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成しとげる力(サンマーク出版)永守重信

Book Summary
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レビュー

日本電産を創業、世界一の総合モーターメーカーに育て上げた永守重信氏が、23年振りに書き下ろした書。たった4人で立ち上げた会社を、従業員11万人を超える「世界一の総合モーターメーカー」へと成長させた経営のカリスマの言葉に耳を傾けてみましょう。

その類いまれなる経営手腕の根っことなる〝人生哲学〟とは何なのか?
苦難に正面から向かい合い、挑戦し続ける〝行動力の源〟はどこにあるのか?

「一番をめざせ」「苦労に飛び込め」「人の心の機微をつかめ」等々、半世紀におよぶ経営者人生から導き出した哲学が語られる。そのメッセージは一見シンプルだが、比類なき実績に裏付けられ、説得力に溢れています。

本書のPoint
母から学んだ勝つことへの気概と執念
 一番をめざすという強い心を私に植えつけてくれたのは、母であった。子どもの時、友達との喧嘩に負けて泣きながら家に帰ると、母親は「なんで負けたんだ」と叱る。挙げ句の果てに「もう1回、喧嘩してきなさい」と尻を叩かれた。母親はなぜ勝ちにこだわったのか。いまになって振り返ると腑に落ちる。子どもはやがて社会に出て、幾多の困難に出合う。その時に尻込みして逃げてはならない。困難に立ち向かい、勝ち抜くまであきらめるな ―― 。そう教えたかったのだ。
 私が会社を興す時、一番反対したのも母だった。兄たちが銀行融資の連帯保証人になったので、もし事業が失敗したら一族が破滅してしまうというのだ。しかし、社長になるのは小学生の頃からの夢だった。そんな熱い思いを訴えると、母親もついに折れた。その時、母親と約束を交わした。「どうしてもやるというのなら、人の倍働くと約束してくれるか。私は人の倍働いてきたから自作農になれた。人の2倍働いて成功しないことはない。倍働きなさい」 創業以来、私は母のこの教えを守ってきた。
やりたいこと以外は捨てる
『成しとげる力』のタイトルのように永守会長は多くの目標を実現しました。 成しとげるというのは、自分の抱いている夢を実現させることだ。そして物事を成しとげるには、ものすごい苦労の道を行く必要がある。世界一の山、エベレストに登ろうと思ったら、日頃からものすごく訓練していくしかない。 私がどういう生活をしてきたかといえば、いろんなことを捨ててやることを絞り込んできた。例えば「会社も大きくしたい」「ゴルフもしたい」「飲み屋も行きたい」などたくさん考えてもやることはできない。健康であるためには大酒を飲むことやたばこを吸うのも良くない。5つやりたいことあったら、4つは捨てないといけない。何を優先するか絞り込む必要がある。
リーダーは集団の先頭に立つ
経営者やリーダーは夢が必要だということですが、いちばんになれるリーダーの条件は?
リーダーは狼にならないといけない。リーダーは人を引っ張り、たくさん集め、自分の考えているとおりに動かせることが基本だ。部下は全員が羊でも、トップが狼であれば勝てる。それも自らが率先して集団の先頭に立っていかなければいけない。歴史においても第2次世界大戦中にアメリカの戦車部隊を率いたジョージ・パットン将軍はいつも先頭に立った。日露戦争中の激戦、二〇三高地の戦いでは乃木希典将軍は前線を知らずにずっと後方で指揮をしていたが、児玉源太郎将軍は戦場の前線まで行って指揮して勝ったという。

これまで名だたる名門校の出身の社長候補を見てきたが、経営学は学んだといっても彼らは全然現場に行かないし、泥の中に手を入れない。経営学部の教授が会社の経営をすれば成功できるかといえばできない。
当たり前のことを当たり前にやる
当たり前のことを当たり前にやっている。例えば、ある大企業は経営不振に陥ったときでも部長クラスは全員グリーン車に乗って出張し、タクシーチケットも毎月3冊もらったりして、それだけで何億円もかかっている。まずはそういうところから切らないといけない。日本電産はリーマンショックが来たときにまだ数百億円の利益をあげていたが上場企業で最初に賃金カットをした。そして、真っ先に利益を回復させて賃金カット分をあとから利息をつけて従業員に返した。


死ぬほど働かないと運はめぐってこない
この話をすると「人生は運」だとバカなことを言う人がいるが、7割の運に近づくのに絶壁がある。死ぬほど働かないと運はめぐってこない。逆に3割ものすごく努力をしたら、運やチャンスが次々とくる。だから困難に近づいていかないといけない。ところがたいていの人は困難から逃げてしまうから、運がこない。困難はみんな近づきたがらないが、困難のなかに運がある。

世の中はよくできている。悪いことがあったら、いいことは2回あると言っているが、それが私の真理だ。私のように波瀾万丈な人生はものすごくいいこともあれば、死ぬほど苦しいこともある。でも多くの人は大きな困難もなかった代わりに大きないいこともない。
本書の目次

第1章 一番をめざせ!力はあとからついてくる
・つねに一番をめざして夢をかなえてきた
・母から学んだ勝つことへの気概と執念 ほか

第2章 苦労に飛び込め!やがて人生は輝く
・大洪水のとき、なぜ「逃げるな」と命じたのか
・苦境のなかでこそ、人も会社も真価が問われる ほか

第3章 機微をつかめ!人の心はこう動く
・母が教えてくれた、心の“機微”をつかむこと
・叱ったぶんだけの「心のケア」が必要 ほか

第4章 変化をとらえよ!大きく見て小さく歩め
・世の中を見る「鳥の眼」と「虫の眼」をもて
・地道な調査と情報収集が成功に結びつく ほか

第5章 人を育てよ!時代は大きく変わる
・型やぶりの入社試験がなぜ功を奏したのか
・成功の条件は「頭のよさ」以外のところにある ほか

著者・出版

永守 重信(ながもり・しげのぶ)

1944年、京都府生まれ。職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒業。73年、28歳で従業員3名の日本電産(2023年4月にニデックへ社名変更)を設立、代表取締役社長に就任、「世界№1の総合モーターメーカー」に育て上げた。現在は代表取締役会長(CEO)。公益財団法人永守財団理事長、京都先端科学大学を運営する学校法人永守学園理事長も務める。著書に『人を動かす人になれ!』(三笠書房)、『成しとげる力』(サンマーク出版)、『永守流 経営とお金の原則』(日経BP)、『人生をひらく』(PHP研究所)、『大学で何を学ぶか』(小学館)、『運をつかむ』(幻冬舎)などがある。

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