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星の王子さま (新潮文庫) サン=テグジュペリ

Book Summary
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レビュー

いちばんたいせつなことは、目に見えない

世界中の言葉に訳され、70年以上にわたって読みつがれてきた宝石のような物語。世界中の子供が、そして大人が読んできた。世紀を越えるベストセラー。 砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。物語は、飛空士である「僕」が、サハラ砂漠に不時着する場面から始まります。これまで心からわかり合える人には出会えないまま生きてきた「僕」。ある日、不時着した砂漠で小さな星からやってきた王子さまと出会いました。飛行機の修理をしながら、王子さまが旅で訪れたさまざまな星の話を聞く「僕」。やがて、王子さまは「僕」にとってかけがえのない存在になります。しかし、地球にきて1年が経ったある日、王子さまはあることを決意します。

本作は愛や絆といった普遍的なテーマを描いているからこそ、読者の心情によってまた別の表情を見せる作品でもあります。読んだことがない方はもちろん、すでに読んだことがある方もぜひもう一度読んでみてください。当時とはまた違った感想を抱くかもしれません。

また、サン=テグジュペリはフランス人ですから、原書はフランス語です。当然、日本語に翻訳される際には翻訳家の解釈が加わります。また、どのような人々に向けて翻訳されるかによっても、作品のイメージは変わってくるでしょう。たとえば、『講談社青い鳥文庫 星の王子さま』は子どもが読むことを前提としているため、やさしい言葉づかいです。反対に、『集英社文庫 星の王子さま』は大人が読むことを想定されているため、人によっては難しいと感じるかもしれません。『新潮文庫 星の王子さま』は、やさしい言葉づかいで丁寧に翻訳されており、大人も子どもも読みやすい1冊になっています。 他にもたくさんの翻訳版が出版されていますので、自分に合った一冊を探してみるのも楽しいかもしれません。

本書のPoint
【起】 王子さまとの出会い

操縦士の「ぼく」はサハラ砂漠に不時着します。 孤独な夜を一人で過ごし、翌日一人の少年と出会います。 そこで「ぼく」は彼が他の惑星の王子であると知ります。僕は何回もヒツジの絵を描き直しますが、王子様は納得しません。 我慢できなくなって、僕は穴の空いた木箱の絵を描き、この中に君が欲しがっているヒツジがいると伝えます。 すると、王子様は笑顔になり、僕が欲しかったヒツジはこれだと納得してくれました。 やりとりをしている間に、その不思議で小さな王子さまについて知っていくことになります。 まず、その小さな王子さまが地球の外側にある星からやってきたこと。 次に、王子さまの故郷の星は1軒の家よりほんの少し大きいぐらいでしかないこと。 そして、王子さまは友達が欲しかったということ。
「僕」はここで、おとなに対しての皮肉を物語の中にたくさん述べています。 おとなたちが王子さまの星を小惑星B612という番号で呼んでいることや、数字にいろいろこだわってそのものの本質的な美しさや素敵さをどうでもいいと思っていることなど。 そして、「僕」もそんなおとなになってしまっていたことに気づきます。 そしてこの物語は、「僕」が大切な夢と子供心にあふれた大切な友達、小さな星の王子さまを忘れないために書き上げたものなのです。 それはきっと「僕」が、夢と子供心を思い出すための物語でもあるのでしょう。
【承】旅立ち
王子はあらゆる星を見て回ります。 行く星行く星変な人ばかり。 王、自惚れ屋、呑み助、実業家、点燈夫、地理学者だれもが変な人でなにか釈然としない王子。 王子はここで6番目に出会った地理学者に地球という星があると教えられ、地球に行くことを決意。

地理学者は信頼出来る探検家たちの話を書きとどめて置くことが仕事らしい。 そして、おじいさんは王子様の星がどんな星だったか聞き始めます。 王子様は火山のこととバラのことを話しますが、花のことは書かないといわれ疑問に思います。 自分にとって大事なバラについてどうして書かないのか聞くと、花ははかないからだと答えます。 王子様はバラが程なく消える恐れがある、大切な存在であることに気づき、自分の星に無防備に残してきたことに後悔します。 そんな王子様におじさんは地球に向かうことを勧めるのでした。 地球ではヘビに出会ったり、火山を見たり、数千本のばらを鑑賞する。 王子は自分の惑星よりも高い山、多くあることに圧倒されます。
【転】悩む王子
自分の惑星はそんなありふれたもので埋め尽くされたものだったのかと、なんだかやるせない気持ちに陥ります。 そんな時にキツネが現れます。 王子はキツネに遊ぼうと声をかけるが、キツネは君とは仲良くないから嫌だと断ります。 王子もいい気持ちはしません。 そこでキツネは王子に対して仲良くなるとは『あるものとそのあるものが同じ形をしていても全く違う感情を抱くことができること』だと説明する。
王子はここで自分の惑星にある1本のバラの大きな価値に気づきます。 他の人から見たら同じバラかもしれない。 でも自分にとってあのバラはなにものにも変えがたい一本のバラ。 最も大切なものだと実感します。 そして、王子さまはキツネの元へ行きました。 そして、キツネは教えてくれます。 「いちばんたいせつなことは、目に見えない。 きみがバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」と王子さまがなつかせたキツネは、友情とはなにか、そしてどうして友達はかけがえのない存在になるのかを教えてくれました。
【結】大切なもの
別れる時にはキツネと仲良くなっていた王子。 こんなに別れが辛いんだったら仲良くならなきゃよかったと残念がる王子。 キツネはここで王子に『本当に大切なものものは目には見えない』と教えてくれるのです。 確かにそうだと納得する王子。 ぼくは飛行船の修理をしながらずっと王子の話を聞いていました。 しかしとうとう水の蓄えが尽きます。 諦めかけたその時、王子はぼくに水を探そうと持ちかけます。 こんな砂漠で水なんかあるわけないだろうと否定するぼく。 探し回った結果なんと砂漠で井戸を発見するんですね。 翌日奇跡的に飛行船が治り、ぼくは王子に知らせに行きます。 王子はヘビと話をしていました。 別れを悲しむ「ぼく」に王子は「自分は自分の星に帰るのだから、きみは夜空を見上げて、その星のどれかの上で、自分が笑っていると想像すれば良い。 そうすれば、君は星全部が笑っているように見えるはずだから」と語る。 王子はそこでヘビにかまれ砂漠に倒れました。 そして翌日王子の姿はなかった。 夜空を見上げると王子が笑っている気がした。 でも、悲しい気持ちで見るとなんだか泣いている気もした。
本書の目次

著者・出版

サンテグジュペリ

1900‐1944。名門貴族の子弟としてフランス・リヨンに生れる。海軍兵学校の受験に失敗後、兵役で航空隊に入る。除隊後、航空会社の路線パイロットとなり、多くの冒険を経験。その後様々な形で飛びながら、1929年に処女作『南方郵便機』、以後『夜間飛行』(フェミナ賞)、『人間の土地』(アカデミー・フランセーズ賞)、『星の王子さま』等を発表、行動主義文学の作家として活躍した。第2次大戦時、偵察機の搭乗員として困難な出撃を重ね、’44年コルシカ島の基地を発進したまま帰還せず。主に実体験を基に書かれた著作の中で『夜間飛行』はフェミナ賞を受賞。その後も、飛行士であり小説家でもあるサン=テグジュペリは、自身の不時着体験をモデルに『星の王子さま』を執筆。そ

翻訳)河野万里子
1959年生れ。上智大学外国語学部フランス語学科卒業

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