京セラの創業者であり、日本航空(JAL)再生にも貢献した著者の稲盛和夫氏は、多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、人生の指針を見失っているからと考えている。仏門に入っている著者は、魂を磨いていくことがこの世を生きる意味と考え、本書にはそのためのメッセージが詰まっている。
人間の人生の目的とは「魂を磨き、生まれた時よりも良い魂になること」嘘をついてはいけない、人に迷惑をかけてはいけない、正直であれ、欲張ってはならない、自分のことばかりを考えてはならないなど、だれもが子供のころ、親や先生に教わったた単純な規範を、そのまま経営の指針に据え、守るべき判断基準となるというのが本書の冒頭に書かれている著者の主張であり、本書のメッセージだと私は考えている。
私が本書を読み終わって感想は、 魂を磨くために、ありたい自分を強く思い、実現を信じて前向きに目の前のことに一生懸命に努力を重ねていくことに尽きるのはと思いに至りました。 本書の中で仏教に「思念が業をつくる」という教えがあり、思ったことが原因となり、その結果が現実になるという思想が紹介されているがまさに、この考え方を如何に全うできるかで人生が決まると著者は伝えたいのだろう。
思念の業をつくるを全うする時に大切になるのが、自分の中に哲学を持つことで、著者の哲学は、「 人間として正しいかどうか 」であるという。以下のような 人間として正しいことをすることが成功につながるシンプルな道だということである。
・嘘をついてはいけない
・人に迷惑をかけてはいけない
・正直であれ
・欲張ってはいけない
・自分のことばかり考えてはいけない
●章ごとのまとめ |
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第1章 思いを実現させる |
「人生は、その人の考えの所産である」という言葉が表すように、人の心の持ち方が、そのまま現実になるもの。本章は、読者に人生は求めるものだけが手に入り実現する法則を理解してもらい、在りたい自分に一歩ずつ歩みを進めてほしいという著者の願いが詰まっている。夢を描き、創意工夫を重ね、ひたすら努力することが思いを実現させ、人格・魂を磨くことに繋がる。そのためのアクション、 |
第2章 原理原則から考える |
物事は複雑に見えて、本質はシンプル。ただし自分の中に原理原則(哲学)をもっていないと人生は道に迷ってしまう。人生は様々な局面でどう行動するかの判断基準が必要になる。 |
第3章 心を磨き、高める |
西郷隆盛は「徳高きは、高い地位を、功績多きは報酬を」と言っているようにリーダには才より徳が求められる。徳とは人格であり、魂である。日本人が大切にしてきた、謙虚さ、勤勉さ、心を高めること、人格を磨くこと、日々謙虚に勤勉に生きることを貫くことである。 |
第4章 利他の心で生きる |
利他とは、おのれのことは脇において、まず他人を思いやること。仏教では「他に良かれかし」、キリスト教の「愛」こそ利他行である。 |
第5章 宇宙の流れと調和する |
人生は因果応報の法則の掟にそって流れる。善因は善果を導き、悪因は悪果を生む。この因果律に沿って生きることが宇宙の流れと調和することである。 |
第1章 思いを実現させる
第2章 原理原則から考える
第3章 心を磨き、高める
第4章 利他の心で生きる
第5章 宇宙の流れと調和する
著者: 稲盛 和夫(いなもり かずお)
1932年、鹿児島市に生まれる。1955年鹿児島大学工学部を卒業後、京都の碍子メーカーである松風工業に就職。 1959年4月、知人より出資を得て、資本金300万円で京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立し、社長、 会長を経て、1997年から名誉会長を務める。また1984年、電気通信事業の自由化に即応して、第二電電企画株式会社を設立し、会長に就任。2000年10月、DDI(第二電電)、KDD、IDOの合併によりKDDI株式会社を設立し、名誉会長に就任。2001年6月より最高顧問となる。2010年2月より、日本航空(JAL、現日本航空株式会社)会長に就任。代表取締役会長を経て、2013年4月より名誉会長、2015年4月名誉顧問となる。
一方、ボランティアで、全104塾(国内56塾、海外48塾)、14,938人の経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成に心血を注いだ(1983年から2019年末まで)。
また、1984年には私財を投じ稲盛財団を設立し、理事長(現在は「創立者」)に就任。同時に国際賞「京都賞」を創設し、毎年11月に人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。
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