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汝、星のごとく(講談社)凪良ゆう

Book Summary
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レビュー

2020年本屋大賞を受賞し、22年には実写映画化された『流浪の月』で有名な凪良ゆうさん。この作品は約2年ぶりの長編作品になります

本作では、2人の若者の成長と絆を描かれています。物語は、瀬戸内の島で育った高校生の暁美(あけみ)と、親に連れられて島に転校してきた櫂(かい)。彼らは共に家庭の問題を抱え、苦境に立たされています。

暁美の父親は恋におぼれて家を出ており、母親は鬱に苦しんでいます。櫂は自由奔放な母親に育てられ、京都から島にやってきました。高校生として恋に落ちた2人は、若さと家庭の問題という荷物を抱えつつ、互いに惹かれ合います。

物語は、彼らの若い恋が、現実の困難や成長の試練に立ち向かう姿勢とともに描かれます。二人は「普通」であることを強いられる閉鎖的な社会で、生まれた時から荷物を持っていたが、それでも何かを変えようともがき続け、自分の鎖を自分で選び取って、進み続ける姿勢が物語の中心になります。彼らは、親という「鎖」を背負いつつ、自分たちの人生を切り拓いていく勇気を見せます。

本書のPoint
あらすじ

■高校生時代
櫂は、京都にいた頃から仲の良かった友達の尚人と一緒に漫画を描いていて、出版社に作品を出したりと夢に向けて進んでいました。そして、高校を卒業したら東京に出て漫画家として生きていくことを決めていました。しかし暁美はこれと言った夢がなく、一つあるのは趣味のオートクチュール刺繍のみでした。
家庭が崩壊している現実の中での逃げ道が刺繍だったのです。そんな暁美は櫂と付き合うことになり、一時期は櫂と一緒に東京に行くことを決意しますが、暁美の母親が父親の浮気により精神を病み、一人にはできなくなったことから暁美は島に残ることになります。

■社会人
櫂は東京で漫画家とした大成功します。漫画は雑誌の看板になり、アニメ化まで決定します。しかし、絶頂の途中一緒に漫画を描いていた尚人がある事件を起こします。そして暁美は島で病んだ母親と一緒に安月給でなんとか生きているような状態でした櫂とは天と地の差があり、東京に会いにいくたびに惨めな思いになっていくのです。

■まとめ
本作は、情熱的で感情豊かであり、読者の心に響く言葉が多く含まれています。物語の中で登場する北原先生や互助会の夫婦など、周囲の人々の人柄も印象的で、彼らの存在が登場人物たちの支えとなっています。「汝、星のごとく」は、家庭の問題や葛藤を抱える若者たちの成長と絆を描いた美しい物語であり、読者に感動と勇気を与える作品と言えます。 物語を通じて、彼らは自分たちの鎖を自ら選び、未来への一歩を踏み出す姿勢を示し、読者に勇気を与えます。

著者・出版

【凪良ゆう(なぎら・ゆう)】

京都市在住。2006年にBL作品にてデビューし、代表作に21年に連続TVドラマ化された「美しい彼」シリーズなど多数。17年非BL作品である『神さまのビオトープ』(講談社タイガ)を刊行し高い支持を得る。19年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。同作は22年5月に実写映画が公開された。20年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネート。その他の著書に『汝、星のごとく』など。

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