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起業家(幻冬舎)藤田晋

Book Summary
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レビュー

サイバーエージェント社長藤田晋さん自身の言葉であり、藤田さん人生そのものがこの一冊に集約されているようで読み応えがありました。 以前、『渋谷ではたらく社長の告白』という本を出され、起業、そしてITバブル崩壊による苦しみとそこからの再生を書かれていましたが、本書の内容はその続きとなっています。

現在のサイバーエージェントは誰もが憧れる企業ですが、その成り立ちは決してスマートにはほど遠い泥臭い積み重ねの上に成り立っていることがこれを読むとよくわかります。 インターネット業界は浮き沈みが激しく、慢心や油断で急速に業績が悪化して消えていった経営者も少なくありません。そのような荒波の中でも生き残り続け、今もなお成長を続けているサイバーエージェントという企業はお見事という他ありません。

創業時はインターネット広告代理店という立ち位置だったサイバーエージェントを次のステージに成長させるべく、メディア企業に変化させるまでを描いています。 それは、「アメーバ」というブログを主体としたメディアが誕生するまでのストーリーがまるでドラマを見ているようで、山あり谷あり飽きずに読み切れました。

また起業家というと自分には関係ないというふうに考えられる方も多いと思いますが、藤田さんが抱えている悩みは大小は違えど、誰もが抱える悩みですし、藤田さんの考え方、行動はすぐにでも仕事で役立つものが多くありました。特にリーダーとして覚悟をもちようは、私がこうありたいと考える部分と多く重複ところがあり、アメーバ事業の全責任をもつと判断されて黒字化までのストーリーには引き込まれました。

ネットバブル崩壊、業界の低迷、再びのネットバブル。絶頂の中、発生したライブドア事件、親友・堀江氏の逮捕、株価暴落、そして社長の退任を賭けて挑んだ未知の領域…。その時、起業家は何を考えていたのか?抱えた苦悩と孤独、そして心に沈めてきた想い。焦り、嫉妬、不安、苛立ち、怒り、絶望―。すべての真相を、今ここに。魂をゆさぶる衝撃の告白。

本書のPoint
サイバーエージェントの事業転換
藤田さんの芯のぶれなさ、勝負勘がすごいと感じました。ここでメディア企業に転換しないと今後の成長は見込めないと判断し、全身全霊をメディアの立ち上げに邁進するその決断力と集中力、最後までやり抜く力には刺激をもらいました。

「21世紀を代表する会社」にするための第一ステップは、「売上1,000億円、営業利益300億円の会社を作りたい」。手段として、「広告代理事業だと営業利益率は10%が限界だから、メディア事業をやろう」 そこで自分がプロデューサーとして陣頭指揮を取り、一気に会社全体をAmeba色にすると宣言しやりきりました。メディアをやるには、権限移譲じゃなく、キチガイがワントップでやる。メディアを創るって、ただの仕事ではないと考えています。正直、2,000人近い規模のサイバーエージェントでこの転換を成し遂げるのは、一種のパラノイアでないとできないことだと思います。

サイバーエージェントのビジョン
〜「起業家」より引用〜
サイバーエージェントのビジョンは「21世紀を代表する会社を創る」です。20世紀の日本で生まれ、世界に誇れる会社になったホンダやソニーのようになろう。そのくらいの売上規模、従業員数、世界的にも成功を果たし、そして社会への影響力をもつ会社になることが目標です。


広告代理事業では、利益率に限界あることを理解したうえで、どう未来を描き行動するのか、正解がない中で如何に自分を信じられるかがためされる。業界関係者から、株主から、社員から、不満の声しか聞こえない中で孤独であったと思う、酒で意識を朦朧とさせてから寝ていたとかかれていたが、それくらい追い詰められていたのだろう。それでもインターネット領域でメディア事業、ゲーム事業、コマース事業にチャレンジし続け「収穫逓増型ビジネス」を確立し、21世紀を代表する会社への一歩を踏み出した話が忘れられない。自分の覚悟やリーダーシップについて考えさせられ続けた一冊であった。

「全ての創造はたった一人の『熱狂』から始まる 」という言葉も印象に残った。社長や事業部長の熱狂なしによい事業は生み出せない。藤田さんの熱狂は、アメーバであり、サイバーエージェントというプロダクトそのものなんですね。
本書の目次

第1章 暗闇の中で
第2章 土台作り
第3章 追い風
第4章 手痛い遅れ
第5章 ライブドア事件
第6章 逆風
第7章 進退をかけて
第8章 熱狂の後

著者・出版

藤田 晋(ふじた すすむ)

1973年 福井県生まれ。 サイバーエージェント 代表取締役社長/CEO(創業者)
サイバーエージェントを1998年に創業し、2000年に史上最年少社長(当時)として東証マザーズに上場。1998年の創業から一貫して、インターネット産業において高い成長を遂げる会社づくりを目指し、「21世紀を代表する会社を創る」を会社のビジョンに、代表取締役社長であると同時に、「Ameba」の総合プロデューサーおよび技術担当取締役としてサービスの拡充・拡大に注力。著書は、『渋谷ではたらく社長の告白』、『藤田晋の成長論』、『起業家』など多数。

学歴・経歴
1973年
福井県鯖江市で生まれる
1992年
福井県立武生高等学校を卒業
1997年
青山学院大学経営学部を卒業
1997年
人材派遣会社の「インテリジェンス(現・パーソルキャリア)」に入社
1998年
「株式会社サイバーエージェント」を設立し、代表取締役社長に就任
1998年
クリック保証型バナー広告「サイバークリック」のサービスを開始
2000年
当時の史上最年少記録(26歳)で東証マザーズに上場
2000年
オプトインメールサービスに特化した「株式会社メールイン」を設立
2001年
「アクシブドットコム(現・株式会社CARTA HOLDINGS)」の株式を取得し子会社化
2003年
「株式会社ジークレスト」の株式を取得し子会社化
2004年
著名人ブログ「アメーバブログ(現・Ameba)」のサービスを開始
2005年
「株式会社ディーバ」を吸収合併
2005年
自著「渋谷ではたらく社長の告白」を出版
2006年
ピーチジョン代表の野口美佳氏と共に企業家セミナーを開催し6000人を集める
2009年
仮想空間アバターサービス「アメーバピグ」をリリース
2011年
ソーシャルゲーム事業強化のため「株式会社Cygames」を設立
2011年
カードバトル型RPG「進撃のバハムート」をリリース
2012年
Cygames開発のソーシャルゲームユーザー登録数が2,000万人を突破
2013年
「株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング(現・株式会社マクアケ)」を設立
2013年
「株式会社マッチングエージェント(現・株式会社タップル)」を設立
2014年
ファンタジーRPG「グランブルファンタジー」をリリース
2014年
スマホゲームプレイ動画共有サービス「OPENREC」の提供を開始
2014年
近代麻雀主催の麻雀最強戦で優勝して「最強位」になる
2015年
AWA株式会社との共同出資で定額制音楽配信サービス「AWA」を開始
2016年
対戦型オンラインカードゲーム「Shadowverse」をリリース
2016年
インターネットテレビ「AbemaTV」を発足
2018年
Jリーグチーム「FC町田ゼルビア」を運営する株式会社ゼルビアを買収し、プロサッカーチームのオーナーになる
2018年
競技麻雀のプロリーグ「Mリーグ」を運営する一般社団法人Mリーグ機構を設立。チーム「渋谷ABEMAS」の監督に就任
2018年
「CAAnimation(シーエーアニメーション)」を設立し、アニメ制作事業に参入を開始
2021年
競走馬育成シミュレーションゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」をリリース

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