SCAN(Single Client Access Name)
⇒SCANを使用すると、クライアントはクラスタ内で実際にデータベースが動作しているサーバを意識せずに、実行中のRACデータベースに単一の名前でアクセスできます。ロード・バランシング機能やフェイルオーバー機能もSCANによって実現されるため、これまで全ノードのVIPを定義して接続していた既存RACユーザーからはとくに、「接続設定の手間や複雑さが大幅に低減された」と評判の新機能となります。また、クラスタに対してノードの追加または削除を行うなどして構成を変更する際も、SCANを使用しているクライアントの設定は変更する必要がないため、TCO削減を目指して社内システム統合基盤(プライベートクラウド基盤)構築を進める際も「柔軟なリソース管理が実現できる」とされています。
ACFS(ASM Cluster File System)
⇒ASMは、S.A.M.E.(Stripe And Mirror Everything)と呼ばれるストレージ設計の概念「すべてのディスクにデータを均等に分散配置し、かつミラーリングも行うことで、効率性・パフォーマンス・可用性を最適化する」を実現するために10gから無償提供されているボリューム・マネージャ兼ファイル・システムです。ただしこれまでのASMは、基本的にデータベース・ファイルだけを管理対象としていたため、「それ以外のファイル管理のために、別途ファイル・システムを用意しないといけない」という制限ががありました。新機能であるACFSにより、従来管理外にあったファイル(トレースファイル、アラートログ、アプリケーションレポート、バイナリファイル、構成ファイル、画像、音声、テキスト等)もすべてASMで管理することが可能になりました。
インスタンス・ケージング
⇒従来までのリソース・マネージャは、あくまでも同一インスタンス内における制御機能であり、同じサーバ上に複数インスタンスを稼動させる場合、各インスタンス間の
CPU リソースの配分を制御することはできませんでした。複数サービスを共存させていく昨今のような統合環境の構築・管理に際しては事足りない場面も増えてきていたようです。Oracle11g
R2新機能のインスタンス・ケージングでは、初期化パラメータ CPU_COUNT を使用してインスタンスごとに CPU リソースの使用率を制限することができます。機能の有効化・無効化、および
CPU リソースの配分の変更もオンラインで行えるため、より柔軟なリソース管理が実現可能となりました。
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