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HELLO DESIGN 日本人とデザイン(幻冬舎)石川俊祐

Book Summary
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レビュー

デザイナーとは人類を前に進め、未来をつくる人のことである。デザインの本質は「課題の発見とその解決」にある。人が持っている課題の本質を踏まえて、そのうえで解決するための新しいモノ、体験、システムなどを作り出すことがベースの概念である。デザイン思考はこうした解決するための仕組みや製品などを作るための考え方のである。

アートとデザインの明確な違いがあり、それが以下の通り。

  • アート:自己表現→”自分”の衝動から始まる
  • デザイン:人が抱える課題とその解決→”他人”が抱える課題から始まる

このように、”自分の衝動”で始まるか”他人の課題”から始まるかで大きく違うんです。 デザイン思考とは、観察で得た主観を重視したアプローチです。「自分はなにをリサーチし、そこからなにを感じとり、どういう意味づけをほどこして、アイデアにつなげていくか」の思考法です。つまり、「 あなたが なにをどう感じたか」の、主観がすべて。定量から定性へと頭を切り替えなければならないわけです。 デザインとは問題解決であり、未来を描くものである。人が抱えている課題を解決しようとアイデアを企てる人は、全員がデザイナーである。そして、優れたデザイナーになるためにも、「主観」「楽観的」「旅行者の視点」「助け合い」「クリエイティブな行動」の5つのマインドセットを意識しよう。

本書のPoint 
デザイン思考は四つのプロセス
①最初はデザインリサーチ(観察とインタビュー)である。このプロセスでは仮説は用意せず、サクリフィシャルコンセプト(犠牲になるコンセプト、立証するためではなく、ユーザーとの対話によって生じるコンセプト)を用意する。そのために必要なのは「いつも無意識に見ていること」を「意識的に見る」という観察が大切になる。

②二番目はシンセシス・問いの設定である。問いの質はアウトプットに直結し、範囲が広すぎず、制限しすぎない良質な問いを作れる企業は連続的なイノベーションの創出ができているという特徴がある。


③三番目としてブレスト&コンセプト作りが挙げられる。このプロセスではトピックに忠実であり、質より量を求め、アイデアを視覚化して他者のアイデアを広げるということが大切になるのである。そのためには最初のプロセスでのサクリフィシャルコンセプトをいかに多く持つのかが影響してくるのである。

④最後ののプロセスはプロトタイピング&ストーリーテリングである。この段階では、試作品の使用を通して、新しいアイデアを創出する。そして、未完成なプロトタイプでもよく、リアルに落とし込み、フィードバックを受けて主性を反映して、またプロトタイプを作るという繰り返しが重要になるのだ。
デザイン思考を行う組織と個人の考え方
チームで行動するときには積極的にコラボレーションすることが重要になる。そのためには、他人に助けを求め合えるという環境の整備が重要になる。ただ、この助け合いの文化が成立する前提として、各々が何かしらの分野でのプロであるということに誇りを持つ必要がある。このプロ意識があることで、助けてもらってばかりではなく、お互いに助け合うという社内文化が形成されるのだ。このように、これからは積極的にコラボレーションしていき、質問が飛び交う環境を作ることで、助け合いのカルチャーを作ることができ、最終的にはイノベーションの創出につながるのである。
本書の目次

序章 誤解だらけのデザイン思考
第1章 すべての人は「デザイナー」である
第2章 デザイン思考のマインドセット
第3章 デザイン思考4つのプロセス
第4章 デザイン思考を実行する組織と、「個」のあり方
終章 デザイン思考日本人最強説
おわりに:日本再興は教育からはじまる

著者・出版

著者: 石川 俊祐 Shunsuke Ishikawa


ロンドン芸術大学連合 Central St. Martins卒業。Panasonic Design Companyでプロダクトデザイナーとしてキャリアをスタート。PDD Innovations UKのCreative Leadを経て、IDEO Tokyoの設立に従事。2018年よりBCG Digital VenturesにてHead of Design / Strategic Design Directorとして活動したのち、2019年、内倉・九法とともにKESIKIを設立。

現在は、多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム特任准教授・プログラムディレクター。企業のアドバイザーから国の有識者委員まで幅広くデザインの浸透に従事。D&ADやGOOD DESIGN AWARD、DFA、山形エクセレンスデザイン、いばらきデザインセレクションの審査委員を歴任。Forbes JAPAN世界で影響力のあるデザイナー39名に選出。著書に本質的な「デザイン思考」を解いた『HELLO, DESIGN 日本人とデザイン』、共著に『これからの僕らの働き方』がある。
2021年1月、KESIKIにて、東京で家具の製造・販売を行うWOOD YOU LIKE COMPANYの事業承継を行い、同社代表取締役に就任。

<PASSION & INTEREST>
個々人が自分のやりたいことを発掘し、他者への深い共感を覚え、より良い未来のあり方への妄想を抱く。そんなことが当たり前となるような社会をつくりたいと思っています。そのためには誰もが探究的かつ創造的に生きることが大切です。それを支える教育としてのデザインのあり方を探究し、確立していきたいと考えています。

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