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海辺のカフカ(新潮文庫)村上春樹

Book Summary
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レビュー

『海辺のカフカ』は、村上春樹が23歳の時に発表した10作目の長編小説です。ギリシア悲劇のエディプス王の物語や、『源氏物語』や『雨月物語』などの日本の古典小説などがベースとなっています。


<海辺のカフカの主要登場人物>
・ 田村カフカ( 15歳の少年。昔母親に捨てられた傷を負う) ・ ナカタさん(猫と話せる男性。知的な障害がある。)
・ 佐伯さん( 香川の甲村図書館の館長)

<海辺のカフカ の簡単なあらすじ>
15歳の少年「田村カフカ」は、父親からかけられた呪いの言葉から脱出するために家出をし、香川に向かいます。一方、全く別のところで、猫語を話せる「ナカタさん」は人から猫探しを頼まれながら過ごしていました。その中で、「猫殺し」に出会い、ひょんなことからその男を殺してしまいます。全く別の場所で生きる2人の人生には、不思議と繋がりがあり…。

本書のPoint
【起】『海辺のカフカ』のあらすじ①
田村カフカは、都内で父親と二人暮らしをしている15歳の少年です。
昔母親から捨てられたことがずっと心の傷となっているカフカは、誕生日に父親から「お前はいつか自分の手で父親を殺し、母と姉と交わるだろう」という言葉をかけられます。
争い難い呪いから脱出するために、「カラスと呼ばれる少年」からアドバイスをもらいながら家出をします。深夜バスで四国を目指し、その中でさくらという女性と出会います。四国に着いてしばらくは、規則正しい生活を送っていたカフカでしたが、ある朝目覚めると、自分が森の中で血だらけで倒れています。驚いたカフカはさくらに連絡し、さくらの家に泊めてもらうこととなりました。

一方ナカタさんは、生活保護を受けながら生活をしている男性です。小さい頃に起こった事件により脳に障害が残っており、読み書きや知的な能力が弱いのです。その代わり猫と話すことができるため、人々から猫探しを頼まれながら暮らしていました。ある日、猫探し中に出会った「猫殺し」の男を、猫を助ける代わりに殺害してしまいます。その「猫殺し」の男は、実はカフカの父だったのです。そして、トラック運転手の星野と出会い、「入口の石」を探すという使命に従い高松へ向かいます。
【承】『海辺のカフカ』のあらすじ②
カフカはさくらの家を出て甲村図書館に向かい、司書の大島さんに泊めて欲しいと申し出ます。
すると大島さんは、自分の持つ別荘に泊まってはどうかと提案します。カフカは別荘のある高知に向かうのでした。しばらく高知で暮らしていていましたが、その後司書の大島さんの迎えにより図書館での生活を開始します。片や甲村図書館の館長の佐伯さんは、幼い頃から順風満帆な環境で育ちました。そんな中、許嫁の甲村少年は東京の大学に行ってしまい、20歳の時に亡くなってしまいます。佐伯さんは行方不明になり、その25年後に高松に戻り図書館の責任者となりました。カフカが過ごしてしていたのは、亡くなった甲村少年が使っていた部屋だったのです。そのうち、毎晩15歳の佐伯さんの幽霊がその部屋を訪れるようになり、カフカは恋をし関係を持ちます。カフカは心の内で佐伯さんが自分の母親なのではないかと思いますが、佐伯さんは答えてくれません。
【転】『海辺のカフカ』のあらすじ③
ナカタさんは「入り口の石」を探すべく、トラック運転手の星野さんの協力のもと甲村図書館に辿り着きます。そこで佐伯さんと会って話し、佐伯さんはナカタさんに自分の記録を消して欲しいとお願いします。その後、佐伯さんは机に伏して亡くなりました。

一方その頃、カフカの父が殺されたことから、警察はカフカを追っていました。それを知ったカフカは、もう一度高知の小屋へと逃げ込みます。そこでさくらを犯す夢を見て、カフカは複雑な気持ちになります。カフカは森の中をどんどん進み、途中で荷物も全て捨て去ります。すると、昔その場所で行方不明になったという2人に会います。2人曰く、ここは時間の概念がない場所だとのことでした。そこには15歳の佐伯さんや現在の佐伯さん、本のない図書館もありました。
現在の佐伯さんは、カフカには生きていって欲しいと言い1枚の絵を渡します。その絵のタイトルは「海辺のカフカ」でした。
【結】『海辺のカフカ』のあらすじ④
ナカタさんとホシノさんは、図書館を出て佐伯さんの記録を全て燃やします。ナカタさんはそのあと、役目を終えたかのように息絶えました。遺された「入り口の石」を閉じるという役目を引き受けたホシノさんは、その時がくるまでナカタさんの亡骸と共に過ごします。ホシノさんはナカタさんの猫と話せる能力を引き継いでいました。そして、猫から「邪悪なものが入り口の石を狙いに来る」と告げられます。夜中になるとその邪悪なものが現れました。白くて奇妙な形をしており、なかなか倒すことができませんでしたが、なんとかそれを仕留め焼きいてしまいました。
その後、警察にナカタさんのことを通報します。カフカは森を出て、高知へと戻りました。そこには大島さんの兄がいました。2人は図書館へ向かい、大島さんに挨拶をします。カフカは東京に戻り、もう一度学校に行くことを決意したのでした。
著者・出版

村上春樹
ムラカミ・ハルキ


1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1979年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』などの短編小説集、エッセイ集、紀行文、翻訳書など著書多数。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞。

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