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孫子 (岩波文庫) 金谷 治※訳注

Book Summary
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理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

孫子の兵法は、紀元前に孫武によって書かれた兵法書ですが、2000年以上の歴史を経過した現代でも第一線として活用できる書籍として定着している。 過去から現在に至るまで、数多くの偉人たちの手に渡り、輝かしい勝利を収めてきた。
例えば
〇曹操(そうそう)
三国志で有名な曹操だが、孫子の兵法を戦いだけでなく政治や人材育成にも活用していました。その孫子の兵法を「魏武注孫子」(ぎぶちゅうそんし)といい、現代に残る孫子の兵法は「魏武注孫子」によって残された。

〇武田信玄
戦国時代に甲斐国(現、山梨県)を統治していた大名 武田信玄の旗印に使われた 「風林火山」は、孫子の兵法から取られた言葉です。 武田信玄は、戦国時代において、孫子の兵法をフル活用していた人物で、 特に篭城する敵を心理戦で誘い出し殲滅する戦いを得意としていた。

そのほかにも、ナポレオン、東郷平八郎、 ビルゲイツ、孫正義のバイブルとしても有名です。本書は 戦いにおいていかに効率的に勝利を引き寄せるかが説かれており、経営戦略の原型のほとんどが本書にあると言える一冊である。

この中で述べられる内容には大きく三つの特徴がある。まず第一に、戦争の方法について書かれた本でありながら、戦争を非効率的であると考えていることが挙げられる。つまり、戦わずに勝つことが最上とされる。そして次に、冷静な状況把握が徹底されている点もポイントである。負けないために何が必要なのかを現実に立脚しながら考えている。最後に、徹底した戦略重視のスタンスが貫かれている。スパイの重要性について述べる段はその典型である。本書は訳文も平易であり、丁寧な注釈もついている。解説書を手に取る前に、ぜひこの原典に挑戦してほしい。

本書の要点
※孔子の兵法を全てを1ページに収めるのが困難であったため、各章ごとにサマリを作成したので、興味がある方は、そちらもお楽しみください。

孔子の兵法ポイント解説一覧

項目 ポイント解説
 始計篇 [3つのポイント]
 ・戦争は高コスト
 ・戦争を始める前によく検討せよ
 ・勝てる見込みのない戦争はするな

[サマリ]戦う前に心得ておくべきこと、準備しておくべきことを記しています。孫子の基本的な考えとしては、無謀な戦争はしない。戦争を決断する前に、戦争をするべきか避けるべきか、被害の大きさなどを考えるように言っています。

 作戦篇 [3つのポイント]
 ・戦争には多大な費用が必要
 ・戦争は少しでも早く終わらせろ
 ・戦争の開始から終わりまで事前に作成を立てろ

[サマリ]戦争準備計画について記しています。戦争を長期化させない。戦争が長期化しても国の利益にはならないといっています。

 謀攻篇 [3つのポイント]
 ・戦争は避ける努力をせよ
 ・外交を重要視せよ
 ・外交を優位に進めるためには情報が重要

[サマリ]武力ではなく「はかりごと」によって、敵を屈服させることの重要性を説いています。政治的な駆け引きや外交における攻勢、情報操作など、自国を有利な立場に導くやり方について述べている。

 軍形篇 [3つのポイント]
 ・勝てる時だけ戦え
 ・理想的な戦いは地味なものである
 ・勝つための準備は事前に完了させろ

[サマリ]攻撃・守備、それぞれの態勢についてです。「形」とは字の示すように目に見える形である。形を整えるということは言い換えると、必ず勝てるような態勢を作り出し、敵の敗勢に乗ずると言っています。

 兵勢篇  [3つのポイント]
 ・強さは一定でなく、状況によって変動する
 ・味方が強く、敵が弱い時に戦え
 ・戦いがはじまれば奇策も重要

[サマリ]戦う前に整えるべき態勢を指し示しています。第四軍形篇の「形」は態勢などの静的な状態を指すのに対して、「勢」はその動きの結果もたらす効果という動的なものを指しています。総じて戦いの上手な者は、変幻自在な運用から生まれる「勢」をもって戦いに当たるといっています。

 虚実篇 [3つのポイント]
 ・敵は分散させ、味方は集中させる
 ・戦術の極意は「無形」
 ・敵ははっきり(虚)、こちらは無形(実)

[サマリ]「虚」とはすきのある状態を指し、「実」は充実した状態を指す。これまでにも述べられてきたように、実を以て虚を討つことが基本であるが、ここではその手法について詳しく語られています。

 軍争篇 [3つのポイント]
 ・戦術の奥義は「機動」にあり
 ・戦術立案時は利点だけでなく危険も考慮しろ
 ・相手に先んじて遠近の計を使え

[サマリ]戦場において、軍をどうやって動かすかを解説しています。兵勢篇と虚実篇を総合した篇といってもよいと思います。「軍争」とは軍の争うところのことであるが、具体的に何を争うかといえば、主導権です。つまり、機先を制することであり、この篇ではその手法について詳しく述べられています。軍争は敵の先手を取ることであり、その手段として、味方が素早く動くことの他に敵を遅らせることと孫子は考えています。

 九変篇 [3つのポイント]
 ・やってはいけない事があることを理解せよ
 ・「利」だけでなく「害」も考慮せよ
 ・戦場での9つの変化が重要

[サマリ]戦場で取るべき九つの変化について説明しています。戦場で敵に主導権を握られないためには、自軍の意図を敵につかませないことが重要になってくるが、虚実篇第六で触れられた「無形」を実現するためにも戦場での基本的事項をおさえ、それを応用することの重要といっています。

 行軍篇 [3つのポイント]
 ・行軍の際はには地形をよく活用せよ
 ・敵軍の動きには前兆がある
 ・規律保持は将軍の責任である

[サマリ]戦場における行軍について述べられています。第九の行軍篇から孫子の記述は戦場の具体的な状況を想定した内容となっており、「孫子」が単に戦略レベルでの概論を述べているのではないということが分かります。この篇でいう「行軍」は軍の進め方の他に軍の意図の見抜き方をも含んだ、戦場での軍の用い方といった意味合があります。行軍篇では、将軍という中間管理職の立場で軍の用い方について説明しています。

 地形篇 [3つのポイント]
 ・地形は「通」「挂」「支」「隘」「険」「遠」の6種類
 ・指揮官は部下の行動全てに責任を負う
 ・指揮官は軍の運用に権限と責任を持つ

[サマリ]実際に戦う時の事項を地形と軍隊の状況の二つに大きく分けて、それぞれについて六つの状況を解説しています。

 九地篇 [3つのポイント]
 ・土地環境には9種類あり、兵士心理に影響をおよぼすことを理解しておくこと
 ・戦争を行う上での大切なことは敵の心を把握すること
 ・敵情を読み、それに応じた行動をとりながら、機会を見て一気に勝敗を決すること

[サマリ]地形篇に続き、戦場となる地形と兵の使い方について述べられています。九地篇では、兵の士気を維持する方法に重点を置いて解説されています。九種類の土地環境で兵士たちの心理にどのように作用するか、どういう影響を与えるかを踏まえた上での作戦行動を説いています。

 火攻篇 [3つのポイント]
 ・火攻めを行った後はそれに呼応して兵を出して敵軍を攻撃するべき
 ・火攻めには5通りある
 ・火攻めには5通りの変化にあわせた戦い方が必要

[サマリ]火攻め(一部水攻めもあり)を中心に解説され、さらに後半では、戦後処理についても説明があります。

 用間篇  [3つのポイント]
 ・戦争において間諜の役割は重要。間諜は優遇すべき
 ・ 間諜には5通りある
 ・ 仁義や正義がなければ間諜を使うことはできない

[サマリ]戦いというものは自分と敵の力量その他の優劣で決まるので、その状況を知り、自分の有利に誘導することが勝利の秘訣であることは自明である。その敵の情報を入手するには間諜を用いるのであるが、この重要性をふまえて、一篇をさいて説明しています。戦場で直接戦う兵が華やかさでは表にでるが、孫子はこの勝利のための情報をもたらす間諜こそが立役者であるといっています。

本書の目次

  〇第一 始計篇 
(戦う前に心得ておくべきこと、準備しておくべきこと)

 〇第二 作戦篇 
(戦争準備計画についての心得)

 〇第三 謀攻篇 
(武力ではなく「はかりごと」の重要性)

 〇第四 軍形篇 
(攻撃・守備、それぞれの態勢のこと)

 〇第五 兵勢篇 
(戦う前に整えるべき態勢)

 〇第六 虚実篇 
(「虚」とはすきのある状態、「実」は充実した状態の制御方法)

 〇第七 軍争篇 
(戦場において、軍をどうやって動かす方法)

 〇第八 九変篇 
(戦場で取るべき九つの変化について説明)

 〇第九 行軍篇 
(戦場における行軍の考え方)

 〇第十 地形篇 
(戦う時の事項を地形と軍隊の状況の二つに分け六つの状況を解説)

 〇第十一 九地篇 
(地形篇に続き、戦場となる地形と兵の使い方)

 〇第十二 火攻篇 
(火攻めを中心に解説)

 〇第十三 用間篇 
(敵の情報を入手するには間諜の用い方)

著者・出版

著者: 孫氏

『孫子』(そんし)は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書。武経七書の一つ。古今東西の兵法書のうち最も著名なものの一つである。紀元前5世紀中頃から紀元前4世紀中頃あたりに成立したと推定されている。

『孫子』以前は、戦争の勝敗は天運に左右されるという考え方が強かった。孫武は戦争の記録を分析・研究し、勝敗は運ではなく人為によることを知り、勝利を得るための指針を理論化して、本書で後世に残そうとした。

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