人気の八百屋さんが実践する、「伝わる技術」とは? ある八百屋さんでは、普通はあまり伝えないあることを伝えているのだという。それはいったいなんだろうか。
答えはなんと、「今日おすすめしない野菜や果物」だ。おすすめしないことを正直に伝えれば、その商品は売れ残る。しかし、それでいいのだという。常連さんばかりのその店で、「おいしくない野菜や果物」が買われてしまったら、店の評判が落ち、お客さんを失うかもしれない。だから悪い点も正直に伝えているのだ。
著者がこの話を聞いたとき、この八百屋さんの伝え方には「伝わる技術」が凝縮されていると感じた。まず、「ダメなものを伝えることで良いものが引き立つ」という「比較の法則」が使われている。そして、正直に話すことで「信頼感」が生まれ、相手に言葉を受け止めてもらいやすくなる流れが生まれている。
伝わり方を変えるには、「伝わる技術」を身につけることが一番だ。自分が主体になって「伝える」のではなく、相手を主体にして「伝わる」ようにする。この技術は、実はいたるところで使われている。ちょっとしたコツを押さえるだけで、日常生活や仕事など、さまざまなシーンに活用できるだろう。
●本書のPoint |
■ 人は基本的に話をあまり覚えていない 記憶力、集中力の差はありますが、人はかなりの情報を忘れてしまいます。もしくは最初から聞いていません。「エビングハウスの忘却曲線」があります。 ![]() 人が何かを記憶した時 ・20分後には42%忘れる ・1時間後には56%忘れる ・1日後には66%忘れる ・6日後には75%忘れる ・1カ月後には79%忘れる という忘却曲線です。そのためしっかりと「伝わる」ことが必要です。相手に伝わっているだろうという思い込みは捨てましょう。 ■ ✕伝える技術 〇伝わる技術 本書ではなんと16個も技術がのっていますが、独断で3つに絞りお伝えします。 ・伝わる技術1:比較の法則 魅力や価値は比較することで明確になります。ランキングも偏差値も比較です。スーパーで「売れてます」とPOPが付いた商品につい手が伸びるのも比較の効果です。また「ダメなところ」は正直に伝えましょう。ダメな部分を伝えることでいい部分が引き立てられます。 ・伝わる技術2:たとえの法則 「○○界のユニクロ」「○○界のスターバックス」抽象的な話から具体的なたとえ話をいれましょう。 ・伝わる技術3:ネーミングの法則 名前をつけることでより鮮明に認識することができます。沖縄『地グルメ』「ご当地グルメ」 などネーミングにより広く知れ渡りました。 〇ネーミングの法則 1:伝えたい相手の「自分ゴト」になるように 2:「新しい発見、気づき」と「共感」を入れる 3:「キーワード」をいれる 4:意味が分かりやすくつたわりやすい 5:テンポ&リズムがいい 6:コンパクト 7:少しベタ 8:はやりの言葉と掛け合わせる 9:魅力をまとめる 10:たとえる 11:頭文字を使って造語にする |
■伝わる人の3つの行動 ・無駄な努力はせず諦める ・怒らずに優しい人になる ・言わなくてもわかるはありえないことを知りましょう。 ■伝えるのが面倒な人への対策 ・すぐ否定する人:一刻も早く話題をかえましょう。 ・話が通じない人:無理してコミュニケーションをとる必要はありません。 ・重箱の隅をつつく人:話にできるだけはいらさせないようにしましょう。 ・話が広がらない人:自分の質問力を磨きましょう。イエス・ノーでかえされるものではなく 深まる質問をしましょう。相手の好きなことを聞いてあげましょう。 ・話しかけにくい人:感情的な相手には一歩引いた目線で研究対象としてとらえましょう。 決して自分も感情的に対応するのはやめましょう。 |
第1章 人は、正しいかどうかではなく「伝わったこと」で判断する
第2章 「伝わる」は7階建て構造
第3章 ×伝える技術 ○伝わる技術
第4章 「伝わる」人が実践している4つの行動
第5章 「伝えるのが面倒な人」への対応策
柿内 尚文 (かきうちたかふみ)
編集者、コンテンツマーケター。
◉――1968年生まれ。東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。ぶんか社、アスキーを経て現在、株式会社アスコム取締役。
◉――長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本やムックの累計発行部数は1000万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。現在は本の編集だけでなく、編集という手法を活用した企業のマーケティングや事業構築、商品開発のサポート、セミナーや講演など多岐にわたり活動。初の著書『パン屋ではおにぎりを売れ』(小社)はベストセラーに。
◉――趣味はサッカー観戦と歩くこと。サッカー観戦は毎年30試合以上をスタジアム観戦するほど。
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