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世界2.0 メタバースの歩き方と創り方(幻冬舎)佐藤航陽

Book Summary
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レビュー

メタバースとはインターネット上に作られた3次元の空間です。「meta」上位概念と、「ユニバース」宇宙をあわせた造語で、スノウ・クラッシュという小説の中で出てきた言葉です。

簡単にいうとVRゴーグルを付けて、アバターを作成し、仮想現実の世界を歩き回れます。映画マトリックスのような世界です。ただし、完成した仮想空間ではなく、その中で世界をつくりこんでいくイメージです。

「ファイナルファンタジーⅪ」「あつまれどうぶつの森」もメタバースの一種と言えます。VRゴーグルは必須ではありません。ゲームの世界ではMMORPG(大規模大人数同時参加型RPG)とも言われます。

これらはテクノロジーによってもたらされます。テクノロジーには3つの特徴があります。

  • 人間を拡張するものである
    • 人類ではできない計算をコンピュータはできる。これは「知能の拡張」
  • いずれ人間を教育し始める
    • 新しいテクノロジーが普及すると次は人間がテクノロジーに合わせるようになる
  • 手のひらから始まり宇宙へと広がっていく
    • 消費者→企業→行政のように広がっていく
本書のPoint
■メタバースとは?
本書の中の定義では、インターネット上に作られた3次元仮想空間のこと。
メタバースという言葉は、「メタ」(meta=概念を超える、上位概念を指し示す)+「ユニバース」(universe=宇宙)を組み合わせた造語


■メタバースが我々の生活に何をもたらすか?
「神の民主化」。前提として、テクノロジーの発展=民主化と定義されており、例えば、「メディアの民主化=SNS」「貨幣の民主化=ビットコイン」「知識の民主化=検索エンジン」のようにテクノロジーの発展により特定の人たちが独占していたモノを民主化してきた歴史があり、ついに神の領域に達するのがメタバースである。

■我々の生活にどれくらい浸透しているのか?
ビジネスの世界においては、Facebookが社名をMetaに変更したり、Appleも莫大な資金を投じてメタバースの開発競争が世界中で激化している。
子どもたちがメタバース的なサービスにすでに熱狂して遊んでいる。ロブロックスやフォートナイト、Minecraftといったメタバース的なオンラインゲームの中に放課後集合するのは普通になっている。今の子どもたちはメタバース上に自分たち世界を作って、コミュニケーションしている。そんな彼らが成長したとき、間違いなくメタバースは世界に普及していると予想できる。

■メタバースの特徴は?
①人間を拡張
ヒトが個体ではできないことをテクノロジーの進歩で実現可能にする。例えば、「コンピューター知能の拡張」「飛行機=行動の拡張」することの延長線上にあるととらえる。
②人間を教育
新しいテクノロジーが社会に普及してしばらく経つと、今度は人間がテクノロジーに合わせて生活スタイルを変えていくようになる。例えば、初期のコンピューター「人間の計算機能を拡張する存在」⇒現在のコンピューター「機械学習で最も効率的なアクションや解を人に教える存在」となっている。
③掌から宇宙そして仮想空間へ
テクノロジーの発達プロセスは体の近くから始まり、徐々に物理的に離れた空間で人間の能力を拡張していくように発展する。例えば、縄文時代にさかのぼり鈍器・弓・草履⇒室内器具⇒自動車⇒飛行機⇒ロケットと手足から徐々に離れて宇宙へ向かっている。そしてマトリックスと同じ仮想現実の世界へ導くのがメタバースである。

本書の目次

序 章 メタバースとは何か?
 バズワードに対する人間の態度
 テクノロジーの進化を予測する方法
 タイミングがすべてを決める
 ある悲劇の天才、「早すぎる男」
 周囲の反応はリトマス紙
 メタバースは今がタイミング
 「子どもの遊び方」は「未来のあり方」
 期待と幻滅のサイクルを乗り越える
 「何もない」は最大の武器
 失敗から学んだ意思決定の難しさ
 堀江貴文の驚異的な先見性と解像度
 国家戦略としてのメタバース
 コンテンツ大国日本の強み
 日本経済復活のカギはメタバースしかない
 メタバース産業に取り残される最悪なシナリオ

第一章 メタバースの衝撃
 人類が目指した究極の問い
 テクノロジーの役割とは既得権益の民主化である
 テクノロジーとは「運命に抗う武器」だ
 メタバースは「神の民主化」
 巨大IT企業の新たな主戦場
 メタバースに関する3つの誤解
 早すぎた『セカンドライフ』の功罪
 革命の本質はインターネットの3次元化
 VR端末の普及は遅れてやってくる
 VRデバイスの普及までの課題
 VR端末が普及するための3つのアプローチ
 VR端末が普及するための技術的ハードル
 メタバースは「ゲーム」こそが入り口
 王手をかけるEpic Gamesと背中を追うFacebook(Meta)
 ブロックチェーンやNFTとの相性
 Web3とクリエイターエコノミー
 Web3時代の覇者となる人
 B to Bビジネスとしてのメタバース技術
 国土交通省の『PLATEAU』
 デジタル・ネイティブですら「老害」になる日
 『マトリックス』や『竜とそばかすの姫』が現実になる日
 現実よりも魅力的なバーチャル・ディズニーランド
 ハリウッド級映画を一人で作る天才児の誕生

第二章 世界の創り方I【視空間】
 世界とは何か?
 人間は誰しも人間の専門家
 VTuber とバーチャル・ヒューマンの躍進
 AIがアバターを自動生成する未来
 人間は驚くほど世界の風景を覚えていない
 「日本っぽさ」「東京っぽさ」「アジアっぽさ」の本質
 現実っぽく見えるけど、この世に存在しない新しい世界
 世界を自動生成するプロシージャル・モデリング
 ミラーワールド=並行世界の実現
 メタバース構築のための3つのアプローチ

第三章 世界の創り方II【生態系】
 成功を分けているのは「世界の解像度」
 秋元康の世界のとらえ方
 「生態系」としての世界と、「空間」としての世界
 世界とは複雑な生態系の重なり合い
 世界を変える=新しい生態系を創ること
 うまく回っている生態系の特徴
 カリスマの求心力と生態系の慣性力
 生態系の役割と価値の種類
 生産者(価値を作る人)と消費者(価値を感じる人)
 参加者の二面性
 生態系の起点は「生産者」側にある
 「鶏が先か?卵が先か?」問題
 生態系の設計者の仕事
 生態系を一つの生命のようにとらえる
 生態系をより強固にしていくためには?
 参加者個人を惹きつける仕掛け
 生態系が有機的に進化する瞬間
 生態系のデザインにおいて重要なこと
 世界を創ることが未来の仕事になる
 目に映る「空間」としての世界
 無数に広がる多元的な並行世界

第四章 競争から創造の世紀へ
 村上龍の小説『希望の国のエクソダス』
 人間は辺境に進み続ける
 ツイッター感覚で世界を創る時代
 メタバースによって変容する「個人」
 本当の自分とは?外見と内面の密接な関係
 魅力的な人格を作り出すスキル
 「個性格差」という負の側面
 商業主義から価値主義への転換
 「なりたい自分で生きていく」
 「ルネッサンス2.0」の黄金時代

第五章 メタバースの新世界
 アルゴリズム民主主義:リアルとバーチャルの逆流現象
 アルゴリズム民主主義下のメタバースの役割
 世界のルールが変わるきっかけ
 近未来の戦争のカタチ
 人類に残された最後のフロンティアは宇宙空間と仮想空間
 宇宙開発とメタバース開発は同時並行で進む
 宇宙の本質は物質(ハード)か情報(データ)か
 量子コンピュータとの融合の可能性
 機械を作り出す機械・世界を創り出す世界
 バーチャル・タイムトラベル
 脳科学との融合で実現するリアル『マトリックス』
 メタバースの先はユートピアかディストピアか?

終章 世界の真実は自分の目で確かめるべき

著者・出版

佐藤航陽( さとう かつあき )

1986年生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し、代表取締役に就任。2011年にアプリ収益化事業、2013年に決済事業を立ち上げ、2015年に東証マザーズに上場。現在は、お金の流れを予測する人工知能の研究開発プロジェクトに従事し、時間市場の創出を目的に「タイムバンク」を初秋にリリース予定。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「Under 30 Asia」などに選出。

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