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経営者になるためのノート (PHP研究所) 柳井正

Book Summary
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理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

経営者になるためのノートは、もともとユニクロ幹部にのみ配布されていた極秘資料でした。しかも配布にあたっては一人一人にシリアルナンバーをふって社外秘にしてきたものです。それを今般、出版して社会に提供することにしたのは、ファーストリテイリングのグローバル企業としての情報公開、すなわち透明性を高めるため、ということですが、私には柳井正さんの日本を元気に使用という心意気みたいなものを感じました。また ノート形式の作りから言葉一つ一つに至る細部まで拘りに拘り抜かれていることが伝わってきました。 私自身、柳井さんの著書「成功は一日で捨て去れ」や「一勝九敗」を読んでおり、柳井さんをリスペクトしている一人なので、本書が出版されたことを知って、すぐに購入しました。

書かれているのは基本的なことであり王道です。経営を続けていくためには基本的なことをコツコツと積み重ねることが大切ということが伝わってきました。
本書の中で私が印象に残った言葉としては
 ”チームを作るために最も大切にすべきは信頼関係
 ”信頼を得るうえで絶対に欠かせないことは、言行一致で首尾一貫した人間であること
 ”リスクがあるところに利益がある
 ”リーダーたるものテクニックでなく、信念
 ” 譲れない軸・価値観については妥協してはいけない  ”
など挙げたらきりがないほど感動を与えてくれた一冊でした。王道ではあるのですが、やはりそれを実践してきた柳井さんだから書けるものだし、説得力も生まれるのだと思います。

経営者でない方にも是非読んで欲しいと思えた一冊でした。

本書の要点

●柳井正さんが考える経営

本書の冒頭で柳井さんは、「経営者とは、一言で言えば、成果をあげる人」と定義しています。「成果」とは、「約束したこと」で、約束したことを成果としてあげて初めて、顧客・社会・株式市場・従業員から信頼されて、会社は存続し続けることができます。このような自分たちがやると約束する成果を考えるにあたって、一番大切なことは、社会における自分たちの存在意義、つまり使命を考えることです。「会社の使命と成果が結びついていること」、それが経営の原則だ、と柳井さんは言います。経営者にはどのような力が必要か?それが本書に中に書かれている以下の四つの力になります。

①変革する力
<イノベーター>
ー経営者はイノベーターであれー
変革する時に、「目標を高く持つ」ことの大切さが強調されています。手の届く目標では、達成の為に既存の延長線の発想しか出てこないので全く新しいイノベーティブな発想を産むためには、大きな目標を掲げなくてはならない。そしてその為には、常識を疑う必要があると企業経営するうえで本質を捉えているように感じました。
また、本章では安定志向を全否定しています。世間が変化し続けているのに、その場にとどまり続けようとする企業に成長はありません。リスクのあるところにチャンスがあるというのは感覚でわかる方も多いと思います。しかし、リスクは計算するものであって、恐れるものではない断言されています。
②儲ける力
<商売人>
ー経営者は商売人であれー
お客様を喜ばせたいと腹の底から思うこと
お客様の一枚上手を行いこうとする思考習慣を持つこと
を常に意識する重要性について書かれています。自分が本当に良いと思うモノ・サービスを提供しているのか自分と常に問いを投げかけることが大切なのです。
その他にも、決断するスピードの重要性(決断スピードが遅いことは、すなわち悪)や捨てる勇気(限られた時間を如何に使うか)、矛盾との戦い(良いモノを安く)などについても受けるための秘訣が説明されています。
③チームを作る力
<リーダー>
ー経営者は本物のリーダーであれー
チームを作る力として7つが大切としています。
 1.信頼関係を作る
 2.全身全霊100%全人格をかけメンバーと向き合う
 3.目標を共有し、一人ひとりの責任を明確にする
 4.任せて評価する
 5.期待し、長所を活かす
 6.多様性を積極的に肯定する
 7.勝ちたいと誰よりも強く思い、自己変革を続ける

経営はチームで行うもので、リーダーというのは、チームを勝利に導く人です。リーダーは自分だけを勝利に導く人ではなく、目標を共有し、チームのメンバーに達成感や成長実感、自己実現などをしっかり味わわせてあげられる人です。

④理想を追求する力
<使命感>

ー経営者は使命ととのに生きよー
お金の追及ではなく、使命感を追求せよと強調されています。使命感というものを、本当に自分のものにすることはとても難しいです。標語のようにかっこいい言葉をかかげることは簡単ですが、その言葉が自分の思考や行動に浸み込んで、はじめて使命感を得たといえるのではないでしょうか。
・計画立案と数値分析ばかりで上から一方的に指示を出す
・自分で問題を発見せず、人の報告任せで判断する
・報告用の数値づくりに一所懸命になる
・お客様用ではなく会社の偉い人や上司を見て仕事をする
・優先度ではなく、自分のやりやすい仕事ばかりをする
・評論が多く、実行しない
・失敗を極端に恐れて、挑戦を避ける
・前例主義的な意思決定をされた商品や商売が多くみられる
・全社最適ではなく、部分最適が横行する
これらの指摘を読んで、まったく心当たりがないという方はいないでしょう。多かれ少なかれ、官僚主義的になっている人のほうが多いはずです。

本書の目次

●序章 経営者とは
第一項 「経営者とは」
第二項 経営者に必要な四つの力
第三項 なぜ経営者の育成が必要か

<本編 経営者に必要な四つの力>
●第一章 変革する力–経営者はイノベ-ターであれ
第一項 目標を高く持つ
第二項 常識を疑う。常識にとらわれない
第三項 基準を高く持ち、妥協とあきらめをしないで追及する

●第二章 儲ける力–経営者は商売人であれ
第一項 お客様を喜ばせたいと腹の底から思う
第二項 あたり前のことを徹底して積み重ねる
第三項 スピード実行

●第三章 チームを作る力–経営者は本物のリーダーであれ
第一項 信頼関係を作る–それが始まりであり、全てであるということ
第二項 全身全霊。一〇〇パーセント全人格をかけて部下と向き合う
第三項 目標を共有し、一人ひとりの責任を明確にする

●第四章 理想を追求する力–経営者は指名とともに生きよ
第一項 経営者にとっての使命感
第二項 あるべき使命感
第三項 ファーストリテイリングの使命と、心にとめてほしいこと

著者・出版

著者: 柳井正

1949(昭和24)年、山口県宇部市生れ。(株)ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。ジャスコを経て、1972年、父親の経営する小郡商事に入社。1984年、カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、同年社長に就任。1991(平成3)年に社名をファーストリテイリングに変更。1994年広島証券取引所に上場し、1997年東証第2部に上場。1999年2月には東証第1部に上場。2002年11月に一旦は代表取締役会長となるも、2005年9月、再び社長に復帰した。

子供の頃は内向的だった。高校ではサッカー部に入っていたが、父が「いい大学に入ってほしい」と述べたためすぐに辞めた。趣味はゴルフで、自宅に打ちっぱなしのネットが張ってある。酒は飲めない。尊敬する経営者はウォルマートの創業者サム・ウォルトン、ダイエーの中内功、日本マクドナルドの藤田田。現在は東京都渋谷区大山町在住。二男の父。柳井は「息子にユニクロの経営を任せる気はない。同族経営はよくないですよ。」と述べている。

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