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競争の戦略(ダイヤモンド社)マイケルEポーター

Book Summary
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レビュー

ポーターは、競争戦略理論の狙いとして、以下の3つになります。
 ①経営者が自分の置かれた競争環境を正しく理解する
 ②その環境が将来どのように変化するかを正しく予測する
 ③強固な市場地位をもたらしくれる競争の仕方を選ぶ

これらを実現するために、ポーターは、ポジショニングアプローチが有効だと述べています。ポジショニングアプローチとは、企業の生き残りをかけた戦略策定のなかから、企業外の要因(競争相手や産業構造などの企業を取り巻く要因)に焦点を当てて、企業の優位性を築く施策を検討するものです。

本書の中で、以下のように競争戦略を説明しています。

業界内で防衛可能な地位をつくり、五つの競争要因にうまく対処し、企業の投資収益を大きくするための、攻撃的または防衛的アクションである…(中略)…特定の企業にとってのベストの戦略とは、つきつめていうと、その特定企業の環境を計算に入れてつくられた特異な戦略のほかならないのである。

つまり、これまで世の中のあらゆる企業で考えられてきたどんな経営戦略であっても、競争環境を適切に分析した最も広い意味での戦略と捉えられると指摘しました。そして、具体的に、その戦略は大きく3つにわけることができると論じたのです。それが、本書で紹介されているポーターの「3つの基本戦略」と呼ばれる理論となります。

ポーターの「3つの基本戦略」 は、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」という3つの基本戦略から構成されています。


本書のPoint
■コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略とは、効率化のための積極的な設備投資や販売促進のためのコストを徹底的に切り詰めることで、低コスト体質を実現し、他の競争業者よりも価格面で有利に製品やサービスを提供する戦略です。 コストリーダーシップの地位を占めるためには、相対的に高いシェアと原材料を有利に調達できることが必須です。そのためには、低コストで大量生産が可能な製品設計や製造計画、そしてコストのかからない効率的な流通チャネルの開拓が求められます。
そのため、地位の獲得には、事前の巨額の設備投資や攻撃的な価格政策市場シェアを確保するための大規模な広告宣伝戦略導入時は赤字になる覚悟が必要です。

もし、企業がコストリーダーシップの地位を占めることができたなら、5つの競争要因に対抗する手段を得ることができます。


コストリーダーシップ戦略のリスク
コストリーダーの立場を維持するためには、最新設備に投資するなどの高い負荷がかかり、テクノロジーの変化により、製品やサービスのニーズが変質し、これまでの投資の価値が失われる可能性があります。また、競争業者による模倣のリスクがあり、低価格による優位性を失う可能性があるので、コスト削減ばかりに目を奪われるのではなく顧客志向のマーケティングを心がけることが重要です。
差別化戦略

差別化戦略とは、製品やサービスに特色を持たせ、業界の中で特異なポジションを占めようとする戦略です。 差別化に成功するということは、差別化した製品やサービスが顧客に受け入れられたことと、業界で繰り広げられるし烈な価格競争から脱する機会を得たことを意味します。 差別化のための方法には、製品設計やブランドイメージの差別化、テクノロジーの差別化、製品特徴の差別化、顧客サービスの差別化などがあります。いずれも、低コストを第一目標とするのではなく、顧客機能の向上を目指すことが重要となります。

もし、企業が差別化に成功したなら、コストリーダーシップ戦略と同様に5つの競争要因に対抗する手段を得ることができます。


差別化戦略のリスク
低コスト企業とのコストの差が広まりすぎると、顧客離れの要因となりうる。また、 他企業に模倣され、差別化が顧客に認識されなくなったり、差別化要因自体が顧客ニーズに合わなくなり、顧客を一気に失う可能性があります。
集中戦略

集中戦略とは、 特定の地域や購入者などに経営資源を集中し、特定のセグメントで、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略、または集中戦略に限りその双方を実現する戦略です。集中戦略では、とにかくターゲットを限定することが重要です。なぜなら、狭いターゲットに絞ることで、より効果的で、効率の良い戦いをできるからです。経営資源を集中させ、特定のターゲットのニーズを満たすことで企業は狭い範囲において、コストリーダーシップと差別化を同時に達成することもできます。

集中戦略に成功すれば、企業は5つの競争要因に対して、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略と同様のメリット、または双方のメリットを得ることが出来ます。その結果、集中戦略をとる企業の競争力は高まり、高い収益性を実現できます。ただし、集中戦略ではターゲットとなる顧客の絶対数が限られるため、売上高と収益性のバランスが求められます。もし収益性がずば抜けていたとしても、顧客があまりにも少なければ事業として成立しない可能性があるからです。

集中戦略のリスク
生産量の増加によるコスト削減が難しく、同業者とのコスト差が広がる可能性があります。 また、絞り込んだターゲットのニーズが陳腐化し、全体市場のニーズと同質になってしまう可能性もあります。
本書の目次

1 競争戦略のための分析技法

2 業界環境のタイプ別競争戦略

3 戦略デシジョンのタイプ

著者・出版

マイケル・ポーター
マイケル・ポーターは著書「競争の戦略」に代表されるように、企業や国に対しての競争戦略を提唱している著書を多く出版しています。
競争の戦略
競争優位の戦略――いかに高業績を持続させるか
国の競争優位
競争戦略論Ⅰ、Ⅱ
日本の競争戦略
国の競争力
医療戦略の本質――価値を向上させる競争
グローバル企業の競争戦略
他にも和訳されていない著書をたくさん、出版しています。

(Michael Porter、1947年5月23日 – )

マイケル・E・ポーターはアメリカ合衆国の経営学者です。
また、現在はハーバード大学の教授の職位として「ウィリアム・ローレンス大学司教」として、ハーバード大学経営大学院教授、ハーバード・ビジネス・スクールなどの教員としても活躍しています。 アメリカ合衆国、ミシガン州の生まれでプリンストン大学の航空宇宙機械工学科を卒業後、1971年にハーバード大学で経営学修士号、1973年にはハーバード大学院で経済学博士号を授与され、1982年にはハーバード大学での史上最年少の正教授となります。

マイケル・ポーターは著書「競争の戦略」に代表されるように、企業や国に対しての競争戦略を提唱している著書を多く出版しています。
競争の戦略
競争優位の戦略――いかに高業績を持続させるか
国の競争優位
競争戦略論Ⅰ、Ⅱ
日本の競争戦略
国の競争力
医療戦略の本質――価値を向上させる競争
グローバル企業の競争戦略
他にも和訳されていない著書をたくさん、出版しています。

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