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きみのお金は誰のため(東洋経済新報社)田内学

Book Summary
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レビュー

この本は自分が精神的にも物理的にも豊かでないと向き合えない本だというのが読み終わった正直な感想となる。ビルゲイツにして、著者にしても賢いので若いころからお金の本質は理解していたのかもしれない、しかし格差のない豊かな生活を他社へ提供しようと考え行動出来たのは、自分が豊かになった後ではないかと考える。一方で、自分も含めてほとんどの人が物理的に満たされている社会においては、多くの人にこの本で語られているお金の本質を理解することで明日の行動が変わるのではないかと思った。それほど、印象的な一冊だった。

お金=みんなが互いのために働く社会をつくるための道具。 本当の価値は、人が働いて誰かの問題を解決することにある。 だから、お金自体に価値はない。我々にとってお金は当たり前の存在です。お金を払うだけで、知らない人が作ったご飯を食べたり、知らない人に家を建ててもらったりすることができます。お金が何なのかを理解するために必要なこと、それは国全体の視点です。国がお金があるおかげで流通が促進され、分業が進み、便利な技術やサービスが開発され快適な生活が遅れているのです。でも忘れてはいけません。お金自体が役に立っているわけではありません。お金の向こうで誰かが働いてくれるから、今の便利な生活があるんです

お金の本質は、以下の2つに集約されます。
・お金を受け取る=誰かの問題を解決したということ。
・お金を払う=誰かに問題を解決してもらうということ。

給料がもらえるのは、誰かの問題を解決したからです。1日8時間の労働をしたからではありません。店員は誰かの買い物を手助けしているし、配達員は荷物を誰かに荷物を届けています。会社員は会社を通じて誰かの役に立っています。そして、そのお金で何かを買ったり、サブスクの使用料を払ったりするのは、自分が解決できない問題を誰かに解決してもらうためです。つまり、お金よりも大切なこととは、人は互いに支え合って生きていることを自覚し、社会の出来事を他人事ではなく自分事としてとらえること。 お金に固執することなく”幸せな未来”を共有することで、将来の不安を減らすことができる。

本書のPoint
①お金とは誰かに働いてもらうためのチケットである
私たちがお金を払って商品やサービスを買えるのは、そのお金を受け取って陰ながら働いてくれる人がいるからです。 例えば、スタバを買うときにお金がフラペチーノに変わっていると錯覚しているかもしれませんが、実際はお金を受け取って店舗で働いているスタッフやその物件を貸してくれている人、コーヒー豆を作ってくれている人、材料を届けてくれている人たちによって作られています。 つまり、私たちがお金で買っているものは商品ではなく誰かの労働ということになります
②働く人がいなければお金の価値はなくなる
お金が商品に変わっているのではなく、そのお金を受け取っている人が働いて商品を作っているわけであり、もし働く人がいなくなれば当然ですがお金がどれだけあっても私たちは商品を手に入れることができなくなってしまいます。 例えば、正月は大体の人が働いていなく休んでいます。ガソリンを入れようとしてもガソリンスタンドがやっていなくて困った経験はありませんか?
そのため、お金に価値があるのはいうまでもなく働いてくれる多くの人がいるからです。 現在日本では、少子化によって子供の数が減ってきています。つまり働き手が減っていきます。 すると、人員を確保するのが難しくなってしまい今まで通りのお金を払ってサービスを受けることが難しくなってしまう可能性があります。 今後は少子化を遅らせつつ、人の手が極力かからないようにAIをうまく活用したりして少ない働き手で生産性を保つことが大事になっていきます
③働くとは誰かの役に立つこと
この世界の商品は全ての裏で働く多くの人たちの労働によって形作られています。 そしてその商品にお金を払うのは私たちが役にたつと感じているからであり、私たちが働いているのも名前の知らない誰かのために役立っていることになります。 私たちが一日を過ごすとき、多くの人の労働のおかげで豊かに生きることができますし、逆に自分が働くということは多くの見ず知らずの誰かの役に立っていることです。 自分ではできないことを誰かに解決してもらい、自分が誰かのできないことを解決し合うことで私たち一人一人の生活が豊かになっていくのです。
④格差のない豊かな生活を提供する人が結果的にお金持ちになる
お金が入っているということは格差をなくし、多くの人の役に立っているということであり、本来は感謝すべきことです。 例えば、NetflixやGoogleなどの会社のサービスはお金持ちだけが利用できるものではなく誰でも利用可能です。 これらのサービスがあるからこそ私たちは安い価格で便利なサービスを貧富の差など関係なく受けられるようになっています。 つまり、多くの人の格差をなくし便利にする人がお金持ちになっていくということです。 お金持ちになりたければシンプルに多くの人をいかに豊かにするのか?格差をなくすことができるのか?を考えることが大事になります
⑤範囲を広げることでより豊かな社会を築くことができる
私たちはお金というツールを通してお互い役に立ち合いながら生きています。当然、今日という一日を過ごせたのも陰なあがら働いてくれた人がいたからであり、誰かの子供が将来自分のために働いてくれる可能性もあります。今生きていけるのは多くの人のおかげというわけです

『私』から『私たち』という意識の範囲を広げることで私たちはもっと助け合いながらより豊かで優しい社会を築くことができます。とはいえ、自分さえお金を貯金できていれば良いと思うのが私たち人間でしょう。しかし、社会を生きていられるのは多くの人のおかげであるということを少しでも意識するだけでより豊かに生きられるのではないでしょうか?
本書の目次

プロローグ 社会も愛も知らない子どもたち
第1章 お金の謎1:お金自体には価値がない
第2章 お金の謎2:お金で解決できる問題はない
第3章 お金の謎3:みんなでお金を貯めても意味がない
第4章 格差の謎:退治する悪党は存在しない
第5章 社会の謎:未来には贈与しかできない
最終章 最後の謎:ぼくたちはひとりじゃない
エピローグ 6年後に届いた愛

著者・出版

田内 学(タウチ マナブ)



金融教育家
1978年生まれ。東京大学工学部卒業。同大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。
2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。日本銀行による金利指標改革にも携わる。
2019年に退職してからは、佐渡島庸平氏のもとで修行し、執筆活動を始める。著書に『お金のむこうに人がいる』(ダイヤモンド社)、高校の社会科教科書『公共』(共著、教育図書)、『10才から知っておきたい 新しいお金のはなし』(監修、ナツメ社)などがある。『ドラゴン桜2』(講談社)、『インベスターZ 番外編「人生を変える!令和の投資教育」』(コルク)でも監修協力。
お金の向こう研究所代表。社会的金融教育家として、学生・社会人向けにお金についての講演なども行う。

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