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嫌われる勇気―「アドラー」の教え(ダイヤモンド社)岸見一郎

Book Summary
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理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

フロイト、ユングと並ぶ心理学三大巨匠の一人、アドラー。 アドラーとは、20世紀の初頭、フロイトと並んで活躍し、 「個人心理学」または「アドラー心理学」と呼ばれる心理学を創唱した 世界的な心理学者です。 その「アドラー心理学」がまとめられているのが『嫌われる勇気』なのです。 タイトルの「嫌われる勇気」とは、どんな意味でしょうか?
私たちの人生には、色々な苦しみがやってきます。 そのすべての悩みの原因は対人関係だ、とアドラーは言い切ります。他の人から認められたいという承認欲求を充たすため、嫌われないように立ち回る生き方は、不自由極まりないものになるからです。そこでアドラーは、対人関係の問題を解決し、すべての悩みから解放されるには、「嫌われる勇気を持ちなさい」ということです。

具体的に、私たちの生活にどう取り入れるかについては「課題の分離」と「共同体感覚」の2つの言葉で説明されています。
 「課題の分離」:自分と相手の課題に境界線を引き、相手の課題には介入しない
 「共同体感覚」:承認欲求を捨て、見返りを求めない利他的な行動を徹底する

そして最後の章で幸福とは利他的な行動から生まれる貢献感にあると結論付けると共に、人生において大切なことは「今ここを生きること」つまりいまここを精一杯に生きることであるという言葉で締めくくっています。私はこれらの言葉に一つの真理を見た気がしました。本書がおすすめの人は、長所であれ、短所であれ、どんな自分でも受け入れられる人です。結果が出ないこともありますが、どんな自分でも受け入れることができれば、たとえうまくいかなくても、自分の価値は変わらないと思えたり、自分を大切にできたりするので、どんどん実践することができます。その結果、人生に変化が起きます。本書は、 全体を5つに分けステップバイステップで説明されています、要約も下に纏めておきます。

本書の要点

●アドラー心理学の人生を豊かにするメソッド

第1夜
トラウマを否定せよ
原因論から目的論へ
まず、アドラー心理学では、「すべての結果には必ず原因がある」と考えると、過去の原因によって運命は決まっているという決定論になり、未来を変えることができなくなるとして、原因ではなく、目的を考えます。

そのため、トラウマも否定します。
フロイト心理学のような原因論では、過去の災害や他人の言動などによる経験がトラウマとなって現在苦しむと考えます。それに対してアドラー心理学の目的録では、今の目的にかなう経験を過去の記憶から探して、トラウマにしていると考えます。つまりアドラーは、過去にとらわれる必要はなく未来は自分次第だというメッセージを送っているのです。

第2夜
対人関係がすべてである
優越性の追求と人生の3つのタスク
アドラー心理学では、個人で完結する内面の悩みは存在せず、「人間の悩みはすべて対人関係の悩み」と断言しています。他人と比べ優越性の追求することを否定しています。自分の理想を求めるのではなく、他人と比較してしまうと、競争になってしまうからです。

アドラー心理学では、優越性の追求からの脱却しより良い対人関係を形成するために、人間の行動面とそれを支える心理面の在り方について目標を2つずつ掲げています。

■行動面の目標
  1.自立すること
  2.社会と調和して暮らせること
■それを支える心理面の目標
  1.私には能力がある、という意識
  2.人々はわたしの仲間である、という意識

第3夜
他者の課題を切り捨てる
対人関係のスタートは課題の分離
自由を手に入れるために「承認欲求の否定」が必要だとアドラーは言っています。人は、他人から嫌われないように、他人の期待に応えようとするから不自由になるのです。しかし私たちは他人の期待を満たすために生きているのではありません。人から嫌われる勇気を持つことにより、自由に生きられるのです。まさにタイトルにもなっている「嫌われる勇気」です。

ではどうすれば自由が手に入れられるのか、そのメソッドこそ「課題の分離」です。「課題の分離」とは、他人の課題と自分の課題を分離し、相互に介入しないことです。

 1.他人の課題に介入しない
例えば、子供教育で考えると「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」といわれるように、親は強制はせず、勉強するように勇気づけることだけができます。このような場合、勉強するかどうかは子供の課題で、自分の課題は子供を信じ、勇気づけることです。

 2.自分の課題に介入させない
例えば、上司のプレッシャーで仕事で結果を出せないという現状がある場合、仕事ができないのを上司のせいにしているだけだと言っています。課題の分離が出来れば、上司の部下への接し方は上司の課題であり、自分の課題は、仕事で結果を出すことなので、これに集中するしかないのです。
第4夜
あなたの居場所はどこにあるか

対人関係のゴールは共同体感覚
「課題の分離」に始まる対人関係のゴールは「共同体感覚」というのがアドラー心理学の鍵となる概念です。
「共同体感覚」とは、他人を仲間とみなし、そこに自分の居場所があると感じられることです。課題の分離ができていないときは、自分が他人からどう見られているかばかりを気にかける生き方は、自分にしか感心を持たない自己中心的なライフスタイルですが、「わたしは相手に何をやって与えられるか」を考えて、共同体感覚に切り替えていくのです。自分は世界の中心と考えていたのを、自分は共同体の一部という意識が芽生え、所属感が生まれます。


第5夜
幸福に生きる条件とは

共同体感覚を得る方法
どうすれば共同体感覚が得られるのかというと、
1.自己受容(あるがままの自分を受け入れること)
2.他者信頼(他人を信じるとき条件をつけないこと)
3.他者貢献(わたしが他者になにをできるかを考えること)
の3つが必要です。どうすれば幸福になれるかというと、目に見える貢献でなくても「貢献感」を持てればいいのです。つまり、『嫌われる勇気』における幸福の定義は「貢献感」です。

本書の目次

●第1夜 トラウマを否定せよ
  -なぜ「人は変われる」なのか
  -トラウマは、存在しない
  -人は怒りを捏造する
  -過去に支配されない生き方
  -ソクラテスとアドラー
  -あなたは「このまま」でいいのか
  -あなたの不幸は、あなた自身が「選んだ」もの
  -人は常に「変わらない」という決心をしている
  -あなたの人生は「いま、ここ」で決まる

● 第2夜 対人関係がすべてである
  -なぜ自分のことが嫌いなのか
  -すべての悩みは「対人関係の悩み」である
  -劣等感は、主観的な思い込み
  -言い訳としての劣等コンプレックス
  -自慢する人は、劣等感を感じている
  -人生は他者との競争ではない
  -「お前の顔を気にしているのはお前だけ」
  -権力争いから復讐へ
  -非を認めることは「負け」じゃない
  -直面する「人生のタスク」をどう乗り越えるか
  -赤い糸と頑強な鎖
  -「人生の噓」から目を逸らすな
  -所有の心理学から使用の心理学へ

● 第3夜 他者の課題を切り捨てる
  -承認欲求を否定する
  -「あの人」の期待を満たすために生きてはいけない
  -「課題の分離」とはなにか
  -他者の課題を切り捨てよ
  -対人関係の悩みを一気に解消する方法
  -「ゴルディオスの結び目」を断て
  -承認欲求は不自由を強いる
  -ほんとうの自由とはなにか
  -対人関係のカードは、「わたし」が握っている

● 第4夜 あなたの居場所はどこにあるか
  ‐個人心理学と全体論
  ‐対人関係のゴールは「共同体感覚」
  ‐なぜ「わたし」にしか関心がないのか
  ‐あなたは世界の中心ではない
  ‐より大きな共同体の声を聴け

● 第5夜 幸福に生きる条件とは

著者・出版

著者: 岸見一郎・古賀史健


< 岸見一郎 >
1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。

<古賀史健>
株式会社バトンズ代表/ライター。1973年生まれ。一般誌やビジネス誌で活動後、現在は書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)を専門とし、実用書、ビジネス書、タレント本などで数多くのベストセラーを手掛ける。著書に『嫌われる勇気』(共著/岸見一郎)、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』、インタビュー集に『16歳の教科書』シリーズなどがある。

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