スポンサーリンク

若手育成の教科書 サイバーエージェント式 人が育つ「抜擢メソッド」(ダイヤモンド社)曽山哲人

Book Summary
スポンサーリンク
レビュー

本書では、若手が勝手に育つ自走サイクルを創ることが重要であり、そのための最大のポイントは「抜擢」であると述べられています。とにかく抜擢すること重要性を繰り返し主張されています。



自走サイクルは、次の4つの要素で成り立っています。

1.抜擢:期待をかけられることで、「自走スイッチ」がONになる

2.決断:覚悟を決める。意思決定によって、自らの「決断経験」を増やしていく

3.失敗:成長において欠かせないもの。必要不可欠なプロセスと理解する

4.学習:失敗を次の経験に活かすための内省。次のステージのための準備をする

そして、このサイクルにおける基本ルールが「言わせて、やらせる」です。若手であれ誰であれ、人は「自分で言ったこと、宣言したこと」には間違いなく本気になれます。そんな原理原則に則っています。しかし、実際に若手に「やりたいです、やります」と言わせるのは至難の業。放置してても、若者が「これやりたいです」と提案を持ってきてくれるわけではありません。「これやりたいです」を引き出すためには、「抜擢」について知る必要があります。


本書のPoint
抜擢の方法とは?
シンプルに「抜擢とは、期待をかけること」とです。その方法は
STEP1:上司から、期待をかける
STEP2: 部下から、「やりたい」と宣言してもらう
STEP3: 上司は、部下の「やりたい」を承認する
とシンプルであるが期待を書ける時に注意すべきポイントもあります。

☑仕事の「意味づけ」を丁寧に
⇒まずは、部下に対して「仕事の意味付け」を丁寧に説明する必要があります。「この仕事の目的は何なのか?」 を明確にしてから伝えましょう。

☑抜擢セリフを磨き込んで伝える
⇒仕事の意味付けができた後は、「この仕事を任せたいけど、どうかな?」と伝えるフェーズに入ります。 このときのセリフが非常に重要なんだとか。なぜならば、「抜擢をしてもらうときに、上司から何と言われたか」は、部下の記憶に強く残るからです。

☑ 抜擢の前提となる「信頼残高」を積んでおく
⇒ 仕事の意味付けを丁寧に行い、抜擢のセリフを磨き上げておけばOKかというと、実はそれだけじゃ足りません。前提となる「信頼残高」が必要です。あんまり話したこともない人から「期待しているよ」なんて言われても、嬉しくもなんともありません。

インプット・アウトプット会話

相手の話を、敬意をもって聞くだけでは成長につながりません。 上司の話を聞いただけでは、部下である若手は頭を使って何も生み出していないからです。 そこで、上司は部下に、自分の言葉で話させるための質問をするのです。
上司:「わかった?」
部下:「わかりました」
上司:「よかった。ちなみに、どんなふうに理解したかな?」
このように一回問いかけてあげるだけで、脳みそを使うアウトプット作業につながります。 これが「インプット→アウトプット会話」なのです。

「どういうふうに受け止めている?」
「どういうふうに解釈した?」
「次は何をすればいいと思った?」
「誰かにそれをやってもらうとしたら、どう説明する?」

などと、上司が話したことを自分なりに解釈し、ほかの誰かに伝えることができるか、理解できているのか、自分の言葉で話してもらうのです。 ダメな上司はインプット会話しかしていません。 「これをやれ」 中には、 「いいから黙ってやれ」 という上司も…… これでは思考停止状態に陥ってしまいます。 いつまでたっても、受け身社員は受け身のままでしょう。
ささいなことでも構いません。 その都度、自分の言葉で話させるよう投げかけることを上司の習慣が大切です。
本書の目次

第1部 抜擢前 若手から「やりたいです」と言える空気をつくる
第1章 「言わせて、やらせる。」で人は育つ

そもそも何のための若手育成か
若手が勝手に育つ「自走サイクル」
基本ルールは「言わせて、やらせる。」
なぜマイクロマネジメントではダメなのか
「育て上手」と「育て下手」を決定的に分ける差
若手の成長に「意思表明」が欠かせない理由
「意思表明」のメリットを伝えるには
普段から「自分の言葉」で話させる
「インプット→アウトプット会話」で激変する
「主体的に動いて」を解決する2つのアクション
「自分の言葉で話す」という決断経験
「やりたいです」と言える空気づくり
コラム 自分で自分を成長させる「セルフ抜擢」

第2部 抜擢 「自走スイッチ」を入れると若手は勝手に育つ
第2章 抜擢 ── 「期待をかける」と自分から動き出す

成果を上げるために「抜擢」する
企業が抱える3つの「抜擢問題」
抜擢とは「期待をかけること」である
「期待」で人も組織も急成長する
「抜擢しない」のはリスクである
期待をかけるのはノーコスト
正しいやり方で抜擢する
特に注意したい「抜擢のミスリード」
「やりたいです」を引き出す3つの要素
なぜ「いいからやれ」ではダメなのか
抜擢は「意味づけ」がカギとなる
「抜擢セリフ」で成否が決まる
「抜擢セリフ」づくりの3つのヒント
抜擢前後は「信頼残高」を貯めておく
ほめゼリフの3つの切り口
マンネリ社員こそ抜擢する
誰をどの順番で抜擢すべきか
実績がある人を抜擢する場合
入社2年目は迷わず全員抜擢
「人望のある人」はいち早く抜擢する
「レーダーチャートの罠」に気をつけよ
抜擢の「2つの死角」に注意する
「責任者宣言」で全員抜擢
目標未達の人を抜擢する2つの方法
抜擢とは「自分が責任者になる」こと

第3部 抜擢後 「自走サイクル」が回ると若手は急成長する
第3章 決断 ── 「決断経験」で大きく成長する

抜擢後の人材は「決断経験」で大きく成長する
何より「決断スピード」にこだわるべき理由
「決断サイクル」を回せば質が上がる
ワークショップで「決断経験」を言語化する
研修を「育成サポートツール」として活用
週1の「振り返り面談」で内省を強化
経営視点で決断すると爆発的に伸びる
仕事の飽きは「決断欲求」のサイン
抜擢と決断経験はセットで
コラム SNSやブログを活用して内省する

第4章 失敗 ── 「成長のプロセス」ととらえる
失敗がなければ成長もない
抜擢に失敗してしまったら
決断も失敗するのが当たり前
「失敗サイクル」を回して経験値に格上げさせる
挑戦した敗者にこそセカンドチャンスを
失敗経験という貴重な「財産」をシェアする
「ねぎらい」で、次は成功する人になる
失敗者には「やりたい仕事」をやってもらう
失敗した人を元の部署に戻す理由
リスクではなくリターンで考える

第5章 学習 ── 課題を見つけて次の抜擢につなげる
なぜ学習が必要なのか
「言語化」は成長に欠かせないもの
面談は「相手の話を9割聞く」でちょうどいい
成長を促すパワー質問「経験の意味づけ」
学習の総決算「1年前の自分への指導」
良い面談には次の「抜擢」がある
「大化けイメトレ」で未来の活躍を共有する
高い目線を持ち目標をスケールアップする
おわりに 「抜擢カルチャー」を社内に浸透させる
巻末特典 『若手育成の教科書』まとめ&ワークシート

著者・出版

曽山哲人(そやま・てつひと)


株式会社サイバーエージェント 常務執行役員CHO
1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服部門配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、社員数が20人程度だったサイバーエージェントにインターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任。2008年から取締役を6年務め、2014年より執行役員、2016年から取締役に再任。2020年より現職。著書は『強みを活かす』(PHPビジネス新書)、『サイバーエージェント流 成長するしかけ』(日本実業出版社)、『クリエイティブ人事』(光文社新書、共著)等。ビジネス系ユーチューバー「ソヤマン」として情報発信もしている。 2005年の人事本部長就任より10年で20以上の新しい人事制度や仕組みを導入、のべ3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わる。毎年1000人の社員とリアルおよびリモートでの交流をおこない、10年で3500人以上の学生とマンツーマンで対話するなど、若手との接点も多い。 若手の抜擢に力を入れているサイバーエージェントでは、20~30代でグループ会社の社長に就任した社員は46人、うち20代での社長就任は25人(2019年1月末時点、孫会社を除く子会社56社中)。20代の管理職は100人以上(2020年9月末時点) 。「20代の成長環境」がある企業ランキングでは4位(2020年、エン・ジャパン調査)に選ばれる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました