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もしアドラーが上司だったら(プレジデント社)小倉広

Book Summary
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レビュー

そもそもアドラー心理学とは、世界的心理学者であるアドラー博士が提唱した心理学です。アドラー博士は、ユングやフロイトと共に「心理学の3大巨頭」と呼ばれています。アドラー心理学の主な思想は以下の通りです。

人間の行動には目的がある(目的論)
人間を分割できない全体の立場から捉えなければならない(全体論)
人間は、自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握する(認知論)
人間のあらゆる行動は 、対人関係である(対人関係論)
人間は、自分の行動を自分で決められる(自己決定性)
人間の生き方には、その人特有のスタイルがある(ライフ・スタイル)


本書は、「嫌われる勇気」・「幸せになる勇気」よりさらに分かりやすく、アドラー心理学を教えてくれます。 アドラー心理学を自分の生活には活用できずに悩んでいる方、 自分の生活に落とし込みたいけど何からすればいいのか分からない方にお勧めの一冊です。

「嫌われる勇気」を実践して職場で嫌われる人が増加中……。 アドラー心理学は対人関係の悩みを一掃する強力な「武器」ですが、 職場でアドラー心理学を当てはめるには「コツ」があります。 その方法を小説仕立てで教えるのが本書。ダメダメ営業マンのリョウが、 上司のドラさんが出す12の宿題を実行していくと、 どんどん仕事が楽しくなっていって、結果も出るように──「共同感覚」と「勇気」を軸にストーリーが組み立てられておりアドラー心理学の鍵になる概念が非常にわかりやすく纏められています。。主人公の成長物語に笑ったり、共感したりしながら、 読んでいるだけで職場の対人関係の悩みが晴れ、 仕事で結果を出す方法も手に入る、 実用エンターテインメント小説です。

本書のPoint
1. 困難という上り坂を登るための心のガソリンが「勇気」である

=== 『もしアドラーが上司だったら』第二章 )===========
「ドラさん、わかりました!今回の件は『失敗』という面もあるけれど『経験』という面もある。どちらも本当です。『経験』は、こじつけなんかじゃない。そして、どちらにより注目を与えるかはボクが決めることができる。『豚もおだてりゃ木に登る』でしたね」
「そう。その通りだ。よく覚えていたね、リョウ君。人が困難という上り坂を登るには心のガソリンが必要だ。それをアドラー心理学では『勇気』と呼ぶ。困難を克服する活力、心のガソリンが勇気だ」「もし、キミが今回の件で『失敗』という面ばかりに注目をすればするほど、心のガソリン、勇気は減っていくだろう。その結果、キミの挽回するエネルギーが奪われていく」「しかし、キミがきちんと『経験』という側面に注目を与えれば心のガソリン、勇気は増えていく。つまり、挽回するエネルギーが高まるに違いない。さあ、キミがしたいのはどっちだい?」
============ ( 『もしアドラーが上司だったら』第二章 ) ===

⇒著者からのメッセージとして、印象的な例えがありました。円錐は真横から見たら「三角」ですけど、下から見たら「円」になっています。 円錐は、三角に見えるのも事実だし、円に見えるのも事実ですよね。 どちらに注目するのはあなた次第ということです。 もう言いたいことわかったですよね。 ミスは、失敗であることも事実ですし、経験であることも事実です。 どちらに注目するのはあなた次第ですが、次に立ち向かう勇気のエネルギーが欲しいのなら、経験に注目すれば良いということなのです。 出来ていないところ(ネガティブ)に注目する癖を直して、出來ているところ(ポジティブ)に注目しよう。これをリフレーミングと言います。 リフレーミングはうつ病改善で注目されている認知行動療法の1つで多くの心理学者が注目しています。 事実は変わらなくても、自分の見方を変えることを癖づけていきましょう。
2. 「やりたくない」ならやめる。「やりたい」ならやる。「やらされている」と嘘をつかない

=== ( 『もしアドラーが上司だったら』第四章 )===========
「やったほうがマシ。つまりは、キミが選んでいるんだろう?提案書をつくるほうをキミは『やりたい』んだろう?キミの仕事は『やるべき』『やらされている』仕事なんかじゃない。『自分で選んだ』『やりたい』仕事なんだ。じゃあ、やればいいじゃないか」
アドラー心理学では『やりたいけどできない』を人生の嘘と呼ぶんだ。それは単に『やりたくない』だけだ。『痩せたいけど食べたい』んじゃない。単に『食べたい』んだ。人間は一つだ。意識と無意識が葛藤することはない。これをアドラー心理学では『全体論』と呼ぶんだよ」「キミたちが葛藤していた『山盛りの仕事はしたくない』けれど『今の仕事は続けたい』なんていうのは葛藤じゃないんだ。『やりたくないからやらない』『今の仕事を続けたいから山盛りの仕事も片付けたい』そのどちらかなんだ」
===========(『もしアドラーが上司だったら』第四章 ) ===

⇒ここで著者が言いたいのは、できない仕事はもちろんあります。できない仕事はできません。やるべきでない仕事、やりたくない仕事も、同じようにやらなければいいのです。私たちは「やりたい」か「やらない」かのどちらかを自分で決めています。 これが「自己決定性」です。
これまでの人生も、すべて自分で決めてきたのです。今の仕事も、卒業した学校も、自分の性格を作り上げてきたのも自分です。自分に与えられた環境の中で、「やりたい」方を選んできたのです。 やらされているという嘘をやめる。全部、自分で決めていたこと。嫌ならやめればいい。そうわかると不思議と勇気が沸いてきます。
3. 機能価値と存在価値をごちゃ混ぜにするから苦しい

=== ( 『もしアドラーが上司だったら』第五章 )===========
『機能価値』と『存在価値』をごちゃ混ぜにしてしまっているんだ。言葉を換えるなら『Doing(やり方)』と『Being(あり方)』と言ってもいい。キミは『Doing』が上手でなくて『機能価値』をうまく発揮できていないだけだ」「でも、そんなものは経験と訓練と努力で、いかようにでも変えることはできる。焦る必要なんかない。ましてや、自己否定する必要なんかみじんもない。なのに、キミはそれだけのことなのに、なんと、キミの大切な、大切な『Being』つまりは『存在価値』までも否定してしまっている。『営業成績が悪い人は人間としてダメな存在、劣った存在だ』と自分で自分の人格までをも否定してしまっているんだ。それは大きな間違いだ」「キミは、キミでいい。キミは今のままで素晴らしい。売れようが売れまいが、欠点があろうが関係ない。『Being』としてキミの『存在価値』は何一つそんなくだらないことで傷つけてはならない。キミは素晴らしいんだ。ボクはキミが大好きだよ!」
===========( 『もしアドラーが上司だったら』第五章 ) ===

⇒人よりも劣っているという考え方は、この機能価値と存在価値をごちゃ混ぜにしているということです。 けど、機能価値なんて経験や努力で変えることはできるんです。 機能価値にフォーカスするから、大切な存在価値までも否定してしまっているのです。 営業成績が悪い人は、人間としてダメなのだと人格までも否定する必要はないのです。 機能価値と存在価値をごちゃ混ぜにしない。 欠点を含めた自分のありのままを全て受け止めて、自分を認めてあげましょう。自己肯定ではなく、無条件で自分の不完全さも含めてありのままの自分を受け入れる自己受容が大切である。
4. 貢献できたとき、社会に居場所が見つかり安らぎを感じる。それが「共同体感覚」

=== ( 『もしアドラーが上司だったら』第八章 )===========
アドラー心理学ではこう考える。人は弱い動物だ。牙も鋭い爪もない。だからこそ、助け合い協力しあわねば生きていけない。自分一人だけ良ければいい、と考える人は生きていけないんだ。
だから、ボクたちにとって誰かの役に立つ、つまり貢献することが最も大切だ。そして、貢献ができたとき、ボクたちは社会の中に居場所が見つかり安らぎを感じる。アドラー心理学ではそれを『共同体感覚』という。つまり自分のことと同じように相手や共同体を大切にする感覚だ。
拒絶されても、バカにされても、無視されてもいいんだ。キミがキミなりの善意で『相手のため』と信じて行動したのであればそれでいいんだ。独り相撲でいいんだよ!
===========( 『もしアドラーが上司だったら』第八章 ) ===

⇒著者からの大切なメッセージは、相手を勇気づけられた時に、勇気づけた方も勇気が湧くのです。こうして勇気が循環する。 人を勇気づけることで自分自身もさらに勇気が湧く! こうして勇気が循環してエネルギー溢れる共同体になっていく。 誰かを喜ばせようとする行動は、時に馬鹿にされるかもしれない。 だけど、馬鹿にされるかどうかは相手の課題であなたの課題ではない。
だから、まずはあなたから誰かの役に立つために行動してみよう。

5. より大きな共同体の声を聴け

=== ( 『もしアドラーが上司だったら』第十章 )===========
アドラーはこう言っているよ。『相反する社会要求の複雑な問題に対しては、永遠の視点から見るように。そうすれば、抗しがたい要求、恐れからくる誤った物の見方、不安やゆがんだ目的から離れて社会生活の基本的なルールを考えることができる』とね」
「例えば、目の前の人の利益を優先するのではなく、学校や会社全体を。また、学校や会社の利益を守ることよりも、さらに大きな共同体として社会全般や国全体の利益を。そして国よりも世界や宇宙全体の利益を。そう考えれば判断を間違わない」
===========( 『もしアドラーが上司だったら』第十章 ) ===

⇒「目先のことよりも、もっと大きな社会全体の共同体感覚を見よう」と言うことです。
 ・会社や学校の共同体の利益よりも地域の共同体の利益を優先に
 ・ 地域の共同体の利益よりも国としての共同体の利益を優先に
 ・ 国としての共同体の利益よりもよりも世界の共同体の利益を優先に
こうすれば判断を間違わないと言うことですね。
本書の目次

【目次】
◆第一章 自分を追い込んでも、やる気が続かないんです
◆第二章 失敗から目をそらすなんて、できません
◆第三章 カラ元気を出すのに疲れちゃいました……
◆第四章 やらなくちゃならない仕事が山積み
◆第五章 成績の悪い僕は劣っている。負けている
◆第六章 自分を追い込んで、やっとできるようになったんです
◆第七章 自分を勇気づける、次のステップとはなんだろう?
◆第八章 誰かを喜ばせようとしても、無視されたりバカにされるんです
◆第九章 自分の意見だけでなく、存在までも否定された……
◆第十章 目の前の人のため、が共同体感覚なんですか?
◆第十一章 あなたを信じていたのに……
◆第十二章 課長なのに、頑張らなくてもいいの?

著者・出版

小倉広(おぐらひろし)


生年月日: 1965年4月15日
出生地: 新潟県 新潟市
学歴: 青山学院大学 青山キャンパス
出身校: 青山学院大学経済学部卒業

国家資格公認心理師 。 ”経営に心理学を” 株式会社小倉広事務所 代表取締役。大手企業の管理職研修に年間300回登壇する「一年先まで予約が取れない」講師、主に経営者、ビジネスマンを対象とする「半年先まで予約が取れない」心理カウンセラー。大学卒業後、株式会社リクルート入社。企画室、編集部、組織人事コンサルティング室課長など主に企画畑で11年半を過ごす。その後ソースネクスト株式会社(現・東証一部上場)常務取締役、コンサルティング会社代表取締役などを経て現職。

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