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成功は一日で捨て去れ (新潮文庫) 柳井 正

Book Summary
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理解度チェック

本サイトで紹介する本に関する理解度チェック問題になります。


問題を解きながら、本の概要を理解できるように、
問題以上に解説に力を入れておりますので、是非活用ください。

レビュー

ユニクロが危機を乗り越え会社としてより大きく成長していく、その裏にはどんなことがあったのか、成功を続ける秘訣は何なのか、試行錯誤の日々が本書で語られています。

「失敗することについて全く否定的に見ていないということ、チャレンジし、失敗しても、ただたんたんと次へ進む。」「 会社は顧客のためにあるという考えを持ち、ひたすら良い商品を提供すべく追及していき、そして会社自体も利益の拡大を図る。」など常にウィン・ウィンを模索し、今後さらに成長拡大していこうとしているユニクロの礎となっている経営理念が本書に詰まっています。

成功と思った瞬間、失敗となる。これは、本書を読んで私の中に強く響いた言葉です。この言葉は言うは易しですが、その背景には、今の日本における大企業病があります。大企業だから大丈夫だろうという油断であったり、グローバル視点で物事を見ることが出来なかったり、さまざまな事象が数珠繋がりになっていることを、本書を読むと気付かされます。会社というのは、何も努力せず、何の施策も打たず、危機感を持たずに放っておいたらつぶれる、と考えています。常に危機感を持って会社経営することが正常なのです。危機感と不安とは全く違うものです。いろんな現象が起きるのをしっかりと見て、毎週毎週の打ち手、毎日毎日の打ち手を確実に打つ、良い企業であるための条件の一つは「即断、即決、即実行」なのです。あらゆる問題に対し、自身の問題としてもっと素早く痛切に感じ、そのうえで即断、即決、即実行をしていかないと会社の存続にとって致命傷になると柳井さんは考えています。

経営者の方なら、そのまま自分の立場に置き換えられる一冊です。経営者ではない方でも、リーダーとしてのカリスマ経営者である柳井さんの考え方から学ぶことは多いのではと思いますので、興味がある方は是非手に取って頂ければと思います。

本書の要点

●柳井正という経営者を理解するためのポイント

本書でキーワードとなるのは「挑戦」です。冒頭でも書かれていますが、日々の一歩一歩、あるいは一進一退の悪戦苦闘の連続こそが、将来を創っていく。今のこの瞬間に向き合い、即断・即決・即実行し挑戦を続けることが出来れば、将来への道は開けるというのが、本書の中で一貫して書かれているメッセージだと思います。ここでは、柳井正さんのメッセージの中から、私が感銘を受けたものをピックアップして紹介したいと思います。

ユニクロは、低価格をやめます 2004年の9月の全国紙で「ユニクロは低価格やめます。」と宣言しています。これは、これまでユニクロが培ってきた製品の企画開発、生産管理、流通から販売のノウハウを最大限に使い価格を努力は続けていくが、何よりもを優先し、その次に価格があるということを消費者へ伝えたかったのだと思います。ユニクロは低価格だからと考えている消費者や社員に向けた、「顧客視点の絶対的な良い商品を提供する」という決意を高らか宣言するという挑戦です。
先入観が自らの壁を作る 繊維業界は保守的であったが産業構造を変革してきたからこそ、ユニクロが今のポジションにいるのです。例えば、合成繊維はよくない、天然素材がよいという思い込みが一般的な感覚としてあるだろう。その先入観がフリースやヒートテックを見ずに、「そんな商品はうれない」「欲しくない」と拒否してしまい、挑戦に壁を作っているのです。日本の工業製品のの技術力は世界一であり、繊維技術もしかりなのだから先入観を捨てれば、商品開発は活発になります。先入観という壁を取り払えば、世界は広がるのです。
第三世代SPAを目指す

[洋服=ファッション]として、洋服とファッションは同じ意味でとらえられてきた。しかしユニクロは洋服はファッションの側面だけで評価されるものではないと考え、機能性も重視し、商品開発を行い「良い商品ですよ」と情報発信しています。それが出来るのSPAだけです。顧客ニーズを掴んで、企画・商品開発を行い、タイムリーなマーケティングとともにお客様に商品の良さを伝えて、自分自身の手で売っていく。SPAであれば、このワンサイクルを回しいる中で、商品の背景も含めてお客様へ説明できるのです。

論理的思考と肌感覚

お客様を常に観察することは大切なこと。観察するとデータが作れ、数値化できる。何か手を打つと、その数値が変わり、それが正しかったかを証明できるのです。しかし、数値だけではだめで、現場での肌感覚も必要です。この直感的な感覚も、現場や様々なコミュニティの中で研ぎ澄ませていかないと数値だけでは必ず判断を見誤るのです。

新たなシンボルマークに込めた思い

世界ナンバーワンのアパレル小売業会社になるための象徴となるシンボルマークに込めた思い。基本的に企業のマークには会社が過去にやってきたこと、今現在やっていること、将来やろうとしていることが繋がって表れている必要があります。そしてファーストリテイリングの精神的な基盤を表す言葉「革新と挑戦」の意味を込める必要があります。

ファーストリテイリングのシンボルマークは赤色の三角の旗、右肩上がりは、成長していくこと、とんがっていくことを表しています。旗をの3つのラインには、「服を変え、常識を変え、世界をかえていく」というステートメントとリンクしています。

本書の目次

第1章 安定志向という病
(玉塚新体制へ託した成長3年ぶりの社長復帰 ほか)

第2章 「第二創業」の悪戦苦闘
(なぜ再度、社長をやろうと思ったか経営者を育てるのは難しい ほか)

第3章 「成功」は捨て去れ
(再強化・再成長のための3つのエンジン素材を生かした商品開発 ほか)

第4章 世界を相手に戦うために
(ロッテと組んだ韓国への出店成長が見込めるアジア市場 ほか)

第5章 次世代の経営者へ
(H&M襲来は大歓迎子会社3社統合は再生の第一歩 ほか)

著者・出版

著者: 柳井正

1949(昭和24)年、山口県宇部市生れ。(株)ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。ジャスコを経て、1972年、父親の経営する小郡商事に入社。1984年、カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、同年社長に就任。1991(平成3)年に社名をファーストリテイリングに変更。1994年広島証券取引所に上場し、1997年東証第2部に上場。1999年2月には東証第1部に上場。2002年11月に一旦は代表取締役会長となるも、2005年9月、再び社長に復帰した。

子供の頃は内向的だった。高校ではサッカー部に入っていたが、父が「いい大学に入ってほしい」と述べたためすぐに辞めた。趣味はゴルフで、自宅に打ちっぱなしのネットが張ってある。酒は飲めない。尊敬する経営者はウォルマートの創業者サム・ウォルトン、ダイエーの中内功、日本マクドナルドの藤田田。現在は東京都渋谷区大山町在住。二男の父。柳井は「息子にユニクロの経営を任せる気はない。同族経営はよくないですよ。」と述べている。

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