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地頭力を鍛える(東洋経済新報社)細谷功

Book Summary
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レビュー

本書では、「日本全国に電柱は何本あるか?」といった例題やその解答例からフェルミ推定のプロセスを紹介しつつ、好奇心、論理的思考力、直感力という地頭力のベースとそれらのベースの上に重なる仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力の3つの構成要素とその鍛え方を解説している。

「フェルミ推定」で地頭力を鍛える

最新の情報はインターネットでいくらでも入手することができる、今の時代にこそ必要な「考える力」が重要となっている。それは、膨大な情報を選別して付加価値をつけていくという、本当の意味での創造的な「考える力」である。「考える力」のベースとなる知的能力=「地頭力」本書では、その「地頭力」鍛え方のツールとして「フェルミ推定」をご紹介。(「はじめに」より抜粋)

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「地頭力」を鍛える最大のメリット:「圧倒的に生産性が高い」人となる

3つの思考力:「結論から」「全体から」「単純に」考える力を習得するメリット

✔「結論から」:最終目的まで最も効率的な方法でたどり着くことができるようになる

✔「全体から」:コミュニケーションにおける誤解や後戻りの最小化

✔「単純に」:意思統一が図りやすくなるとともに、抽象化思考の本質である、「応用力を広げることによって少ない知識を様々な範囲に応用して、新しいアイデアの創造や効率化などを飛躍的に図っていくこと」ができるようになる

→3つの思考力というのは訓練によって必ずあるレベルまでは到達できる!

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本書のPoint
■ 要約①:結論から考える「仮説思考力」
1) 仮説思考とは
今ある情報で最も有力な結論(仮説)を想定しそれを最終目的地として意識しつつ情報の精度を上げながら検証を繰り返して最終結論に至る思考法である。仮設思考によって、限られた時間内で最善の結論を効率的に出せるようになるということ。仮設思考の本質は「ベクトルを逆転して考える」ことであると著者は述べています。
 ・「スタート」からではなく「ゴール」から
 ・ 「できること」からではなく「やるべきこと」から
 ・ 「手段」からではなく「目的」から
 ・ 「自分」からではなく「相手」から
2) 仮説思考のポイント
どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢が大切である。まずは情報を集めたい病を克服するのが、仮説思考への第一歩である。ググればすぐに情報が手に入る時代だからこそ、検索する前にどんな仮説を立てて何のために情報収集するのかを考えるのが重要である。仮説思考を行うときのポイントが、前提条件を決めるというのは、”課題はどこからどこまでか”という線引きを明確に定義していくことです。 そして、線引きをしたら立ち止まらずに前に進むこと。そして時間を決めてとにかく結論を出す力、3分なら3分、3時間なら3時間、3日なら3日ときめて何らかの「答えを出す力」こと。このとき、一番の敵になるのが「完璧主義」です。完璧主義の人は、「とにかく答えを出す」という訓練が必要。ビジネスの現場では、限られた時間と情報で意思決定しなければならない状況がほとんどのはずである。

■ 要約②:全体から考える「フレームワーク思考力」
フレームワーク思考とは全体から考える思考のことで、大きく「全体俯瞰力」と「分解力」に分けられます。
① 全体を俯瞰する
②「切り口」を選択する
③分類する
④因数分解する
⑤再俯瞰してボトルネックを見つける

フレームワーク思考の目的は「思考の癖を取り払うこと」に他なりません。人はものごとを考えるとき無意識のうちに「絶対座標」と「相対座標」というものを使い分けています。 万人が理解できる絶対座標によって偏りの少ない見方をし、誤解のないコミュニケーションを可能にする。
[絶対座標:誰にでも誤解のないようなものの見方]
[相対座標:当人や当事者のみに通用するものの見方]


■要約③:単純に考える「抽象化思考力」
抽象化思考とは対象の最大の特徴を「単純化」した後に一般解を導き出して再び具体化して個別解を導く思考法である。


①抽象化→②解法の適用→③再具体化と言う「逆U字型」のプロセスなのが特徴です。
抽象化思考によって、限られた知識の応用範囲を飛躍的に広げることができる「一を聞いて十を知る」ということ。 抽象化思考のポイントは、モデル化にある。「モデル」とは、事象の本質的な特徴のみを切り出して単純化したものです。モデルで考えることによって、問題解決が容易になり応用範囲も広がります。例えば、「ものが落下する」という事象のモデル化を考えるとき、ニュートンの万有引力の法則に則れば「質点」と「質量」という要素でアプローチが可能。モデル化のポイントは、枝葉の切り捨てである。モデル化するには、事象の本質を見抜くとともに、その本質と関係ない部分はバッサリ切り捨てることも必要になる。またアナロジーで考えることも重要。アナロジーとは、何らかの共通点をきっかけにひとつのことから他のことを類推して考えることです。世の中で起きていることは、表面的には異なるように見えても、根本的な構図を紐解くと同じ構造になってるものが多々あります。たとえば、人間のあらゆる行動にしても、根本的なモチベーションは「生理的欲求」「安全の欲求」「自己実現の欲求」のどれか。
フェルミ推定実践
例題:日本全国に電柱は何本あるか
①アプローチ設定
 単位面積当たりの本数からアプローチ

②モデル分解
 日本の国土全体を市街地と郊外(市街地以外)に分類
 ↓
 本数=日本の総面積×市街地or郊外の率×1㎢当たりの本数 

③計算実行
 1㎢当たりの本数を概算する
市街地の電柱配置を1本/50m、郊外のを1本/200m と予想。よって市街地は400本/1㎢ 郊外は25本/1㎢ と予想

先ほどの式に当てはめると
市街地の本数=30万㎢×0.2×400本=2400万本
郊外の本数 =30万㎢×0.8×25 本=600万本
合計3000万本

④現実性検証
NTTからのデータ 3300万本 
本書の目次

第1章
「地頭力」とは何か
第2章
「フェルミ推定」とは何か
第3章
フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか
第4章
フェルミ推定をビジネスにどう応用するか
第5章
「結論から考える」仮設思考力
第6章
「全体から考える」フレームワーク思考力
第7章
「単純に考える」抽象化思考力
第8章
地頭力のベース
第9章
さらに地頭力を鍛えるために

著者・出版


細谷 功( ほそや いさお )


ビジネスコンサルタント
1964年神奈川県生まれ。東京大学工学部を卒業後、株式会社東芝を経てビジネスコンサルティングの世界へ。 アーンスト&ヤング、キャップジェミニ等の米仏日系コンサルティング会社での経験を経て2009年より株式会社クニエのマネージングディレクター。2012年より同社コンサルティングフェロー。 戦略策定や業務/IT改革を製品開発領域等のコンサルティングを実施。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーの企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施中。著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』等。

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