戦略とは、「企業あるいは事業の目的を達成するために、持続的な競争優位性を確立すべく構造化されたアクションプラン」である。戦略を策定する場合、まずは何を行い、何を行わないのかを決める。そして環境変化や競合企業の動きに対して、自社に最も有利となり、競争優位を持続できる道筋を選択する。このとき単発の対応ではなく、仕組みとして機能すること、実行可能な施策であることがすぐれた戦略となる。
戦略策定において、前提として企業の目的を知っておく必要がある。企業独自の経営理念と経営ビジョンなど、その企業が存在する目的やあるべき姿を理解し、戦略と整合させることが重要である。また、 大きくとらえるなら、企業の目的はステークホルダー間のバランスを取りながら、付加価値を提供し、成長し続けることだとも考えられる。
第1章では、リーダーとして企業を成長・存続させるために企業が進むべき方向性を示し、自社の競争優位性を持続させる実行可能な戦略を打ち出すためのノウハウが凝縮されている。
●本書のPoint |
【経営理念と戦略レベル】 ■経営理念/ビジョン 企業の存在意義や使命を普遍的な形で表したのが経営理念である。経営理念は従業員に対して行動や判断の指針となり、共感が得られれば企業内の求心力が高まり、インセンティブにも繋がる。また、企業文化形成にも重要な役割を果たす。 ビジョンは、「こうなっていたい」つまり自社が目指す中期的なイメージを投資家や従業員や社会全体に向けて示したものだ。 ■戦略レベル 経営理念やビジョンは経営者の意志や従業員の夢を表しているが、あるべき姿とのギャップが存在する。そのギャップを埋めるのが経営戦略である。戦略のレベルには、全社戦略、事業戦略、機能戦略があります。 |
【戦略策定プロセス】 経営戦略策定プロセスは、経営理念とビジョンを実行可能なアクションプランに落とし込む際の基本的な流れである。一方向だけでなく、仮説・検証を繰り返し、実施結果や環境変化に応じた戦略見直しを行うことが大切である。 ![]() |
【外部分析と内部分析】 ■外部分析 戦略を策定する過程で現実を正確に把握するために環境分析を行う。外部分析の漏れや重複を防ぎつつ必要な要素を抑えるためのツールとしてPEST分析、5つの力分析、3C分析、SWOT分析がある。 ■内部分析 内部分析の目的は、競合と比較した時に自社の強み弱みを把握することになる。それにより自社の優位性を生かす方向や克服すべき課題が見えてくる。内部分析にはバリューチェーン分析などがある。 |
【全社戦略の構成要素】 全社戦略を考える際には、ドメイン、コア・コンピタンス、資源配分の3つの要素に注目する必要がある。 ■ドメイン 自社ドメインとは戦う場所である。戦う場所と同時に、戦わない場所を明確にすることも重要である。事業ドメインが広すぎたため、多角化や買収を繰り返し、経営体力を弱らせた企業は少なくない。 ■コアコンピタンス 企業内部で培った中核的な力のことで自社独自の価値を生み出す源泉となる。コアコンピタンスを見極めるときに ・模倣可能性 ・移転可能性 ・代替可能性 ・希少性 ・耐久性 について考えた上で決定する。 ■資源配分 企業は、保有する事業や製品に対して限りある経営資源を適正に配分しなければならない。不足している経営資源はアライアンスやアウトソーシングで補う。 |
【事業ポートフォリオと事業ライフサイクル】 適正な資源配分を考えるときに、事業ポートフォリオと事業ライフサイクルという考え方を抑えておく必要がある。 ■事業ポートフォリオ さまざまな事業機会と自社の経営資源のバランスをとりながら事業の選択や組み合わせを考えていく方法だ。 [事業の魅力度]:市場規模、成長性、産業の収益性、収益変動リスク [競争上の優位性]:市場シェア、相対的な収益性、各機能の優劣 [事業間のシナジー]:既存資源の流用、本業の強化 ★ <重要1> ポートフォリオマトリクスは事業ポートフォリオを考察するときに有効なボストンコンサルティングが考案したフレームワーク ![]() ![]() ★ <重要2> 事業ポートフォリオを検討する際に、企業は成長するために多角化も検討する。どの方向に多角化を行うかで、事業間のシナジー効果は大きく異なってくる。その際にアマゾフの事業拡大マトリクスが有効である。 ![]() ■事業ライフサイクル ある製品や市場は必ず誕生から衰退までの流れをもち、その段階に応じてとるべき戦略は異なる。 ![]() |
【競争優位を築くための基本戦略】 競争優位を築くための基本戦略として、コストリーダーシップ戦略・差別化戦略・集中戦略の3つがある。事業特性や市場環境、自社の経営資源など考慮して、基本戦略を確定させる。 ![]() |
第1部 経営戦略
第2部 マーケティング
第3部 アカウンティング
第4部 ファイナンス
第5部 人・組織のマネジメント
第6部 IT
第7部 ゲーム理論・交渉術
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