で、相手を動かす 仕切りとは、「こちらの望む方向に相手を動かしていくこと」をいいます。 相手の会議を上手くリードしたり、外堀を埋めて合意するしかないようにするのです。大切なのは、自分ファーストではなく、相手ファーストです。通常の進め方では、こちらの思いを伝え、何とか受け入れてもらおうとすることが多いです。これは、自分ファーストになっています。 上手く仕切るための流れを話していきます。 [ ① ] 雑談から入る 会議の始めに挨拶がしたら、すぐに本題に入らず、まずは雑談から入ります。 雑談は、お互いのことをよりよく知ることができるので、無駄ではないんです。 [ ② ] いきなり提案しない 雑談がひと通り終われば、すぐに本題に入ってはいけません。 相手が何か聞きたいことがあるかもしれないので それに100%答えていきます。誠意を持って丁寧に答えるんです。 [ ③ ] 提案を始める ここでようやく本題を提案します。提案を始めても、相手の話しを聞くことが最も重要です。 そして論破ではなく、共感してください。相手の気持ちに寄り添ってください。相手がなぜそういうことを言うのか、その心情を理解し、共感しようとするんです。そしてもう一歩進んで、相手の気持ちもくみとり、寄り添うのです。 <提案を始めた際の注意点> ・相手が感情的になっても、「売り言葉に買い言葉」にしない ・途中で諦めない、投げ出さない ・相手が合意しても過剰に喜ばない。 |
■ 「仕上げ」すべての手段を使ってフォローする 仕上げとは、「できるとこまであらゆる手段を使ってやり遂げる、あとを追って仕留めるところまでやり抜く」合意ができたとしても、実現するまでフォローし続けないと、相手は動かないのです。今までの努力が水の泡になってしまいます。考えられるかぎりのフォローをして、実現まで追い込んでいくんです。 <効果的なフォロー> ・合意直後に確認のメールを送る ・状況により、合意数日後に確認のメールを送る ・合意後、先方の部下、メンバーに進捗状況を確認する ・合意後、相手が動かすべき外部の数名にこちらから話しを通しておく ・合意後、相手の組織の部門リーダーもしくはメンバー全員に説明会を開く ・合意後数週間して再度ミーティングをして背中を押す すべて「そこまでやるの?」というほどやり抜くのです。相手を動かす最後の一押しとして、相手が動かざるをえない状況をつくり出すのです。 |
第1章 最速で人を動かす話し方とは
・心に響くように話す
・信頼されるために、まずは聞く
・人を動かす話し方には、3つの鍵がある
第2章「仕込み」話す前に勝負は決まっている
・関係づくりが苦手な私がやっていること
・効果的な資料を最小限用意する
・心に余裕があれば、うまくいく
第3章「仕切り」共感で、相手を動かす
・どのように会話をリードするか
・説得ではなく、納得
・ホワイトボードを駆使する
第4章「仕上げ」すべての手段を使ってフォローする
・フォローがないから、動かない
・実現するかどうかは自分次第
・相手が動かざるをえない状況をつくってフォローする
第5章自分の考えがあるから、心に響く
・自分の考えをしっかり持って話す
・普段から情報の仕込みを行う
・好奇心を持つ
赤羽雄二(あかば・ゆうじ)
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。 1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。
1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリード。 1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。
2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。 最近は、大企業の経営改革、経営人材育成、新事業創出、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいる。
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