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HIGH OUTPUT MANAGEMENT(日経BP)アンディ・グローブ

Book Summary
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レビュー

シリコンバレーのトップ経営者、マネジャーに読み継がれる不朽の名著、待望の復刊! ! インテル元CEOのアンディ・グローブが、後進の起業家、経営者、マネジャーに向けて、一字一句書き下した傑作。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグなど、シリコンバレーの経営者や幹部たちに読み継がれ、大きな影響を与えてきた。アウトプットを最大化するための仕事の基本原理とは、マネジャーが最も注力すべき仕事はなにか、タイムマネジメントの方法、意思決定のときにしてはいけないこととは、ミーティングはどう進めるべきか、1対1の面談(ワン・オン・ワン)ではなにを話すのか、人事評価はどう判断すべきか――。マネジャーなら誰もが悩むことに答えてくれる、実践的で役に立つアンディ・グローブのアドバイスが満載の経営書である。

ミドルマネージャ向けに書かれた本書の主張はシンプルである。ミドルマネージャの役割は組織パフォーマンスを最大化させることにある。マネージャの評価は自組織と影響が及ぶ隣接組織のアプトプットによって評価されるべきであるというものだ。

さらに部下が仕事をいない理由として、「能力がないため出来ない」もしくは「やる気がないためやらない」のどちらかと述べている。そう考えるとマネージャの仕事はシンプルで訓練か動機付けということになる。


また、個人的に納得感があったのが、「マネージャは部下と個人的な友人関係を作ってはならない」という主張だ。仕事の成果を評価する際は、仕事の割りあてを行うときに感情を完全に排除することは難しいというのが理由となる。納得感があるが、では個人的な関係を築かずに信頼関係を構築するかは新たな課題となる。

本書のPoint
■ マネージャは「テコ作用を利用してアウトプットを最大化する」

テコとは、小さな力を大きな力に変換する物理のことで、一般的には「テコの原理」が有名ですが、本書で説明している「テコ作用」という概念も、この「テコの原理」をイメージすると理解しやすいかもしれません。 テコには、支点・力点・作用点があり、支点をどこにするかによって得られる力が変わりますよね。 テコ作用という概念もこれと同じで、マネージャーの関わりによって、部下のアウトプットにも影響を与えているという考え方力点にあるのが部下の力量。支点がマネージャーの関わり )なんです。そして作用点にあるのがマネージャーが関わった後の部下のアウトプットです。 マネージャーの関わり方がうまく働けば、部下の力量よりも大きなアウトプットを得られますし、関わらなければ、部下の力量がそのままアウトプットとして現れます。 そのことにマネージャーが気づいて、部下の仕事にうまくテコ作用を働かせることができると、大きなアウトプットを生み出すことができるということです。

 
マネージャは、生産効率を上げるための2つのステップを意識する
マネージャとして生産効率を高めるために行うことは、 ミティングステップを軸に作業を考えることと 進捗を 可視化するための指標をもつ という2点です。

リミティングステップを軸に考える
生産性を考えるときには、必ずこのリミティングステップ(最も長い、もしくは最も困難、もしくは最も要注意、または最も費用のかかるステップ)から流れを組み立てることが最も大切です。 そして、もう1点重要なポイントは、生産プロセスの中で、できる限り価値が最低の段階(つまり初期の段階)で問題を解決するということです。システムを構築する場合、最終テストの前の単体テストの段階で発見に努めるべきだし、採用の課題を解決するには、無駄な母集団を形成する前に課題を解決すべきなのです。
②箱の中身を可視化するための指標をもつ
生産活動がうまくいっているかどうかをどのように判断すれば良いのでしょうか?このために必要なものは、良い指標です。マネージャーの仕事とは、従業員と朝食を運ぶことではなく、正しく指標をセットし、その指標を適切な粒度でモニタリングし、より生産性を高めるために手を打つことなのです。
■マネージャはミーティングを有効活用する
ミドル・マネジャーの仕事の大部分は、情報やノウハウの提供であり、物事を処理する望ましい方法を自分の感じた通りに、部下に伝えることである。ミーティングの種類には、情報共有を目的とするプロセス中心ミーティングと問題解決/意識づけを目的とする使命中心ミーティングがある。

プロセス中心」のミーティングでは、知識の共有化と情報交換を定期性を持たせるように心掛ける。
・部下のタスク成熟度によって頻度は変化する。 経験が少ない部下にはワン・オン・ワンを頻繁に実施し、経験に富んだベテランであれば回数を減らす。
・ワン・オン・ワンのミーティング時間の基準は状況によって様々であるが、充分論じる時間があるように部下が思うようでなければならない。
・双方が問題の底にまで達したと満足感を覚えるまで質問を繰り返して、部下を励まし、思考の流れを続けさせるようにすべきである。

使命中心」のミーティングは、具体的な問題の解決であり、特別な目的のために随時開く。
・どういう意志決定をしなければならないか、ミーティングの目標をはっきりと理解しておかなければならない。
・司会者は、出席すべき人を確認し来させるようにし、規律維持に努め、場所や設備などの物理的なお膳立てをすることに責任を持つ。
・ミーティングが終わったら、内容を確かめて、議事録を送り、議論の内容、決定事項、取るべき処理などを知らせる。
■マネージャは、人事考課を通して部下に責任を持たせる

マネジャーは正直な考課と正直なメリット・ベースによる報酬を、部下に責任を持って与えなければならない。 それができれば、最終的に、全組織を通じて、それ自体が価値のある実績となる。 考課で重要なのは部下の業績を改善することにあり、そのプロセスは制度化されたリーダーの仕事の中で最も公式的なものである。
・部下の「技能水準」、どんな技術に欠けているか、その欠陥を矯正する方法は何かを発見する。
・同じ技能水準の中でより高い業績水準に押し上げるように、部下のモチベーションを強める。
業績を厳密に客観的に判定することは難しいが、その査定の難しさを弱める方法のひとつは、部下に何を期待するかを事前に明確にし、それに対して部下が期待通りに実行したかどうかで判断する。
・部下の活動とその活動から生じるアウトプットとの間の時間のズレを考慮する。
・目に見える業績だけでなく、目に見えない業績も判断する。
・可能性ではなく、実績を評価する。

< 考課の内容を伝えるときの3つのL>
・Level:相手のところまで降りていって素直に
・Listen:相手の話をよく聞き
・Leave yourself out:自分の圏外において、客観的に見る


管理・監督者として判断の真っ当性はどんなことをしても守らなくてはならないもので、部下の業績に対する率直な判断を自分の責任で守り抜かなければならない。 どんな状況下においても、考課をしている間、部下との立場が対等らしく見せかけてはならない。
本書の目次

第1部 朝食工場ー生産の基本原理
1章  生産の基本
2章  朝食工場を動かす

第2部 経営管理はチーム・ゲームである
3章  経営管理のテコ作用
4章  ミーティング
5章  決断、決断、また決断
6章  計画化

第3部 チームの中のチーム
7章  朝食工場の全国展開へ
8章  ハイブリッド組織
9章  二重所属制度
10章 コントロール方式

第4部 選手たち
11章  スポーツとの対比
12章  タスク習熟度
13章 人事考課
14章 二つの難しい仕事
15章 タスク関連フィードバックとしての報酬
16章 なぜ教育訓練が上司の仕事なのか 1章  生産の基本
2章  朝食工場を動かす

著者・出版

アンドリュー・S・グローブ(Andrew S. Grove)


1936年ハンガリーのブタペスト生まれ。1956年にハンガリーからアメリカに移住。
ニューヨーク州立大学を主席で卒業(化学工学)し、カリフォルニア大学で博士号取得。 インテル社の創設に参画し、第1号の社員となる。79年社長に就任。97年にはタイム誌の今年の人に選ばれた。 98年にはインテルのCEOを辞任し、2004年には会長から退いた。スタンフォード大学経営大学院で24年にわたって指導した。2016年3月に死去。

訳: 小林/薫
1931年東京生まれ。国際経営評論家、産業能率大学名誉教授(国際企業経営論)。東京大学法学部卒業。米国マンハッタン大学経営学部フルブライト留学。海外の優れたビジネス書を数多く翻訳し、日本に紹介してきたことでも知られる

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