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GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代(三笠書房)アダムグラント

Book Summary
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レビュー

ジネススクールとして名高いウォートン校で組織論の教鞭をとる気鋭の教授が、人間関係のもととなる「ギブアンドテイク」関係に着目し、個人の社会的成功や、あるべき組織の姿を論じた一冊。

著者は相互依存(ギブアンドテイク)における関係から、人間を 3タイプに分類。

「ギバー(与える人)」 :自分の事よりも周りがうまくいくように行動する。
「テイカー(搾取する人)」: 自分の優位な立場を確保しようとする。
「マッチャー(ギブとテイクのバランスをとる人)」: これだけしてもらったから、 同じ位お返ししようと行動する。

そして、実は成功者に最も多いタイプは、計算高い「テイカー」ではなく、いい人過ぎて損をしそうな「ギバー(与える人)」であると指摘する。本書で説かれている「ギブこそが重要」「情けは人のためならず」という主張は、一見すると当たり前のお説教のようにも聞こえるが、それに説得力を与えているのが、多くの調査と最新の研究成果であり、昔から言われる「性善説」や「因果応報」がなぜ真実なのか、そして「与える人」がなぜ成功するのかが科学的に見事に解き明かされる。


IT技術が進化し、SNSをはじめとしたネットワークで人脈がつながる世界において「ギバー(与える人)」の存在はますます重要になっているという。よりよい人間関係やキャリア、組織に興味関心がある方はもちろん、普段はあまり自己啓発などのジャンルの本を読まないという方にもご一読をお薦めしたい。

本書のPoint
ギバーは「利益のパイ」を大きくする

成功したギバーは、自分だけでなくグループ全員が得をするように、パイ(総額)を大きくする。 例えば、10人グループで「100」の利益が得られるプロジェクトがあったとしましょう。
このケースでは、10人で均等に利益を割り振れば、一人当たり「10」の利益が得ることが見込めます。 マッチャーであれば、利益を平等に分け合うような行動になりますので、みんなが「10」の利益を得ることができます。 一方で、テイカーであれば、自分の利益が少しでも多くなるように行動します。 そのため、テイカーは「20」や「30」といった感じで人よりも多く利益を得ることができます。 ただし、テイカー以外の人は「10」以下の利益しか得ることができないため、テイカーに対して不信感が募るでしょう。

マッチャーとテイカーに共通して言えることは、利益のパイ(総額)が「100」であることを前提としています。一方で、ギバーは利益のパイ(総額)を大きくするように行動するため、グループの利益が「200」や「300」になるように立ち振る舞います。 このようにパイ自体を大きくすることで、自分の利益の割合が減ったとしても、当初ギバーが得るはずの利益の金額よりも多くの利益を獲得することができます。 また、パイが大きくなった影響で、必然的にギバー以外の人の取り分も大きくなりますから、ギバーの信頼は自然と上がっていきます。

【どのようにして、ギバーはパイを大きくするのでしょうか?】
パイを大きくする方法として僕が目に留まったのは次の一文です。 うまくいかないときは自分が責任を負い、うまくいっているときは、すぐにほかの人を褒めるのである。 この現代社会において、一人で完結する仕事というのは存在しません。 大なり小なり、何かを成し遂げるには、他者の協力を得る必要があります。 つまり、成功するためには他者と良好な協力関係を構築して維持することが必要不可欠です。 そのために必要なマインドが「うまくいかないときは自分が責任を負い、うまくいっているときは、すぐにほかの人を褒める」ということです。ギバーはこのマインドを持って行動し続けるので、他人からの信頼をどんどん勝ち取ることができます。

他者利益と自己利益を両立させる
ギバーと聞くと、自己犠牲をしながらひたすら他人に与え続けなければならないような印象を受けます。それは間違いではなく、ギバーは「他者利益のために自己犠牲をする」という特徴は持っています。しかし、他人のことを優先しすぎて自己犠牲ばかりをしてしまうと、「搾取されるギバー」に一直線です。成功するギバーは他者利益を大切にするのと同じくらい自己利益も大切にしています。


本書の目次

1 あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか
―いま「与える人」こそ、幸せな成功者となる

2 「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ
―「与える人」の才能(1)「ゆるいつながり」という人脈づくり

3 チームの総力を活かせる人
―「与える人」の才能(2)利益の「パイ」を大きく増やす働き方

4 荒野で“ダイヤモンド”を見つける法
―「与える人」の才能(3)可能性を掘り出し、精鋭たちを育てる

5 「パワーレス」の時代がはじまった
―「与える人」の才能(4)「強いリーダーシップ」より「影響力」

6 「与える人」が気をつけなければならないこと
―「成功するギバー」の、したたかな行動戦略

7 気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
―「いい人」だけでは絶対に成功できない

8 人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
―未来を変える「因果応報」のルール

9 「成功への道」を切り拓く人たち
―あとに続くのは誰だ

著者・出版

アダム・グラント

アメリカの心理学者。現在、ペンシルベニア大学ウォートンスクールの組織心理学を専門とする教授を務める。 彼は28歳でテニュアを取得し、ウォートンスクールで最年少のテニュア教授となった。

生年月日: 1981年8月13日 (年齢 40歳)
出生地: アメリカ合衆国 ミシガン州 ウェストブルームフィールド・タウンシップ
配偶者: アリソン・グラント
学歴: ハーバード大学、 ウェスト・ブルームフィールド・ハイ・スクール、 ミシガン大学

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