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脳が変わる生き方 (PHP研究所) 茂木健一郎

Book Summary
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理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

2009年11月発行された本書は、心と脳の関係を解く鍵になるクオリアを研究する脳科学者である茂木健一郎さんの、これまでの講演を纏めたものを本にしたものです。帯にも書かれている「才能がなくても何歳になっても成長できる」と著者が協調する根拠となる情報がてんこ盛りの一冊です。

一言でいうと、脳科学をベースにした生き方指南の本となります。読後は、何とも言いようのない満足感とともに、人生を楽しもうという考え方が心の底から湧いてきました。印象に残る言葉も多かった一冊です。
他人との比較の中で生れる劣等感は排除し、自分にとっての進歩を捉えて生きる
感動は人間を変えてしまう劇薬。思い切り揺れ動いて生きろ
他人という鏡は多くあった方が、自分が鍛えられる
知識や体験が多いほど、記憶の中の結びつきから生まれるものが豊かになる
人生では何が起こるかわからないという”偶有性”を楽しめ
自分の人格を作品として磨け
何を言うか(言葉として発するか)、真剣に吟味し、言うことと言わないことを峻別しろ
などなど本書の中には、著者の 脳の研究を通して辿り着いた生きることの気付きが満載です。茂木さんは、NHKのプロフェッショナルの流儀の司会でもお馴染みだと思いますが、本書の中で茂木さんがどのような考えで毎日を生活しているのかにも触れられており、茂木さんという人間的な魅力にも引き込まれました。本書を読むまでは、茂木さんは脳科学者という印象が強かったのですが、読後の印象として「いかに生きるか 」という課題に取り組む研究者という印象に変わりました。 難しい脳科学を分かりやすく私たちの生活に落とし込み、脳科学も心理学も倫理も道徳もスピチュアルも最終的には 「いかに生きる か 」 を追求しているんだと、そんな壮大さをこの本から感じました。
本書の中でも書かれていますが、数多くの講演をまとめたものなので、内容が吟味された内容が詰め込まれており、まさに宝箱やーと言いたくなるほどお得な一冊です。

本書の要点
●3つのポイント
人は変わることができる 頭の良さは生まれつき決まっていると聞いたことがある方もいるかもしれないが、それは全くの誤解です。脳は可能無限であり脳は使えば使うほど成長できます。性格形成における親の影響は二割、他の人の影響が八割。今あるあなたは、遺伝子で決まっているのではないのです。これまでの人生の中で出会った人々、あるいは感動した映画や強い影響を受けた本が、人を変えてくれるのです。
感動は、人を変える 感動できるという能力、つまり自分が楽器だとすると、その楽器をどれくらい大きく鳴らせるか、そのことで、人間の器は決まるのです。ある物事と対峙したときに、小さくしか感動できない人は、小さな人になります。一方、大きく感動できる人は、大きな人になるのです。
脳の特性として、負荷をかけることが脳の喜びになり、それが感動に繋がることは分かっています。このことを理解している人は伸びます。脳の喜び=ドーパミンを出すことです。ドーパミンを出すために自分に負荷をかけ自分のハードルをクリアしていく、この感動の積み重ねこそ人を変える最短距離なのです。
幅広い教養をもつ ある分野で優れた業績を残す人には、幅広い教養がある。これには、実は例外はありません。なぜなら教養の多様性は、創造性に結びつくからです。
たくさんの人と関わりを持ち、成長を続けるためには幅広い教養を身に着けることが重要で、それが自分の人格形成に繋がり、専門分野の創造性につながるのです。1949年に日本人として初めてノーベル物理学賞に輝いた湯川秀樹さんは、本当に「教養人」と呼ぶにふさわしいひとだったようです。小学校から高校までの勉強で気をつけたいのは、入試の科目だけを頑張ればいいというふうに短絡的に考えないことです。

●脳を成長させるための行動
 ・興味や関心があることに思いっきり振れる事で刺激を受ける
 ・自分を高める為に自己批評(自分の作品を客観的にみる)する
 ・自分と異なる人にもっともっと触れる
 ・学ぶ上で根拠の無い自信を持つ
 ・感動するような経験を多くする
 ・他人と比較しない、劣等感を持たない
 ・他人と触れる事で自分の中の何かを共鳴させる
 ・大量のインプットとアウトプットをする
ここに挙がっている行動をみると、多くの物事・人に触れる刺激を受けること、その中で感動を覚え興味・関心があることには振り切れるほど没頭しろと言っています。脳というのはこの繰り返しで成長していくものだと茂木さんは考えており、その積み重ねが点と点をつなぎ線になり、さらにそれが面へと変わっていくことに繋がるということです。それが人生という何が起きるかわからないという偶有性を楽しむことになり、人格を磨くことになるのです。わからないことについて不安ではなくて楽しみのドキドキに目を向けること。目の前のことを楽しむのに忙しくて一日があっという間に終わること、これは 自分が生きているという現場を大切にすることでしか、生の目的は得られないということなのです。

用語解説
偶有性とは?…半分は規則的、半分は偶然に左右されること。50%は決まっている事、もう50%は決まってない事を指す。例えば 、「人生」、「人との会話」、「スポーツ」
可能無限とは?…、無限個の対象の集まりは考えなく、どんな有限個の集まりにも入らないものが選べるものを無限であると考える立場です。たとえば自然数は1~100までの集まりに入らない101があります 。 一方実無限とは自然数全体の集合のように実際にその集まった集合を考えそれが無限個あるととらえる見方です。

本書の目次

●まえがき
●第1章 人はどこまでも変われる
●第2章 脳のなかに多様性を育む
●第3章 他人を鏡として自分を知る
●第4章 人生を質入れしない
●第5章 脳に空白をつくる
●第6章 子どもの遊びのように学ぶ
●終章 人生をいかに生きるか
●あとがき

著者・出版

著者: 茂木健一郎

1962年、東京生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学特別研究教授。東京大学理学部、法学部卒業後、 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。2005年、『脳と仮 想』で、第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞

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